朝日新聞紙面審議会

 朝日新聞の紙面について読者の視点で意見を交わす本年度第3回紙面審議会が1月26日、東京本社で開かれた。昨年11月にパリで起きた同時多発テロや、消費増税に伴う軽減税率をめぐる報道などをテーマに、4人の委員と議論した。

【2015年度第3回審議会】(4)フォーラム面

納得感伴う解決策、道半ば

 昨年4月から始まった「フォーラム面」では、読者とともに課題解決策をさぐる試みもしている。湯浅誠委員から次のような指摘があった。

 「課題解決策をさぐる」と提起して1年。毎回のフォーラム欄のシメが「これからも考えていきます」「取材を続けます」と定型文のようになっているのが気になる。多様な意見を出してくれた読者に、納得感を伴う課題解決策をどう提示していくのかなかなか見えてこないと感じる。
 逆に言えば、課題解決型の実践になっているのが、記者が長崎県諫早市で働きながら農業に取り組んだ「アロハで田植えしてみました」(14年6月19日~15年11月4日生活面)や、記者が電気をできるだけ使わない生活をする「5アンペアで暮らしてみた」(12年7月26日~15年5月13日生活面)といったコラムだ。日々の奮闘のようすがよくわかる。

 「にっぽんの負担 孫の塾費用 非課税贈与で」(11月2日朝刊)、「ひとり親 波打つ収入、綱渡り」(12月27日朝刊)の2本の記事は、問題の発見がそのまま課題解決策への示唆となっているような内容・構成で、秀逸だった。
 一人の記者が色んな人に取材し真剣に考えて練り上げた記事に、フォーラム面が勝てていない。一人の記者が追って追って書く取材の解決策が社会化されていないということもある。こうした過程がフォーラム面に出てくるのが美しいと思うが、そこをどうつなげていくかが大事だ。


第23~24期紙面審議委員


     鈴木 幸一 委員
 インターネットイニシアティブ会長。46年生まれ。日本におけるネット社会の基盤を創った先駆者。東京・上野で毎春、音楽祭を主宰している。

 

     湯浅 誠 委員
 社会活動家。法政大学現代福祉学部教授。69年生まれ。08年末に「年越し派遣村」村長。09~12年、内閣府参与。08年「反貧困」で大佛次郎論壇賞。

 

     斎藤 美奈子 委員
 文芸評論家。56年生まれ。編集者を経て94年、近代文学評論「妊娠小説」でデビュー。02年「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞受賞。

 

     中島 岳志 委員
 北海道大学大学院法学研究科准教授。75年生まれ。専門は南アジア地域研究、日本思想史。05年「中村屋のボース」で大佛次郎論壇賞。