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【入賞】母を愛し3人の子を愛した
大友玲子さん=看護師(48)川崎市麻生区

 父は7人兄弟の末っ子で、公務員でした。仕事上、中元や歳暮が送られて来ると、それが乾物であろうが、生鮮食料品であろうが、おかまいなしで、全て送り返していました。清廉潔白で、表裏がない人間だったと思います。自分にもそうであったので、そうある事で人間はこうでなくてはならないという事を父親を通して学んできたと思います。

 そんな父も、母を34歳の若さで、子宮がんという病気で亡くしてからも何ひとつ変わる事なく私達3人の子供を育ててくれました。

 ですが、数年経ったある日、しみじみと、「こんな事言っては何なんだけど、もし母さんではなく、俺が先に死んでいたら、住む所にも困っただろうし、何よりあなた達は、今のような生活は送れなかっただろうから、逆に言えば、お母さんが先で良かったのかもしれないなぁ」と言ったのです。でも、そんな事を言っていながらも、淋しくて淋しくてしょうがなく、毎晩お酒を飲みながら、一人一人子供を呼びつけて、説教をしながら、納骨をせず、仏壇に置いたままの遺骨に話しかけ、「君代、何で先に逝っちゃったんだ」と涙を流していました。何より母親の事が大好きで大好きで、心底愛していたのだと思います。

 また、人生の節目節目に様々な事を言われました。就職した時は、「一生懸命働きなさい。そして尊敬すべき人に巡り合えたり、恩義を受けたら、金銭や物品ではなく、その人の好意に応える為にも頑張りなさい。もしどうしても気持ちを形にしたいのならば、その人が現役を退いた後や、共に働く場でなくなった時に感謝の意を表わしなさい。そうでなければ互いに心地良く仕事などできないよ」と。また、嫁いだ時には、「所詮は赤の他人との暮らしだから、辛い事、苦しい事は当たり前。嫁ぎ先の人に何か言われても、我慢しなさい。もし、父さんや弟、妹の事を悪く言われても、否定しちゃいけないよ。家の事はいくらでも悪く言って構わないから……。それで自分の身を守れるようだったら、都合の良いように言いなさい。それが聞こえてきても、ああ、あの子に何かあったからに違いないと父さんは思うからね、肉親とはそういうものなんだよ」と言っていました。

 しかしながら自分は、伴侶とした母を心から理解し、愛し続けたのでしょう。

 母が亡くなった時、父の母(祖母)は「私が代わってあげれば良かった」と号泣しました。そんな祖母に育てられたからこそ、父は母を愛し、そして私達3人の子供を愛してくれたのだと今、確信を持って言えます。

 ありがとう、お父さん。

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