現在位置:
朝日新聞社インフォメーション >
NIE 教育に新聞を >
ののちゃんのDO科学 >
記事

カメの故郷は陸なの、海なの?

東京都・佐藤ゆかり(さとう)さん(51)からの質問(朝日新聞社発行 2012年1月21日付be)

印刷

写真

 ●陸(りく)で生(う)まれた説(せつ)が有力(ゆうりょく)ね

 ◇ののちゃん カメって、いろんな場所(ばしょ)で生きてるよね。陸(りく)の上、池や川や海、それに陸と水の中を行き来しているカメも多いし。

 ◆藤原先生 いま言った順(じゅん)に陸生(りくせい)、水生(すいせい)、半水生というのよ。カメの生活の場は、砂漠(さばく)から深(ふか)さ1千メートルをこえる深海(しんかい)まで広がっているのよ。

 ◇のの え、そんなに! もともとはどこで暮(く)らす動物だったの?

 ◆先生 カメの祖先(そせん)を化石でさかのぼれるのは、今のところ約2億(おく)2千万年前の三畳紀後期(さんじょうきこうき)まで。恐竜(きょうりゅう)が登場(とうじょう)したのとほぼ同じ時代ね。当時のカメたちは陸生だったらしいの。

 ◇のの なぜわかるの?

 ◆先生 水生のカメなら、脚(あし)が水をかく面積(めんせき)が大きいの。スッポンの脚は、指が長く伸(の)びて間に水かきが張(は)ってるし、ウミガメも脚がヒレになり、中に長い指の骨(ほね)が、うちわの骨みたいに通ってる。一方、ゾウガメや、甲羅(こうら)の模様(もよう)で人気のホシガメなど、陸生のカメは指が短いでしょ。三畳紀後期のカメたちもそうなの。

 ◇のの 重たい甲羅を持つカメは、浮(う)くことのできる湖(みずうみ)や海で誕生(たんじょう)したと思っていたんだけど……。

 ◆先生 一理(いちり)あるけど、りっぱな甲羅を持つ陸生のカメも多いわよ。

 ◇のの そうかあ。

 ◆先生 ところが、中国で発掘(はっくつ)された最古のカメ「オドントケリス」を調(しら)べた研究(けんきゅう)者たちが4年前、海のカメだと発表(はっぴょう)したの。でも、発掘地は当時の沿岸(えんがん)部で、海生か陸生かを分ける手がかりとしては弱(よわ)く、骨の特徴(とくちょう)も陸生タイプだったのよ。

 ◇のの それじゃあ反論(はんろん)も出るね。

 ◆先生 そうなの。そもそも、陸生の種(しゅ)を含むカメのような動物の祖先が、水生だったとは考えにくいの。

 ◇のの え、どうして?

 ◆先生 魚から陸上動物が進化し、その一部がウミガメやクジラのように再び水に戻(もど)ったのね。でも、その中から「再(さい)上陸」という進化をやってのけた動物は知られていないの。

 ◇のの そうなんだ。ところでその最古のカメは、どんな姿(すがた)だったの?

 ◆先生 体長40センチほどで、正式な名前は「歯(は)があり、甲羅は半分」という意味(いみ)のラテン語よ。今のカメは歯が退化(たいか)してるけど、オドントケリスのあごには歯がズラリと並(なら)んでいるの。鳥(とり)には歯がないけど、祖先の始祖鳥(しそちょう)にはあるのと似(に)てるね。そして甲羅は、腹側(はらがわ)の半分だけなの。

 ◇のの えっ、じゃ背中(せなか)側の甲羅は後から進化したの?

 ◆先生 甲羅がいったんできた後で背中側だけ退化したなど、ほかの可能(かのう)性もあるので断定(だんてい)は早いわ。どちらにしても、腹をおおう甲羅はほとんど完成(かんせい)した形なので、ということはもっと古い祖先がいたはず。それも陸生のがね。カメの進化をさらにさかのぼる化石を見つけなくては。

 ◇のの 研究が、カメより速(はや)く進むといいね!

 (取材協力=平山廉・早稲田大教授、構成=武居克明)

バックナンバー

過去記事一覧

NIE 教育に新聞を

 新聞、ニュースを調べ学習や自由研究に役立てるページです。ご感想・お問い合わせなどは、NIE事務局(ファクス03・5540・7469)まで。