参加者インタビュー わたしの中で何が変わったか 朝集中会議、その後

わたしの中で何が変わったか

朝集中会議、その後

2016年12月7日、8日に、「子どもの命を守る」ことをテーマに早朝7時半から、熱のこもった活発な議論を繰り広げた、朝集中会議。朝日新聞が掲げる「ともに考え、ともにつくる」という理念を、行動として示したいという想いから実施しました。

朝日新聞の記事を読んで、問題意識を強く持った方々が、実際に同じ問題意識を持つ人々と議論し、 そこで得た情報を自らの生活にフィードバックしていく・・・。実際に朝集中会議に参加された方々は、何を感じたのか。 それを確認するために、3名の方にインタビューいたしました。

このインタビューを通じて感じたのは、立場を越えて課題を共有し、 様々な意見を出し合う「言論の広場(フォーラム)」の存在が、今後ますます重要になっていくということです。 これからも、このような「議論の場」をつくり、みなさまと一緒に考え、暮らしを豊かにする情報やサービスをお届けしていきたい、と考えています。

インタビュー01

浅岡さん

(30代会社員)

インタビュー02

渡辺さん

(40代会社員)

インタビュー03

川島さん

(40代認可保育園 園長)

浅岡さん(30代会社員)

子どもを大人と一緒のベッドに寝かせるのをやめました。

まず、この朝集中会議というイベントを知るきっかけをお教えいただけますでしょうか?

私事ですが、子どもが昨年7月に生まれて子ども中心に生活を考えることが多くなり、これはぜひ参加してみたいと思いました。周りにも子育て世代がたくさんいるのですが、なかなかこういう話題にはなりにくいです。日常では雑談しづらい話題というか。なので、ちょうどいい機会だなと思いました。

「朝集中会議」に参加して、率直にどんなことを感じましたか?

全然自分の知らない所で事故が起きるんだなってことが、一番の驚きであり衝撃でしたね。たとえば、冷蔵庫にくっつけてあるマグネットを子どもが誤嚥してしまって、体内で腐ってしまうというような話を聞いて、これは確実に自分たちの家でも起こりうると思いました。なので、会議が終わったあとにすぐに妻と話し合いました。
あと、会議自体の感想なんですけど、同じ子育て世代の方もいれば、子どもをお持ちでない方も参加していて、いろんな角度の意見が聞けて、たくさん発見がありました。朝早い時間でしたけど、それは僕にとってはかえって好都合で。休日は家族のために家を空けられないし、平日も会社を休むわけにはいかない。なので、朝という時間帯はとても有難かったです。

会議を終えて、具体的に何か変わったことなどはありますか?

この会議を通じて一番の気づきは、「知ることの大切さ」を学べたことですね。知らないと何も行動にうつせない。たとえば、わが家では子どもを大人と一緒のベッドに寝かせてしまっていたのですが、会議に出席してその危険性を知り、大人のベッドに寝かせるのをやめました。ずっと知らずにあのまま寝かせていたかと思うと怖いですね。気づけて良かったです。

実際にワークショップで発表したアイデアを教えていただけますか?

僕たちのグループは自宅で起こるまさかについて議論をしました。議論の中で盛り上がったのは、「大人の教育が重要だよね。」ということです。大人からすると子どもがどういうところに興味をもつのかが全くわからない。だから体験するのが大事だという結論になりました。子ども目線を体験する大人版キッザニアみたいなものをつくってみて潜在的な危機に気づいてもらうのがいいんじゃないかという意見でまとまり、それを発表しました。

朝集中会議のとりくみについて感想とこれからの要望があればお願いします。

率直に言って、素晴らしい取り組みだなと思いました。われわれ一般人がたどりつけない莫大な情報をもっているのが新聞社さんの強みだと思うので、それを一般の方々に公開したり周知していただける仕組みをつくっていただけたのは、とてもありがたいことです。記者の方々も専門家という目線からではなく、われわれ消費者と同じ目線に立ってディスカッションを進めてくれていてよかったです。観覧席の方が発言することなどもあって、会場に熱気があったのも印象的でした。

渡辺さん(40代会社員)

「まさか」が、「まさか」でなくなる時、子どもたちが安心して暮らせる世の中になる。

まず、この朝集中会議というイベントを知るきっかけをお教えいただけますでしょうか?

私はふだん野外教育の会社で働いており、主に事故予防や安全管理に関するレクチャーをするのが仕事で、常日頃から情報収集をしていました。その際に「小さないのち」の特集記事に出会ったことが、最初の入り口でした。
小さないのちの記事は、過去10年で、解剖記録のある約5000人の方を専門家と連携して取材していると知って、われわれがネットで検索しても到達できない大変貴重な情報を提供していただいている、という思いから注目していました。そんな中、朝集中会議の概要を知って興味が湧きました。

「朝集中会議」に参加して、率直にどんなことを感じましたか?

まず、ご担当いただいた朝日新聞の編集委員の方が、明るく気さくで、とても話しやすい印象を持ちました。また当日は、ファシリテーターの方のリードもあって、短時間に大変密度の濃い意見交換ができたと感じています。
内容については、普段の生活の中で、ただ「気をつける」だけでは防ぎきれない、子どもの「まさか」につながる要素を、客観的なデータに基づいて知ることができました。またそれだけでなく、誰もがすぐに取り組めるような… 例えばお風呂場での例であれば、きちんとフタをしておく、水を張っておかない、入口に鍵をかけておくなど、日常での改善点や意識を向けるべきポイントを具体的に示していただけたことも印象に残っています。

実際にワークショップで発表したアイデアを教えていただけますか?

公園の写真をみて、気がついた「まさか」をみんなで洗い出しました。高さのある遊具からの転落や、公園が道路に面しているから飛び出し事故の可能性があるなど…。一人ずつ思いつくままに挙げていって、すべてを付箋にして貼り、最後に整理をしたものを発表しました。
子どもが写ってない公園の風景写真からも、たくさんの「まさか」の例が挙がってきて、みなさんの想像力の高さに驚きました。

会議を終えて、具体的に何か変わったことなどはありますか?

1日目のパネルディスカッションでは、子どもの「まさか」は、生まれてすぐの0歳から発達段階によって、同じような原因で、繰り返し起きていることを伝えていただきました。繰り返されているということは、事故そのものよりも、その原因や予防策が、一般にほとんど知られていないことが、大きな課題ではないかと思いました。
また2日目のワークショップでは、経験を積んだ人であっても、たった一人の視点だけでは、カバーしきれない部分が必ずある、ということや、複数の見守る大人の視点が共有されることの大切さを実感しました。
私自身も仕事で、子どもの安全管理のレクチャーをしておりますので、「指導者一人ひとりが気をつけよう」というところをゴールにするのではなく、「原因を知って予防しよう」ということや、「複数の大人の視点を共有しよう」というところに向けて、参加された方が一緒になって取り組めるようなレクチャーをしていきたいと思いました。

朝集中会議のとりくみについて感想とこれからの要望があればお願いします。

2日間の朝集中会議で改めて、子どもの事故のほとんどは、私たちの”死角”で起きているのだ、ということを痛感しました。ここで言う”死角”は、公園の中にある障害物や遊具・建物などに潜む”目に見えない場所”という意味だけでなく、子どもを取り巻く私たち大人の中にある「思い込み」や「知識不足」「注意の選択と集中」といった”心の死角”も含まれていると思いました。
そして、もう一つ付け加えるならば、子どものまさかに関する報道はこれまで、事故の概略や判決、あるいは責任追及が中心に扱われていて、「原因究明」や「予防」に踏み込んだ記事は、ほとんど目にすることがありませんでした。
このことは、様々な子どもの「まさか」が、”社会的な死角”の中にいつまでも留まってしまうことにつながって、それが一因で、似たような事故が、同じような場所、同じような状況で、繰り返されているようにも思えます。
でも今回、「小さないのち」の特集記事や朝集中会議などを通じて、朝日新聞社が本気でこのテーマに取り組もうとしていることは、今後、”社会的な死角”に光を当てて解決へと向かってゆく上での、大きな力になることを期待させるものでした。実際、会場でお会いした記者の方々からは、この課題に対する”本気さ”が伝わってきました。
これまで「まさか」によって失われてきた、かけがえのない「小さないのち」たちと、その原因究明から得られた貴重なデータや教訓の一つ一つが、これから先、広く社会に認知されていくことは、やがて、「まさか」が「まさか」でなくなる日が来ることへと繋がっていくはずです。そして、その時こそ本当に、子どもたちが安心して暮らせる世の中になるのだろうなと思います。
それには、朝集中会議のように、報道する側の方々だけでなく、様々な立場の人が集まって、みんなで考えたり広めたりする機会が大切です。参加する一人ひとりが「自分ごと」としてこの課題に取り組む上でも、とても重要な役割を担うと思いますので、今後もぜひ継続されることを期待します。

川島さん(40代認可保育園 園長)

危機を避けるのではなく、危機に備えることを大切にしたい。

まず、この朝集中会議というイベントを知るきっかけをお教えいただけますでしょうか?

2年前くらいから朝日新聞デジタルの無料購読をはじめていますが、新聞に子どもの記事って意外と少ないので「小さないのち」の記事は自然と目にとまりました。仕事柄、私は保育園の園長をしているので、特にそうなのかもしれません。「小さないのち」の記事は、事故の事実を、客観的に数字を交えて私たちに届けてくれるので、こちらもすごく考えさせられます。「どうしてこんな悲しい事件が起こってしまうのか?」、「保育施設としてできることは何か?」などを、うちの保育園の職員たちと一緒に話し合ったりもしました。一般の人やお母さんが、このような事件をどう捉えているのか。どういう風に伝えれば事故から守れるのかを一緒に考えてみたくて、参加いたしました。

「朝集中会議」に参加して、率直にどんなことを感じましたか?

まず最初に、どういった人が参加しているのだろう?という素朴な疑問がありました。参加してみると本当に幅広く、ふつうのお母さんから、お子さんのいない方まで色々な方が参加していました。その中ですごくいいなと思ったのは、事故の現場に立ち会った方が参加しているということ。やはり、記事を読むだけではなく、そういう人たちの言葉を生で感じることによって得られる発見があるし、ほかの人に伝わっていく伝播力も強いなと感じました。

実際にワークショップで発表したアイデアを教えていただけますか?

私たちは道路の写真を見て「まさか」を予想するグループだったのですが、家の外は想像の幅が広いので、天災的なこともあれば、人災のものもある、という感じでたくさんの意見が出ました。仕事柄、ふだんからそういうことを考える立場にいるので、どちらかというと最初は聞き役に回っていました。そのあとに、実際に保育園の現場で経験したことを話しながら、こういう目線もありますよという情報提供もしました。

会議を終えて、具体的に何か変わったことなどはありますか?

やはり個人的には「危機回避」ではなく、「危機管理」が大切だなと思いました。
隣のグループでは、「どうやったら危険を避けられるか?」を重点的に話していたようですが、それでは子どものやりたいことを制限してしまう恐れがある。体験して学べることを大人の手で刈り取ってしまうのはもったいない。そうではなく、子ども自らが危ないと気づける体験も大事にしつつ、子どもも大人も危機にしっかり対応できる力を育んでいくことが肝心です。
こういったことを園長のわたしだけでなく、現場レベルの職員にまで浸透させることが本当に大切だと思います。今までもやってきましたが、これまで以上に子どもの安全について、職員と話す機会を持ち続けていきたいと思います。

朝集中会議のとりくみについて感想とこれからの要望があればお願いします。

保育はどうしても閉じられた世界で、ブラックボックスになりやすいので、こういった「場」を新聞社さんに提供してもらえるのは大変ありがたいことだと思います。実際に事故にあった当事者の話が、記者さんを交えて、こうやって公に伝わっていくことはとてもいいことだと思います。過去の事例や情報をデータとして客観的に知ることで、予測できることが増えていくと思います。「なんとなく」危険という意識から、数字になることで具体的な危険として認識できる。そしてそれを広く伝播していくには報道の力が欠かせないと思いますので、これからも続けていただけたらと思います。

インタビュー01

浅岡さん

(30代会社員)

インタビュー02

渡辺さん

(40代会社員)

インタビュー03

川島さん

(40代認可保育園 園長)