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「感動することが楽しみなんです」というオーナー。 |
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トイレも、立派なギャラリー。ちょっとずつアートを飾る楽しい空間。 |
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床一面にドローイングを貼るなど、アートを身近に感じさせる展示も行う。 |
極めて日常的なアートの楽しみ方
アートを買うことは少々勇気がいることである。だから、入門として、日常の小物をアートとして飾ることを川崎さんは勧めている。
「アクセサリーはジュエリーボックスへしまうのではなく、壁に飾ってみてください。それだけで、壁の雰囲気が変わってくるはず。芸術だからと気後れすることはないのです」
ネックレスは胸元を飾るもの、指輪は指を、ピアスは耳を…と、既成概念にとらわれていては、壁にアクセサリーを飾ろうとは思わないだろう。
「アクセサリーは元々彫刻的なディテールです。だから、彫刻作品を飾ることと同じではないでしょうか?」「ほら、これだって」と見せてくれたのは壁にかけられたお皿立てだった。「シルエットも含めて線の遊びが素敵でしょ」
立体はその場所の空気を変える。「これはなんだろう?」と立体のアートを見ることで、好奇心が生まれる。そして、モノをよく見るようになる。それが発見の糸口となるのだ。これこそがアートのマジックと言えるだろう。
「記念日などに絵を買ってみるのも良いでしょう。その絵を見る度に、記念日の思い出がありありと甦ってくるはずです。楽しかったことを忘れずにいられると思いますよ」
モノには、忘れてはいけない温かな気持ちを封じ込めることができる。アートは、実生活に役立たないものだからこそ、そういった思いや気持ちを込めやすいのだ。それが日常におけるアートの活かし方ではないだろうか。
トイレもアートを飾る空間に
「アートを買っても、飾るところがないという人がいます。でも、それは違う。どんなところにでもアートは置けるもの。例えば、ギャルリーワッツのトイレも、立派なギャラリーなんですよ」
トイレは完全な個室である。だから、一人になれる部屋でもあるのだ。そこにアートを飾る。どんなものでも良い。気になるアートを置いて頂きたい。アートがなければ、拾ってきた葉っぱや流木などを飾っても良い。トイレで過ごす時間は数分かもしれないが、その間アートに浸ることになる。いつも時間が足りないと思っている人でも、これなら手軽に実践できるのではないだろうか。
「ギャルリーワッツのトイレには、ちょっとずつアートを飾っているから、入ったお客様は必ずと言って良いほど驚くんですよ。そして喜んで下さる。そうやってアートに興味を持って頂けることは、嬉しいですね。
川崎さんは、若い人や忙しいビジネスマンにこそ、このように日常にアートを取り入れて欲しいと願う。
「現代アートは理解するものではないと思います。『なんとなく好き』でも良いのです。楽しんで下さい」
子供達の空間
また、ギャルリーワッツでは、毎年8月末に所沢の保育園の園児達が描いた絵を展示している。
「所沢から青山まで来るのは大変かもしれないけれど、それがまた良い思い出になる。お母さん方も子供の手を引いて訪れて、楽しんで下さる。自分の絵が展示されているのを見ると、子供達も大喜びしてくれる。ひと夏の思い出として、大きくなっても覚えていてくれれば嬉しいですね」
もしも、幼少に「ギャラリーに自分の絵を見に行った」という思い出があるならば、それはとても素敵なことだ。また、子供は絵を描くのが大好きである。それなのに、いつの頃から絵を描かなくなってしまったのか、読者貴兄は覚えているだろうか?
「子供は本当に素直な絵を描くんですよ。見たままの、そして感じたままの。子供の発想は素晴らしい。いつも新鮮な気持ちでいさせてくれます」
アーティストはそういった子供の頃の素直な心を忘れないからこそ、人々を感動させる作品を作れるのではないだろうか。
「ウチで個展を開く作家さん達は、まっすぐで情熱的な人が多いですね。熱心に作品を作り、日々楽しんでいる。作品だけでなく、人柄も魅力的なんですよ」
アートは心を映す鏡。喜びも哀しみをも表現できるものだ。そしてそれを手に取った時に、作者と共通の思いを得られるのかもしれない。
2007年に向けて
「来年の展示の予定は全て決まっているので、今は2007年に向けて動いています。これからも沢山の作家を紹介していきたいですね。そして、沢山の人がアートに興味を持ち、またアートとなりうるものが沢山あることに気付いてくれて日々の暮らしにふくらみを持たせられるようになったら、こんなに嬉しいことはありません」
アートを遠い存在にさせないためにもこんな展示をしたことも。単に額を壁にかけるのではなく床一面にドローイングを貼り、その上にビニールシートを置いた。まるで踏み絵のようだと、その上を歩くのを躊躇ったお客さんもいたという。しかし馴れると、気になるドローイングまで歩いて行き、思い思いに楽しんでいたそうだ。
「私はね、とても感動屋なんですよ。日々色々なものに感動している。アートを見ては感動して、空が綺麗だったらまた感動して…ってね(笑)。感動することが楽しみなんです。でもそれが、生活を潤しているのかもしれませんね」
川崎さんがアートの話をする時は、本当に楽しそうであった。こんな素敵なギャラリーのマダムのように、アートを身近なものにすれば、より良く生きることができるのかもしれない。
これからはアートを芸術と特別視するのではなく、空間の一部として、インテリア感覚で楽しんでみてはいかがだろうか?
取材/文 吉岡美那子
(11/15)