ライター 藤木俊明
藤木俊明さん
『大人の科学vol.17』。表紙もなんとなく少年心をくすぐるテルミン付録の号。
『moog Etherwave Standard Theremin』。シンセサイザーの父ムーグ博士もテルミンに影響を受けた一人。
みなさん、「テルミン」という楽器を知っていますか? 最古の電子楽器とでもいいますか、旧ソ連の科学者レフ・セルゲイビッチ・テルミン博士が1920年に発明したものです。楽器といいましても、「もわーわー」という電子音を、両手で使って演奏するものですが、演奏するというより、魔法使いが空気を動かして演奏しているように見えるでしょう。そう、テルミンは手を触れずに、アンテナに手を近づけたり、離したりして演奏する不思議な楽器なのです。
わたしたち世代ですと、有名どころではビーチ・ボーイズの『グッド・バイブレーション』というヒット曲に使われた「もわーわー」という不思議な音がテルミンです。正確には、それは「簡易型テルミン」だったようですが。
レッド・ツェッペリンのライブでも、『胸いっぱいの愛を』という曲の間奏のところで使っているとのことでDVDを見ましたら、ジミー・ペイジが途中で「もわー」と鳴らしています。演奏というより「電子悲鳴」みたいなものでした。
さて、そんなテルミンですが、なんと学研の「大人の科学」の付録についていたという情報をキャッチしました。さっそく手に入れると、自分で組み立てるキットが付いています。やってみると30分ほどでカンタンに組み立てられました。さて、組み立てたのはいいけれど、ここからが問題。テルミンは、チューニングするのが大変なのです。いろいろやっても「ぼうーぼうー」だの「キュキュキュー」だの、会社でやっていると「静かにしてください!」と怒られそうなサウンドしか出ません。中国の胡弓とか、ああいう弦楽器をわけもわからず弾いているような音色です。それでも、お手製テルミンのアンテナに、自分の手を近づけたり離したりしながら、カンタンな曲にチャレンジするのは楽しい体験でした。
このキットだけでお手製テルミンをつくるのは可能ですが、「十字の小さめドライバー」「単三の乾電池4個」は自分で用意する必要がありますのでご注意。ほんとに小さいネジですから、磁化したドライバーがあるとさらによいですが、このキットでも磁化する方法を教えてくれるので、そういうのも男の子マインドにはうれしく響きます。
このキットを目的で「大人の科学」を買ってしまったわたしですが、本体の読みものも非常に充実していて、テルミン博士の数奇な運命や、「音力パワー」の記事などついつい読みふけってしまいました。テルミン博士の波乱の生涯については映画化され、ご自身も出演しています。1993年その映画『テルミン』初上映の翌日、モスクワで博士は永眠なされたとのことです。
テルミンを演奏するテルミニスト、教えてくれるテルミン教室、そしていろいろな市販品のテルミンなど、さまざまなテルミン愛好家情報も「大人の科学」には満載でした。これで2300円とはお値打ちかもしれませんね。

金沢生まれ。リクルート、ぴあを経て独立。コンテンツ企画会社を経営。自らライティングも行い、企画に関する著書や講演多数。しかし40歳を超えて、音楽生活をしたくなり、秋葉原は神田明神下に書斎兼スタジオを設けて、日々「エレクトリックな風」を感じられる環境を設定する。音楽制作についてのPodcastもスタートさせた。玄関を出たらそこが電気街という物欲促進エリアにうれしい悲鳴。なお、近所にはメイド喫茶も多数
『胸いっぱいの愛を』でジミー・ペイジのテルミンが観られる!
大ヒット曲『グッド・バイブレーション』でテルミン・サウンドが聴ける!
テルミンはともかく、狭い部屋で音楽を奏でたくなったら。ピアノを弾くならこんなものも。
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