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イルカの芸はどう教える?

神奈川県・早野正晴(はやのまさはる)さん(48)からの質問(朝日新聞社発行 2012年6月16日付be)

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 ●習性(しゅうせい)とエサをうまく利用(りよう)するの

 ◇ののちゃん わたし、イルカやシャチのショーが大好(す)き! それにしても、ああいう演技(えんぎ)をどうやって教(おし)えるのか不思議。どう動いてほしいか言葉(ことば)では伝えられないし、人にイルカの真似(まね)はできないから、お手本を示すわけにもいかないだろうし。

 ◆先生 そうよねぇ。たとえばシロイルカが、ドーナツみたいな丸い輪(わ)をプカッと吐(は)くでしょ。先生は、人間がたばこの煙(けむり)で輪を作って真似させるのかな、なんて思っていたけど、聞いたら大ハズレだったのよ。

 ◇のの へえ、どうやるの?

 ◆先生 種(たね)あかしは後のお楽しみ。まずは基本(きほん)から。イルカの訓練(くんれん)も基本が大事なの。肝心(かんじん)なのは、人が望(のぞ)む動きをした時にすぐ、ごほうびにエサをやること。時間がたつと、なぜエサをもらえたのか、イルカにわからなくなるから。ショーの最中(さいちゅう)も演技のたびに魚をあげてたでしょ。

 ◇のの うん。笛(ふえ)も吹(ふ)いてたよ。

 ◆先生 それは、イルカと人が離(はな)れているとかで、すぐエサをやれない時に「今の動きは良(よ)かったよ」と笛でまず知らせておき、後でやるの。

 ◇のの 笛が鳴(な)ったらエサがもらえる、と覚(おぼ)えさせるんだね。

 ◆先生 そうよ。そして、目的の動作をしたら笛やエサ、と何度もくり返し、手の合図も示して「あの合図の時にこの動作をすれば、エサがもらえる」と学習をしてもらうの。

 ◇のの なるほど!

 ◆先生 訓練(くんれん)法には水族館(すいぞくかん)ごとに工夫(くふう)があるけど、基本動作の一つは、人の手やボールを的(まと)にして口先でタッチをすること。これができれば、的を高くすればジャンプするし、立ち泳(およ)ぎで体をくるくる回している状態(じょうたい)からジャンプに持っていけばスピンジャンプになるわけ。的がプールサイドにあればそこに上がるしね。

 ◇のの 一生を海で過(す)ごすイルカが「上陸(じょうりく)」するなんてビックリした!

 ◆先生 イルカの中には、魚を岸辺(きしべ)に追い上げて食べる種(しゅ)もいるの。そのせいかプールサイドに誘(さそ)うのは難(むずか)しくはないそうよ。

 ◇のの では、そろそろ「泡のドーナツ」の秘密(ひみつ)を教えて!

 ◆先生 あれはシロイルカやスナメリの得意技(とくいわざ)ね。彼らは口から水を海底(かいてい)に吹きつけて砂(すな)を巻(ま)き上げ、ひそんでいる生物を食べる習性(しゅうせい)があるの。そういう彼らの口に、水のかわりにボンベから空気を入れて、吹き出すように教(おし)えるのよ。そして、よりきれいな輪を作れたらごほうび、とくり返して演技に仕上げるの。

 ◇のの ふだんのエサの取り方が演技につながっているんだね。

 ◆先生 そのように見えるね。元になる行動がないところから人工的に演技をつくるのは難しいんじゃないかな。動物に無理(むり)のないように、ということが大切ね。

 (取材協力=海響館、マリンピア日本海などの水族館、帝京科学大・森恭一准教授、同・石田戢教授、構成=武居克明)

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