朝日新聞紙面審議会

 朝日新聞の紙面について読者の視点から議論する本年度第1回紙面審議会が4月30日、東京本社で開かれた。安全保障法制をめぐる報道や4月からの新紙面などをテーマに、4人の委員との間で意見を交わした。

【2015年度第1回審議会】ネット時代の紙面、難しさ

新任の鈴木幸一委員

 ここ20年ほど、紙に印刷された新聞を読むこともなかった。私自身がネットに関わる仕事をしてきたこともあるが、ネットで検索できる限りの情報で済ましてきた。ネットはグローバルな情報が自在に検索できる。クリスチャン・サイエンス・モニターといった米国の保守的な新聞まで、あらゆる海外のメディアを読むことができる結果、より幅広い視点による事実の捉え方に触れることで、私と日本の新聞との距離感が大きくなってしまったようだ。

 新聞が国の政策を左右するほどに、世論というものの影響力を持ち始めたのは、19世紀半ばの英国で、当時のタイムズの論調がクリミア戦争に対して、アバディーン首相の意に反して、パーマーストンの強硬策に世論を誘導していった時代からだろうか。

 今回、まったく任に適さないと承知しながら、紙面審議会の委員を引き受けるにあたって、紙面を読んでみたのだが、ネットと違って、ある事象を知るにしても海外を含めたメディアの捉え方、報道の視点等々が芋づる式にたどれないなど、紙の限界を感じることが多い。

 また、事実だけを伝える報道が少なく、視点や解説といった要素が多く紙面を占めていることで、いささか、煩わしい思いがした。かといって、フィナンシャル・タイムズなど、アングロサクソン系の紙面のように、立ち位置が明確でないなど、日本という国で、朝日新聞の伝統のなかで、どのような紙面をつくっていくのか、難しいのだろうなと言うのが、率直な感想である。少しでもお役に立てることがあるのかどうか、少しずつ、読み込んでみたいとは思う。


第23~24期紙面審議委員


     鈴木 幸一 委員
 インターネットイニシアティブ(IIJ)会長。46年生まれ。日本におけるネット社会の基盤を創った先駆者。東京・上野で毎春、音楽祭を主宰している。

 

     斎藤 美奈子 委員
 文芸評論家。56年生まれ。編集者を経て94年、近代文学評論「妊娠小説」でデビュー。02年「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞受賞。

 

     湯浅 誠 委員
 社会活動家。法政大学現代福祉学部教授。69年生まれ。08年末に「年越し派遣村」村長。09~12年、内閣府参与。08年「反貧困」で大佛次郎論壇賞。

 

     中島 岳志 委員
 北海道大学大学院法学研究科准教授。75年生まれ。専門は南アジア地域研究、日本思想史。05年「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞。