朝日新聞紙面審議会

 朝日新聞の紙面について議論する本年度第4回紙面審議会が2月24日、東京本社で開かれた。「特定秘密保護法をめぐる報道」や「教育報道」などをテーマに、読者の視点から意見を交わした。

 【2013年度第4回審議会】(2)教育報道

全国の地域面と連携、評価――湯浅委員

 湯浅委員 元旦の1面トップから始まった教育の連載企画「教育2014 世界は日本は」は優れた企画で、興味深く読んだ。

 グローバル人材、格差、ICT(情報通信技術)、授業研究などのテーマを縦糸に、世界の教育の実践に目配りする横糸がしっかりしていて気づかされることが多かった。教育問題は、短期的な「教育改革」に目を奪われがちだが、10年20年と、より長期的に考えるべきテーマだ、という問題意識を喚起した。

 全国の地域面と連携したのもよかった。強いて言えば3回目くらいまでは統一テーマで連動できなかったか。日本は地道な教育の積み重ねをしてきているので、未来志向につながる過去との接続もぜひお願いしたい。

 奥委員 力作だった。多岐にわたるテーマの中で、とくに関心を引いたのが、初回の「グローバルって何」を筆頭に、教育の格差、キャリア教育、そして教師の日々の苦労とチャレンジといった現場報告。全部読み終えて、教育は改めて非常に悩ましいと感じた。

 これまで、最近の教育の現場への十分な知見なしで、古き昔の狭き自己体験に基づき、教育について語ってきたのではないかと反省を促された。今後は現場・現実を広く知り、よく考察した上で発信していかねば、と自戒させられたシリーズだった。

 森北喜久馬・社会部長 教育の答えは一つではない。全国で多様な実践が行われている。加えて各国と比較することで広い視野から未来を考えてみたいというのが今回の狙いだ。今後は、6334制や高等教育、学力など個別テーマに移る。教育の論点は多岐にわたるので、理想像を具体的に提言するのは難しい。優れた事例を紹介し、「うちもまねしてみよう」と思う人をいかに増やすかが新聞の役割だと考えている。

 斎藤委員 未来志向的な話もさることながら、教育の足元がぐらぐらになっているという危機感を強くもっている。喫緊の課題は、「安倍政権下の教育」だと思う。

 安倍政権の教育改革は国家主義的な性格が強く、06年に成立した改正教育基本法を受けた動きが、今年はますます加速しそうだ。1月8日朝刊「日本史の必修化検討/文科省/高校、新科目『公共』も」、11日夕刊「尖閣・竹島は領土 明記検討/文科省/中高教科書指針に」、30日朝刊「前半国会 狙うは教育/道徳教科化・日本史必修・教委見直し」などの動きには問題が多い。わかりやすく伝える記事を期待している。

 森北社会部長 特定秘密保護法や改憲に比べると、教育改革では国民的な議論があまり盛り上がらず、安倍政権の考えがするすると実現していると感じる。今後も、問題点をきちんと指摘していく。

 立松政治部長 斎藤委員の指摘は同感だ。安倍政権という大きな枠組みのなかで、教育の問題を見ていって、どういうプレーヤーがどういう役割を果たしていくのか。また、さかのぼって2006年の第1次安倍政権以来、底流で何が起きて今に至っているのか、過去と今と、両方から追っていきたい。


第23~24期紙面審議委員


     中島 岳志 委員
 北海道大学大学院法学研究科准教授。75年生まれ。専門は南アジア地域研究、日本思想史。05年「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞。

 

     奥 正之 委員
 三井住友フィナンシャルグループ会長。44年生まれ。日本経済団体連合会副会長。国際部門の経験が豊富。全国銀行協会会長なども務めた。

 

     湯浅 誠 委員
 社会活動家。69年生まれ。08年末に「年越し派遣村」村長。09~12年、内閣府参与。 08年「反貧困」で大佛次郎論壇賞。

 

     斎藤 美奈子 委員
 文芸評論家。56年生まれ。編集者を経て94年、近代文学評論「妊娠小説」でデビュー。02年「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞受賞。