朝日新聞紙面審議会

 朝日新聞の紙面について議論する本年度第4回紙面審議会が2月24日、東京本社で開かれた。「特定秘密保護法をめぐる報道」や「教育報道」などをテーマに、読者の視点から意見を交わした。

 【2013年度第4回審議会】(3)STAP細胞など

小保方さん紹介、節度を――中島委員

 中島委員 ゴーストライターによる代作が明らかになった佐村河内守(さむらごうちまもる)さんについて。朝日は記者が自戒する2本の記事が載った。この点は評価したい。

 ただ2月11日朝刊では、佐村河内さんに取材過程から違和感を持っていたと吐露している。問題は記者が違和感を持ったにもかかわらず、なぜ紙面は感動物語を掲載したのかという点にある。朝日新聞は世間の空気を読み、おかしいと思いながら怪しげな感動に追随したと告白しているのだ。メディアが反省すべきは、この点に集約されなければならない。おかしいと思った時点で水を差す気概こそ、健全なジャーナリズム精神なのではないか。

 角田克・文化くらし報道部長 ご批判を率直に受け止めたい。こうした記事を載せるかどうかについて内容を含めて議論し、朝日新聞としての責任を感じながら記事にした。吐露の部分は正直ベースだったと思うが、違和感に即応できなかったとの指摘は重く、痛い。今後すべての取材、とりわけ感動の物語を報じる時には、これまでにもまして脇を締めていく。

 中島委員 新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」報道で、作製に成功した小保方(おぼかた)晴子さんの人物紹介は必要だが、節度をわきまえるべきだ。

 桑山朗人・科学医療部長 STAP細胞の扱いは、悩ましかった。記者会見に出て初めて、研究内容そのものが非常にインパクトがあり、研究の中心も若い方だったとわかった。発表を伝えた1月30日朝刊では、1面、2面で仕組みや意味、課題を書き、社会面と科学面で、小保方さんの研究への姿勢や人物像に触れた。それ以降も、過剰取材にならないよう配慮しつつ、小保方さん個人に興味本位で迫るのではなく、研究はどうだったのか、女性が研究する現状はどうなのかにフォーカスして取材を進めている。

 斎藤委員 2月14日から16日に関東甲信地方を襲った大雪。在京メディアはソチ五輪報道優先だった。朝日が1面トップとしたのは17日朝刊になってからだ。ネットには画像があがり、SOSが出ていたので、現地に行かなくても、災害の大きさは分かったはずだ。

 森北社会部長 ツイッターで流れた電車の脱線の画像はすぐに気付き、乗客からも取材できた。ただ、山間部の状況は、行政も現地になかなか入れず、すぐには伝えられなかった。首都圏の雪の混乱は1~2日で収まるという経験則を根本的に改めなければならない。

 杉浦編成局長 状況を把握して、全体像を示すのが遅れた。首都圏にいると、どうしても雪への想像力に欠けてしまうことが一番大きな反省点だ。


第23~24期紙面審議委員


     中島 岳志 委員
 北海道大学大学院法学研究科准教授。75年生まれ。専門は南アジア地域研究、日本思想史。05年「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞。

 

     奥 正之 委員
 三井住友フィナンシャルグループ会長。44年生まれ。日本経済団体連合会副会長。国際部門の経験が豊富。全国銀行協会会長なども務めた。

 

     湯浅 誠 委員
 社会活動家。69年生まれ。08年末に「年越し派遣村」村長。09~12年、内閣府参与。 08年「反貧困」で大佛次郎論壇賞。

 

     斎藤 美奈子 委員
 文芸評論家。56年生まれ。編集者を経て94年、近代文学評論「妊娠小説」でデビュー。02年「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞受賞。