かつては生活必需品のひとつだったマッチ。マッチを擦ったときの独特の香りや雰囲気は、なんとも言えない郷愁を誘うものだ。最近では防災やアウトドア用に水や湿気に強いマッチも開発されていて、あらためてマッチの良さが見直されているという。今回は、マッチの本場・神戸にある老舗メーカー「ナカムラマッチ」にお話を伺った。

マッチは神戸の地場産業

 当社は明治43年から神戸市長田区で100年にわたってマッチを作ってきました。意外と知られていませんが、実はマッチは神戸の地場産業で、現在でも兵庫県で日本製マッチの90%以上が生産されているんです。その理由は、出荷に便利な神戸港があったことや、乾燥工程の多いマッチ製造に瀬戸内気候が適していたこと、そして日本のマッチ王がいたことなどが挙げられます。

レトロなラベルで大ヒット

 ライター全盛の現代ですが、マッチには独特の郷愁と味わいがあります。特に箱や缶などパッケージの美しさには定評があります。当社で販売している「レトロラベル缶マッチ」もパッケージの良さが人気の理由です。この製品を企画したときは、生活環境の変化でマッチを使う機会は激減していたため、以前より長期間保存できるようにと紙箱から湿気に強いスチール缶に変更し、擦る部分もふたの内側に付けて外部からの湿気に対応しました。

 おかげでアウトドアでも非常に使いやすくなり、ついに防水テープでシールドした防災用スチール缶マッチへと進化しました。実は発売当初はそれほど売れなかったのですが、明治・大正期のレトロなラベルにリメイクしたところ、大変好評をいただくようになりました。

ギフトに使えるオリジナルラベル

 さらにこちらの「レトロラベル缶マッチ」は、派生商品としてお客さまオリジナルデザインでの注文も承っています。スマートフォンなどで撮影した画像データをそのまま缶マッチのラベルに貼り付けた、「オリジナル缶マッチ」が作れるんです。ウェディングやお店のオープンのプチプレゼントにも人気なんですよ!

2コマ漫画も楽しめる!

 ユニークなマッチとしては「2こまッチ」があります。こちらは神戸にちなんだ2コマ漫画を載せたお土産用マッチセットなんですが、第一回神戸セレクションで認定商品となり、テレビや新聞等の取材をたくさん受け、ニューヨークの新聞にまで掲載されました。当社が受注請負メーカーから企画発信型メーカーへと変わった第一歩でしたね。

 マッチは航空便を使用できないなど運送に関して制約があり、一部のお客さまのご要望に応えられず申し訳なく思っています。ただ、今でもマッチの熱烈な愛好者がいるため、扱いにくい商品ですが今後もがんばって続けていきたいですね。

 また、生活必需品の多くが海外産になってしまった現在でも、国内・神戸の地場産業として輸入に頼ることなく後世に残していきたいと考えています。創業100年以上のマッチメーカーが神戸からこんなにおしゃれにマッチを発信できると証明したいですね。

文・フリーライター 宝田薫