写真・図版 岩手県の北上山地に広がる豊かな自然の中で、草食・通年昼夜放牧・自然交配・自然分娩で育てられた健康な牛たちが主役だ。

写真・図版 中洞 正さん

 牛乳やチーズ、バターなど私たちの食生活に欠かすことのできない乳製品。しかし、近年ではシステム化された酪農により、昔ながらの味わいが薄れてきているという。そんな中、草食、完全放牧など、牛本来の生き方に沿った飼育を続ける酪農家がいる。岩手県「なかほら牧場」の中洞正さんに、その苦労と魅力を伺ってみよう。

健康で自然なミルク&乳製品

 当牧場では「草食・通年昼夜放牧・自然交配・自然分娩・母乳哺育」といった牛本来の行動を大切にした飼育法で牛を育てています。世界の酪農の主流は「牛舎飼い」または「部分放牧」で、エサも効率的な配合飼料・濃厚飼料が多いのですが、「なかほら牧場」の牛たちは完全に自然な状態で育てられています。

 乳・肉・卵といった畜産物を安心・安全な食品として提供するには、何よりもその動物を健康に育てることが欠かせません。当牧場では自然な飼育法にこだわって、健康なミルク乳製品をお届けしています。

牛乳グランプリ最高金賞のおいしい牛乳

 一番の自慢はやはり牛乳です。草食・自然放牧の環境で育った健康なジャージー牛から搾った乳を、自然の風味を生かす65度で30分じっくり殺菌したのが「なかほら牧場牛乳」です。これを自家製造かつ直送でお届けしますので、季節ごとの深い味わいとサラッとした口あたりを楽しんでいただけます。おかげさまで2013年の「ご当地牛乳グランプリ」では最高金賞を受賞しました。

 また、この牛乳のもうひとつの特徴は、製造直後よりもしばらくたってからの方がおいしいということです。できれば複数本買っていただいて、1本目は届いてすぐに飲み、そして残りをしばらくしてから飲んで、味の変化を楽しんでいただけるとうれしいですね。

「奇跡のリンゴ」とコラボしたヨーグルトも

 また当牧場では、牛乳だけでなく乳製品も人工甘味料や合成添加物を一切使わずに仕上げています。そんな乳製品のヒット商品が、無農薬・無肥料によるリンゴの商業栽培に成功した木村秋則さんとのコラボ商品である「奇跡のリンゴヨーグルト」ですね。草食・自然放牧の低温殺菌乳でつくったさわやかな酸味のヨーグルトと、「奇跡のリンゴ」ジュースとのコラボで、透き通るようなリンゴの香りが楽しめます。

話題のグラスフェッドバター

 最近話題の希少品といえば「グラスフェッドバター」ですね。当牧場では量が少ないながらも本物のグラスフェッドバターをつくっています。ただ、自然放牧で乳量が多くないのと、私どものような小規模乳業者は余った乳成分を生かす手段がなく、原料である生乳の価格をすべてバターに転嫁しなければならないので、かなり価格が高くなってしまうのが申し訳ないところですが…。

 衛生管理・産地証明なども大切ですが、同時に動物そのものが健康でのびのびと過ごせているかも、重要なポイントだと私たちは考えています。ぜひ良い物を食べて、健康な毎日をお過ごしください。

文 フリーライター 宝田薫