夏になると、かき氷やジュース、オンザロックにと大活躍する氷たち。しかし町からは昔ながらの「氷屋さん」が姿を消しつつあるという。そこで、ネットでも購入できる昔ながらの氷屋さん「氷.com」の店長さんに、自慢の氷の話を伺ってみた。
冷凍庫や製氷機の普及、後継者不足などにより、氷屋が全国で消えていきつつあります。当店はネット通販に活路を見いだしていますが、それにはあるきっかけがありました。
まだネット通販をやっていなかったころ、真冬におわんを一つ持って30歳前後の方が「雪」を分けてほしいと来店されたのです。聞けば病床のお父さまが最後に本物のかき氷が食べたいと言っておられるとのこと。真剣な表情に押され、倉庫の奥からかき氷機を出して器いっぱい氷を削ると、大事そうに胸に抱えて持って帰られました。
そのとき、彼のように「おいしい氷」を求める人が全国にたくさんいるのではないかと強く思い、ネット通販に踏み切ったんです。実際、その後も同様の理由で多くの方からご連絡をいただいており、やって良かったと思っています。そのため、当店では真冬でも、かき氷シロップや氷は欠かさないようにしております。
当店の目玉商品はアラスカ氷河の氷です。氷河の氷は、雪が何千年、何万年と降り積もり、その重みで硬く圧縮された天然の氷です。氷の内部には氷が形成された当時の大気が高圧で保存されていると言われ、とけて気泡がはじけるときパチパチと音がします。太古の風が解き放たれた音といっていいでしょうか。
この氷は、氷河クルーズで有名なプリンスウィリアム湾に自然崩落した氷河の一部を、アラスカ州政府から許可を受けて製品化したものです。厚生労働省担当官との交渉で食品衛生法改正後初めての氷河の氷輸入ということがわかり、前例がないからと当初まったく相手にしてもらえず苦労したのを思い出します。実に1年以上もかかった末にやっと許可が下りたときには、本当にうれしかったですね。お客さまには、雄大な自然と滔々たる時の流れ、崩落する轟音を夢想し、思いを馳せながらご賞味いただければと考えています。
また、おすすめ商品のひとつに丸氷(アイスボール)があります。これはオンザロック、カクテルに最適です。球形は立体の中でも表面積が小さく、同じ重さの氷の中で最も溶けにくいので、ウイスキーや焼酎などを薄めることなく、飲みごろに冷やしてくれると言われます。この丸い氷を作るのはなかなか大変で、48時間かけて凍らせた氷屋ならではの「純氷」を板状に裁断し、機械で丸く加工します。1枚の板氷から数個しか取れないぜいたくな氷なんです。オススメの飲み方は、最初は大振りのグラスに65mmの丸氷を入れ、飲んで丸氷の径が小さくなるほどに、グラスを小振りなものにチェンジしていく方法です。最後までかわいい真ん丸なことに、きっと驚かれることでしょう。
氷屋の氷には、冷蔵庫や製氷機で作った氷では得られない、感動と味わいがあります。ぜひ一度お試しください!
文 フリーライター 宝田薫
オンザロック、カクテルなどをもっともおいしく飲める球形の氷。
鈴鹿山系の伏流水が湧き出る深井戸のおいしい水をろ過殺菌し、48時間をかけて凍らせた、氷屋ならではの氷。
保存料、合成甘味料、合成着色料を使わない果汁入りシロップ。イチゴ、メロン、日向夏、青りんご、みぞれの5種類。
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