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緊張でなぜ頭が真っ白に?

 長崎県・田川知香(たがわちか)さん(21)からの質問(朝日新聞社発行 2011年10月29日付be)

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 ●脳内(のうない)で出(で)る物質(ぶっしつ)のためらしいの

 ◇ののちゃん 学芸会(がくげいかい)の劇(げき)のリハーサルをしていたら、突然(とつぜん)頭が真っ白になってセリフを忘れちゃった。家で練習(れんしゅう)した時にはできたのに……。

 ◆藤原先生 みんなが注目していたからとっても緊張(きんちょう)していたのね。

 ◇のの うん、ドキドキして、手にたくさん汗(あせ)をかいたから、持っていた紙がしわしわになっちゃった。

 ◆先生 緊張した時に、汗が出たり、ドキドキしたりするのは誰(だれ)でもなる、自然(しぜん)なことよ。ストレスに反応するため、脳(のう)の真ん中辺りにある視床下部(ししょうかぶ)というところが刺激(しげき)されて働(はたら)き、いつでも逃(に)げたり自分を守ったりできるように、体を動きやすく準備(じゅんび)させておくのよ。

 ◇のの じゃあ、なんで頭が真っ白になっちゃうの?

 ◆先生 緊張すると、情報(じょうほう)を伝える物質(ぶっしつ)が脳からたくさん出されるの。その物質が、脳の中で色んな働きをするから、と考えられているわ。

 ◇のの どんな風(ふう)に?

 ◆先生 脳で記憶(きおく)をつかさどっている「海馬(かいば)」という部分に、「緊張してます」という情報が伝わると、過去(かこ)に失敗(しっぱい)したときの記憶がどんどんよみがえってしまい、他(ほか)のことを考えられなくなるからだとも言われているわ。だって、たくさんのことを同時(どうじ)には考えられないでしょう。

 ◇のの そうだったよ。どうしよう、と思っていたら、もうそのことしか考えられなくなってた。

 ◆先生 周りの状況(じょうきょう)を覚(おぼ)えておくごく短い時間(じかん)の記憶の働きが悪(わる)くなるせい、だとも考えられているの。緊張を伝える物質が出過(す)ぎると、脳の前方(ぜんぽう)にある前頭前野(ぜんとうぜんや)と呼ばれる短(たん)時間の記憶に関係(かんけい)する場所(ばしょ)の働きが鈍(にぶ)くなってしまうことがあるそうよ。

 ◇のの それでなぜ頭が真っ白になるの?

 ◆先生 直前(ちょくぜん)に誰がどんなセリフを言ったのかを覚えているから、次にどんなセリフを言えばいいか考えられるわけでしょ。もし、直前のことが記憶できなくなると、次に何を言えばいいか、自分のおかれている状況がどうなっているのか混乱(こんらん)してわからなくなっちゃうのよ。

 ◇のの 本番(ほんばん)までにどうしたらいいのかな。お母さんが「人」という字を手のひらに書いて飲み込むといいって言ってたよ。

 ◆先生 それは、「人を飲む」というおまじないだけど、効果(こうか)が無かったという調査(ちょうさ)もあるの。まずは、不安(ふあん)な気持ちに対処(たいしょ)できるようにならないと。みんなドキドキするんだ、ちょっとぐらい間違(まちが)えたって大丈夫(だいじょうぶ)だと考えて、緊張から逃げないようにすることよ。ゆっくり呼吸(こきゅう)しながら「今、息(いき)を吸(す)っている。吐(は)いている」と、自分の行動を頭の中で言葉(ことば)にして、余計(よけい)なことを考えないようにするというやり方もあるわよ。

 (取材協力=柿木隆介・自然科学研究機構生理学研究所教授、有光興記・駒澤大准教授、構成=月舘彩子)

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