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(被災地で生きる)憩いの場、夫と築く 横浜→南三陸

写真:友人らに囲まれて結婚式を挙げた千葉馨さん、嘉苗さん夫妻(中央)=南三陸町拡大友人らに囲まれて結婚式を挙げた千葉馨さん、嘉苗さん夫妻(中央)=南三陸町

 南三陸町歌津の馬場・中山地区。港近くの集落から山あいを抜けて内陸へ延びる1・5キロほどの砂利道は地元で「未来道」と呼ばれている。東日本大震災の津波によって、海沿いの道が断たれた。住民とボランティアは細い農道を広げ、新しい避難道路にした。

 4月下旬、その未来道をバージンロードに結婚式があった。地元で生まれ育った新郎、千葉馨さん(38)と横浜市出身の新婦、嘉苗さん(45)。

 暖かい日差しの下、ウグイスが鳴く。地元の人たちやボランティア団体のメンバーら150人ほどが集まり、道端で摘んだタンポポの花を振りまいて祝った。

 出会いは一昨年の夏。ボランティアのために町を訪れた嘉苗さんが、地区の集会所に泊まった。地元の窓口役が馨さんだった。

 嘉苗さんは横浜市の企業に勤めていた。震災直後の4月に被災地に入り、町内の保育園で炊き出しを手伝った。周りに集まってくる子供たちの不安げな表情が頭に残った。有給休暇を使って町に通いながら、「のんびり話をしたり休んだりできる場所を作れないか」と考えを巡らせていた。

 馨さんは、自宅や勤めていた地元の水産加工会社が被災。町外に支援を求めるウェブサイトを設け、対外的な窓口役を担っていた。地区に通ってくる嘉苗さんは、地元漁師らの方言を聞き取れない。そんな嘉苗さんの「通訳」も務めるようになった。

 昨年7月、嘉苗さんは町に移り住むと決め、会社を辞めた。馨さんは「辞めちゃったんですか」と絶句したが、嘉苗さんにはプランがあった。調理師の免許を持ち、イタリア料理店を経営したこともある。復興のため、トレーラーハウスを使った飲食店を始めたい。

 9月、2人はトレーラーハウスの販売会社がある茨城県へ車を走らせた。そこで見たのは、ベッドがあって宿泊もできるトレーラーハウス。付き添いだったはずの馨さんの心も動いた。ふるさとの再生には、人を集める必要がある。これなら、ゆっくり滞在してもらえる。

 助かった命をやりたいことに使いたいと考えていた馨さんは、進むべき道を見つけた。それは、嘉苗さんの歩みと重なった。

 「付き合おう」。馨さんが嘉苗さんに交際を申し込んだのは、町へ帰る車のなか。2カ月後にはプロポーズし、婚姻届を出した。

 今年4月2日、注文した3台のトレーラーハウスが海沿いの高台に着いた。馨さんは宿泊施設、嘉苗さんはカフェを開く準備を進めている。

 「波の音を聞きながら心地よく眠れるし、ここの海から昇る朝日は本当に美しいんです」と嘉苗さん。

 馨さんと口をそろえ、こうも話す。「被災地だから訪れるのを遠慮する人もいるが、ようこそ、いらっしゃいと迎えたい。たくさんの人に来てもらい、被災地について何か考えるきっかけになれば」

 宿泊施設とカフェは今月中のオープンをめざす。二つの夢は、もうすぐ一つの形になる。(福島慎吾)

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