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2012年11月30日

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ショップ店長・バイヤーのおすすめ

大人の筆記具・万年筆の魅力

【加賀見商店・店主の目利き】第4回

モンブラン マイスターシュテュック P145

ラミー サファリ

メトロポリタン ステンレススチール CT

ペリカン万年筆 デイオンホワイト F

シェーファー ノンナンセンス

パーカー ベクター スタンダード

 今回は、今最も注目したい筆記具・万年筆を紹介します。

 私と万年筆との出合いは、小学校6年生の春休みのことでした。学習誌『中一時代』(旺文社、1946年創刊、91年休刊)か『中一コース』(学習研究社、57年創刊、99年休刊)のどちらかを年間購読しようと思ったのですが、迷うことなく『中一時代』に決めました。私のファンだった山口百恵さんがイメージキャラクターを務めていたからです。ちなみに『中一コース』は桜田淳子さんでした。そして、年間購読をするともれなくもらえるプレゼントが万年筆だったのです。カートリッジ式の「セーラー万年筆」で、軸胴部のシャンパンゴールド色が“大人”を感じたものです。初めての書き味・感触は今でも忘れません。

 さて、万年筆について簡単に触れておきます。

 1883年にアメリカの保険外交員のルイス・エドソン・ウォーターマンが、調書にインクの染みをつけてしまい契約を逃したことがきっかけで、毛細管現象を応用したペン芯を発明しました。このことが万年筆の基礎になったといわれています。日本では江戸時代以前に「御懐中筆」の名称で万年筆の前身らしきものが発明されていました。

 その翌年に神奈川・横浜の「バンダイ商会」が輸入し、東京・日本橋の「丸善」などで販売されました。当時は「針先泉筆」と呼ばれ「萬年筆」と名付けたのは、同年に日本初の万年筆を模作した大野徳三郎さんという説があります。その後日本の万年筆の製造は盛んで、1940年頃には世界生産量の半数を生産していたようです。

 万年筆はペンとともに60年頃までは手紙、はがき、公文書などの文書を書くための筆記具として主流でした。が、徐々にボールペンに代わり、70年代に公文書への使用が可能になり、また書き味に癖がなく安価な低筆圧筆記具の水性ボールペンが開発されたことにより、万年筆はあまり使用されなくなりました。

 しかし、近年その独自性・希少性・デザイン性が見直され、趣味の高級筆記具として復権の兆しが見られます。

 インクの補充方式には吸入式(吸引式)、コンバーター式(吸入器式)、カートリッジ式、インキ止式がありますが、現在の主流は、ペン軸内にインクを吸入するための機構が内蔵されている吸入式と、インクの補充を簡単に行うためインクを詰めたカートリッジを装着するカートリッジ式です。私も吸入式の『モンブラン』とカートリッジ式の『ラミー』のものを愛用しています。

 万年筆の名の通り、半永久的に使用できる。使用者の癖に応じてペン先の形状が変化していき、使用者に合った書き心地になる。そして、万年筆ならではの独特の筆跡を表現できることが挙げられます。活字ではなく直筆、それも万年筆で書かれた手紙、はがきは受け取った人の印象も変わります。

 大人の筆記具・万年筆。お手元に1本、いかがでしょうか。

プロフィール

加賀見 徹

1964年、東京都生まれ。『POPEYE』『Esquire日本版』『GQ Japan』『marie claire bis Japon』『中央公論』『婦人公論』『AERA』の各編集部を経て、現在は朝日新聞デジタル・ショッピング担当。実在しない架空のお店『加賀見商店』の店主として、気持ちだけはイタリア、イギリス、フランス、アメリカ、日本など国内外での展示会・買い付けに飛び回る。著書に『スタイリストになるための練習問題100』(雷鳥社)がある。人・物愛好家。

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