朝日新聞紙面審議会

【2014年度第4回審議会】

調査報道、読者は期待 奥委員退任

 奥正之委員は今回で退任します。2年の任期を振り返って頂きました。
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 正直言って、他紙も含めて新聞をこんなに丹念に読み込んだのは初めての経験。
 昨夏から慰安婦報道、東京電力「吉田調書」の記事取り消し、池上彰さんのコラム掲載見送り、という大きな問題に直面。過去のトップが訂正できずに来た慰安婦関連吉田証言を、今回勇気を奮って誤報としたことの意味は大きい。
 私は、2年前の委員就任に際し「報道には先入観を持たず、十分な取材、議論を通じて、ときには軌道修正をしながら報じる柔軟さが重要」と述べた。真実をえぐりだす取材・報道には、立てた仮説に「こだわる」ことと「過ちては改むるに憚(はばか)ることなかれ」という「柔軟性」の「オン・オフ」が必要だ。そのためには、一線記者はもとよりミドルマネジメント層がしっかりとした現場主義と読者目線を持ち続けることが大事だ。
 問題が起きると原点回帰が叫ばれるが、これを組織の隅々まで浸透させることは容易ではない。その動きの中で朝日らしさをどう追求していくか。経済、国際関連紙面も充実してきた。引き続き、朝日の真骨頂と言われる「調査報道」に期待する読者は多い。焦らず臆さずひるまずチャレンジし続けて欲しい。


第23~24期紙面審議委員


     中島 岳志 委員
 北海道大学大学院法学研究科准教授。75年生まれ。専門は南アジア地域研究、日本思想史。05年「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞。

 

     湯浅 誠 委員
 社会活動家。法政大学現代福祉学部教授。69年生まれ。08年末に「年越し派遣村」村長。09~12年、内閣府参与。08年「反貧困」で大佛次郎論壇賞。

 

     斎藤 美奈子 委員
 文芸評論家。56年生まれ。編集者を経て94年、近代文学評論「妊娠小説」でデビュー。02年「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞受賞。

 

     奥 正之 委員
 三井住友フィナンシャルグループ会長。44年生まれ。日本経済団体連合会副会長。国際部門の経験が豊富。全国銀行協会会長なども務めた。