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日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が4日に大がかりな「金融緩和」を決めた。これまでの2倍の量のお金を世の中に流して、景気をよくしようというねらいだ。その影響で、1ドル=100円寸前まで円安になったり、株価が上がったりもしている。一体何が起こっているのか。死角はないのか。「黒田緩和」を基礎から解説する。
■Q1 日銀はどうやってお金を流すの? 銀行の資産を買ってお札で払う
Q そもそもお金はどうやって流れているの?
A お金には、「お札」と「硬貨」がある。お札と呼ばれる紙幣は「日本銀行券」が正式な名前だ。
お札は、独立行政法人の国立印刷局が刷って、それを日銀が引き取る。
日銀は、銀行の資産を買って、お札で支払う。振込先は、各銀行が日銀の中にもっている口座である「日銀当座預金」なんだ。
銀行からみると、「日銀当座預金」にお札がたくさんたまっても、無利子だったり、年0・1%しか利子がつかなかったりして、もったいない。
そこで、銀行は「日銀当座預金」からお札を引き出して、個人や企業に年1〜2%で貸したり、日本政府が例えば10年間毎年0・5%の利息を払いますよといって出している借用証(国債)を買ったりするんだ。
日銀の当座預金から、銀行がお金を引き出した時点で、お札は「発行」されたことになる。これまでに発行されて、世の中に出回っているお札の量の残高は、2012年末時点で約87兆円に達している。お札を補助する役割の硬貨は、4・5兆円分流通している。
世の中に出回っているお札の量(日本銀行券発行高)と硬貨の量をあわせた「現金通貨」と、日銀当座預金に残ったままのお札(約47兆円)をあわせたものを、「マネタリーベース」っていうんだ。要するに、日銀が出し入れしてコントロールできるお金の総額のことだよ。12年末時点でマネタリーベースは138兆円に達している。
Q 世の中のお金の総量とは違うの?
A 違う。マネタリーベースは、世の中に出回るお金の元手になる部分だ。
元手が膨らむ仕組みはこうだ。
例えば、銀行が、日銀当座預金から引き出したお金を元手に、A社に100万円を貸し出すとする。A社は、そのお金をB社への返済にあてる。B社が返してもらった100万円を銀行に預け入れる。すると…