朝日新聞紙面審議会

 読者の視点から朝日新聞の紙面について議論する本年度第2回紙面審議会が11日、東京本社で開かれた。戦後70年や安全保障法制などをめぐる報道について、4人の委員との間で意見を交わした。

【2015年度第2回審議会】大学教育・防犯カメラ

 鈴木委員 6月9日朝刊に「『国立大、文系見直しを』/ニーズ踏まえ廃止・転換促す」という記事が載った。IT企業でも求めているのは工学系一辺倒ではない。人文社会系の学生も企業は必要だと感じている。大学教育のあり方を問われる問題だ。深掘りして欲しい。

 角田社会部長 この問題ではいちど紙幅をとって、そもそもどうしてこのような話が出て来たのか、といったところからまとめておきたいと思っている。

 中島委員 大阪府寝屋川市の中学1年の男女が遺体で見つかった事件で「不審車追った防犯カメラ」(8月30日朝刊)が印象に残った。捜査当局もテレビ局も防犯カメラの映像に頼りがちになるが、その危うさを指摘したのが重要だと思う。別の事件では映像の時刻が実際とずれていたために誤認逮捕された問題もあった。「防犯カメラでは動機はわからない」という大阪府警幹部の話はジャーナリズムにも共通するものだと思った。

 湯浅委員 沖縄県名護市辺野古で4月に移設反対派が逮捕されたときの報道をめぐる「信じる私/沖縄 抜け落ちた事実」(「みる・きく・はなす」はいま=5月3日朝刊)について。逮捕された男性が基地の境界線を越えていたことを把握していたが、地元紙はその事実を書かなかった。朝日新聞の福島第一原発事故での吉田調書問題と本質的に同じだ。記事の中で吉田調書問題も取り上げるべきではなかったか。

 長GE 吉田調書報道は私たちにとって忘れてはならない重い問題だ。事実は事実としてきっちりと書く。そのうえで読者が判断するための材料を示していく。こうした報道姿勢を、私たちが肝に銘じていかなければいけない。


第23~24期紙面審議委員


     鈴木 幸一 委員
 インターネットイニシアティブ会長。46年生まれ。日本におけるネット社会の基盤を創った先駆者。東京・上野で毎春、音楽祭を主宰。

 

     湯浅 誠 委員
 社会活動家。法政大学現代福祉学部教授。69年生まれ。08年末に「年越し派遣村」村長。09~12年、内閣府参与。08年「反貧困」で大佛次郎論壇賞。

 

     斎藤 美奈子 委員
 文芸評論家。56年生まれ。編集者を経て94年、近代文学評論「妊娠小説」でデビュー。02年「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞受賞。

 

     中島 岳志 委員
 北海道大学大学院法学研究科准教授。75年生まれ。専門は南アジア地域研究、日本思想史。05年「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞。