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映画の旅人

ゆったりと、凜と立つ 「かもめ食堂」

「好奇心に素直に、誠実に」 フィンランド・ヘルシンキ市

写真:「森のない人生は考えられない」というほど、市民にとって森は大切な場だ=フィンランドのヌークシオ国立公園、西畑志朗撮影拡大「森のない人生は考えられない」というほど、市民にとって森は大切な場だ=フィンランドのヌークシオ国立公園、西畑志朗撮影

 スケジュールが押しても、決して走ることはありません。撮影開始から6時間以内に、長めの食事休憩をとります。一日の撮影を終えたら、再開するまで10時間は空けることになっています。

 2005年の晩夏、北欧フィンランドで全編撮影した「かもめ食堂」。カメラも照明も美術も、現地スタッフが大半を占めていた現場は、深夜に及ぶ撮影が珍しくない日本と、なにもかも勝手が違っていました。町なかで路面電車を撮影中、次の電車が到着するまでの間にスタッフの一人がアイスクリームをなめ始めたときは、あぜんとしました。

 「急いでやることが素晴らしい、という日本の感覚が身についていたので、初めはどうしたらいいかわからなかった」。荻上直子監督(41)は振り返ります。

 それでも、腹を据え、気持ちを切り替えてみると、いろんなことに気づきました。仕事に入ると、彼らは集中するのです。フィンランド人の国民性を示す「シス」という言葉が、粘り強く妥協しない精神を表すように、光の微妙な色加減一つにもこだわる職人気質を発揮してみせていました。

 そうした結果なのでしょう。映画には、一貫してゆったりとした時間が流れます。そして一方では、きびきびと働く主人公の姿が際だち、両者が溶け合っています。

 

 (続きは7月20日付け朝刊の別刷り「be」をお読みください。)

 

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