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参院選が公示され、自民党の石破茂幹事長が街頭演説三昧(ざんまい)の日々だ。過密日程を心配する声をよそに1日約10カ所。党内からも「圧勝なら続投」との声も出始めるが、強行軍でマイクを握り続ける。
「1日目は沖縄。昨日は鹿児島から熊本、佐賀、長崎。大阪を経由して今朝、秋田に来た。夜は岩手だ」
自らの強行日程紹介が、石破演説のお決まりのパターン。この日も秋田県北秋田市の街頭で触れ、約250人の聴衆を沸かせた。
「軍事オタク」として知られ、テレビ出演も多い石破氏は「選挙の顔」として地方でも人気。「握手した数、回った家の数しか票は出ない」が持論で、党職員にも日程を詰め込むよう指示する。公示後の3日間で6県26カ所で街頭演説をこなした。昨年衆院選で行った112回を超える勢いだ。
初日には沖縄、3日目の岩手、と自民党候補の不利が伝えられる数少ない選挙区にも応援に入った。沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題では県民の反発が強い「名護市辺野古への移設」方針を公約に明記して戦うことを判断。岩手では、民主党政権で復興相を務めた平野達男氏を支援すべきだという党内の声を抑え、対立候補を立てた。自民党内の基盤が弱い石破氏にとっては、一つの負けが交代論の引き金になりかねない。
党幹部が「圧勝なら幹事長続投との声が出てくる」と語るように、石破氏の党内での影響力は参院選の結果に左右されるとの見方もある。だが、強行日程を組む理由を、石破氏は記者団に「選挙の責任者が一番しんどい思いをしなければ、どんどん党内が緩む」と強調。「その後」については語らず、奔走を続ける。
(石井潤一郎)