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「地元だけに決めさせるな」 前宮古支局長・伊藤智章

写真:3階まで津波が突き抜けた、たろう観光ホテル=2012年2月13日、岩手県宮古市田老拡大3階まで津波が突き抜けた、たろう観光ホテル=2012年2月13日、岩手県宮古市田老

写真:常雲寺には明治三陸津波の慰霊碑(左)と昭和三陸津波の慰霊碑が並ぶ=2013年3月1日、岩手県宮古市田老、瀬戸口翼撮影拡大常雲寺には明治三陸津波の慰霊碑(左)と昭和三陸津波の慰霊碑が並ぶ=2013年3月1日、岩手県宮古市田老、瀬戸口翼撮影

 私は、震災遺構は、被災地以外の人間が積極的にかかわって残すべきだと思っている。2万人もの犠牲者を出した東日本大震災の恐ろしさを後世に伝えるのは、我々の世代全体の義務だ。遺族の感情、復興の妨げになる恐れなどはあるが、十分配慮した上で残すべきだ。

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 そもそも遺構を残すか否か、といった重く困難な決断や、その後の維持など、過剰な負担を地元だけに負わせてはならない。

 震災から2年余。復興を急ぐ多くの地元自治体に、長期的な視点にたって震災遺構を残すという「余裕」があるだろうか。陸前高田市長は「ひとりでも『見るだけでつらい』という人がいたら、遺構は残せない」と言う。財政の裏付けもなく、跡地利用も妨げられる。地元は遺構を壊す方向に傾かざるをえない。

 この状況を変えられるのは、被災地の外の人間だ。

 3階まで壁をぶち抜かれ、骨組みだけになったホテル。破壊された防潮堤。その光景にうちのめされ、震災遺構の価値を、遺構を残す意義を痛感できるのは、むしろ外の人間だ。

 その意義を、行動で伝えたい。被災地を訪ねたり、カンパしたり、政府に遺構保存の支援を働きかけたり、投書やネット投稿で呼びかけたり。こういう場で議論するのも、ひとつだ。

 「その程度のことで残せるのか」とは言わないでほしい。その程度のことすら、十分されていないのだ。あの「奇跡の一本松」保存募金でさえ、1億5千万円の半分しか集まっていない。

 「万里の長城」と呼ばれる大防潮堤を超えた津波によって200人近くが犠牲になった岩手県宮古市田老では、震災直後から、視察や見学のツアー客を積極的に受け入れている。県によると、昨年4月から10月までで1万4千人が同市を訪れた。宮古観光協会や三陸鉄道が有料でガイドを務める。

 多くの外の人がここを訪ねることで、地元にも残す意義が鮮明に伝わる。そして、被災地への旅が、地元で、ある種の産業となれば、補助金頼みでない遺構の維持への道をひらくことにもなるだろう。

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