1000円台から購入できるトースター市場で、2万円を超える価格で登場したバルミューダの「BALMUDA The Toaster」。オーブントースターに水蒸気を発生させるボイラーを搭載し、独自のスチームテクノロジーと、高度な温度制御によって「焼きたてのパンを再現する」という。トーストを徹底的に研究してつくりあげたという高級トースターの実力を試してみよう。

スチームと細かい温度調整

 本機でパンを焼くには、まず給水口に5ccの水を入れる。この水分がスチームとなって庫内に充満し、パンの表面を薄い水分の膜で覆う。水分は気体よりも速く加熱するので、パンの表面が軽く焼けた状態になり、パンの中の水分や油脂成分、香りを閉じ込めて焼き上げるという原理だ。パンの種類に合わせて温度調整をして焼くので、食パン、チーズトースト、フランスパン、クロワッサンの4つの専用モードが用意されている。そのほかに、従来のオーブントースターと同じ、スチームを使わないクラシックモード(ワット数によって3種類)がある。

 では早速レシピブックにあった「感動のバタートースト」を作ってみる。4枚切りパンを用意し、焼く前に厚さの半分まで十字に切れ込みを入れ、柔らかくしておいたバターを薄く塗っておく。パンをセットしたら、付属カップを使って本体上部の給水口から5ccの水を注ぐ。モードダイヤルをトーストの位置に合わせ、本体右側のタイマーダイヤルを回して時間を3分に設定。タイマーをセットするとそのまま調理が開始される。加熱がはじまるとガラスが曇りはじめ、庫内にスチームが充満しているのがわかる。やがて中が見えるようになると、ヒーターが点灯したり消灯したりして細かい温度調整が行われていることが見て取れる。

 焼き上がったパンにバターをのせて予熱で溶かせば、バタートーストのできあがりだ。耳の周囲の焼き色の濃い部分はかりっとしており、かみしめると中はもちっとして、あらかじめ塗ったバターがしみてしっとりしている。表面にバターを塗ってから焼いているのに、じとっとした感じがなく、さっくりとした焼き上がりに驚いた。これはおいしい!

ほかにはない見事な焼き上がり

 つぎにチーズトーストのモードを試した。単にパンの上にシュレッドチーズをのせて焼くだけだったが、これもとてもおいしかった。たっぷりとのせたチーズは表面がかりっとしているものの、中はとろとろ。パン自体も中がしっとりともちもちで、これだけでごちそうになる逸品だ。

 フランスパンモードは、パンのカットによって焼き上がりが異なる。ある程度の大きさのブロックで焼くと外側がぱりっと、中はふんわり。食べる大きさにスライスしてから焼くと、中までさくっとした食感になる。フランスパンは普通のオーブントースターで焼くと上部が焦げたり、中までぱさぱさになったりするが、本機ではそんな心配はない。

 クロワッサンも表面が焦げやすくあたためるのが難しいパン。クロワッサンモードで焼いたパンは、表面はさくさく、中はほかほかでしっとりとしてバターの香りがたつ。まさに焼きたてのおいしさだ。この焼き上がりはほかのオーブントースターでは体験したことがない。見事なできあがりだ。スコーンやアップルパイなどもこのモードを使う。

 また、スチームを使わないクラシックモードを使用してグラタンを作ってみた。1200Wで焼き色を見ながら調整して、約6分でできあがった。これは機能としては従来のオーブントースターと同じだ。300Wの低い温度もあるので、クッキーなどを焼くのにも使える。

トースターを超えたトースター

 本機に搭載されたスチーム機能と、徹底的に研究されたマイコン制御による温度コントロールは、すばらしい効果を見せている。実際にパンを焼いてみて、そのおいしさを実感すると、焼き方でこうも違うものかと驚く。従来のトースターが単にパンをあたためる機能であったのに対し、本機はパンをおいしく食べるための家電として、トースターを再構築した製品といえる。

 また機能だけでなく、外観を含めた製品としての仕上がりもいい。曲面をうまく使った上品で美しいボディーデザインは、さすがにバルミューダ。カラーは黒と白が用意されており、どちらもキッチンに溶け込むマットな仕上げだ。つくりもしっかりしていて、開閉する扉はずっしりと重く、スイッチ類もクリック感があり、高級感を備えている。機能も見た目も使い勝手も、価格に見合ったものといえる。

 購入をためらうとしたら、それは2万円を超える価格だろう。パンが好きで、パンをおいしく食べたい、という気持ちがあるなら「BALMUDA The Toaster」は文句なしに買いだ。さまざまなパンが確実においしく楽しめるようになる。

文・フリーライター 栗山琢宏