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10月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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「考え、話し続けよう」アートディレクター佐藤可士和さん

【動画】話そう、震災遺構 佐藤可士和さんインタビュー=戸田拓撮影

写真:「自由に発想してみることも大事です」と話す佐藤可士和さん拡大「自由に発想してみることも大事です」と話す佐藤可士和さん

 東日本大震災の被災地を今後どのようにするかは、日本中の英知を集めて考えなければいけないことだ。世界も注目している。

「話そう、震災遺構」特設マップ

 震災遺構も、そのひとつ。ただし、この問題は非常にデリケートな要素をはらんでいて、判断が難しい。僕自身、どうしたらいいかという問いに対する明確な答えは用意できずにいる。

 人は忘れる生きものだ。風化は必ず訪れる。だからこそ、強いインパクトで戦争や核兵器の恐ろしさを伝える、広島の原爆ドームのような遺構が意味を持つ。

 東日本大震災については、デバイスの進化で、かつてない数の映像や画像が残っており、それを使って疑似体験ができる仕組みも作られつつある。でも実際には、何千枚もの写真を見るよりも、現場で30秒すごす方がはるかに情報量が多い。

 とはいえ、もし被災地に遺構を残すとしたら、ただ残すのではなく、遺構として機能するものにした方がいい。広島も、ドームの悲惨さと、隣接する公園の美しさのギャップゆえに、戦争や核の恐ろしさを圧倒的な力で人に訴えかけてくるのだ。

 しかし、まだ厳しい現実の前に立ちすくむ被災地の状況を考えると、実現には時間が必要かもしれない。

 だが、長く待てばいいというのではない。デザインの仕事にも、タイミングが何より大事なのだが、人の意識や認識は、ちょっとしたきっかけで変化することがあり、そのタイミングは、いつやってくるかわからない。見逃さないようにしなければいけない。

 そのために僕が大切にしているのは、ずっとウオッチし、考え、話し合い続けることだ。あきらめずに続けていれば、知らぬ間に時代がちょっとずつ前に進み、状況や発想も変わる。

 僕がブランド戦略デザインを手がけている多くの企業の場合、経営者の方々と会うたび、将来のビジョンについてずっと話している。同じことを話して、ちいさなアイデアを積み重ね、改善し続けるうち、気づけば新しいアイデアにたどりついている。

 だから、今すぐ遺構を残す、残さないを決められなくても、関心を持ち続け、考え続け、話し続けたい。

 この場が、そのきっかけになればと思う。

     ◇

 さとう・かしわ SMAPのアートディレクション、ユニクロのファーストリテイリングや楽天のブランディングをなど手がけるアートディレクター。

 東日本大震災後は、細川護熙氏がトップを務める「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」の理事として、被災地での植樹活動にかかわるなどしている。

 昨年度は、慶応義塾大SFCで半年間「未踏領域のデザイン」を担当。

 おいしくて人に贈りたくなる防災食「備食」、半分は自分でカスタマイズする防災バッグなど、やってみたくなる防災のアイデアの卵が、いくつも生まれた。

 「デザインは、ものを作ることだけじゃなくて思考を設計すること」

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