むき出しの柱や外壁。こぶのかたまりのような異様な外観から、不思議な生命力が伝わってくる。苫小牧市植苗の国道脇に立つ異形の建物。その名は「木宝(きほう)館」。

 1974年創業の岩本商会は、林産物の生産・加工・販売・輸出入などを手がけてきた。木製品などが並ぶショールーム兼店舗「木のデパートピノキオ」の板壁には「丸太1本でも売ります」。その奥に立つのが「木宝館」で、創業者の岩本哲さんが林業に関するパネルや機械などを展示し93年にスタート。そこに趣味で集めた木工芸品などが加わった。

 長男の学さんは木材の買いつけで外国に行くたび、木彫りや木製品をあつめてきた。大変なのが持ち帰りで、アメリカで巨大な鉛筆を買ったら、税関で「それ、何だ!?」。以前は収集品に興味がなかったが、社長になって変わったという。「木で生活させてもらってます。世界中に木に関わる人がいるのを知り、文化を大事に残したいと思うようになりました」。

 ユニークなのは外観だけじゃない。「木の博物館」「木彫館」「人形と猫の部屋」などが迷路のようにつながり、2階には寄贈された生活文化財をジャンル分けした「骨とう館」。館の中に次々あらわれる別の館。それらが紡ぎ出す風景は、自ら増殖する生命体のようだ。

 木は宝。ここは学さんにとって世界につながる場所でもある。「お金がかかるから難しいけど、もうちょっときれいにしたいんです」。いやいや、私の部屋よりきれいなんですけど。

文・写真 塚田敏信

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