写真・図版 護衛艦カレーグランプリで、カレーを食べ比べる来場者=横須賀市の海上自衛隊横須賀地方総監部 写真:朝日新聞社

写真・図版 横須賀港を遊覧する「YOKOSUKA軍港めぐり」の遊覧船(手前)。奥は米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントン=横須賀港、2012年 写真:朝日新聞社

 神奈川県横須賀市で2014年4月に開催された「第2回護衛艦カレーナンバー1グランプリinよこすか」に1万8000人、5月の「よこすかカレーフェスティバル2014」には4万6000人の来場者があった。「カレーの街よこすか」人気は今に始まったことではないが、先日登録者200万人を突破したオンラインゲーム「艦隊これくしょん―艦これ―」のブームが、軍港都市として栄えてきた横須賀人気に拍車をかけているという。

 「艦これ」は旧日本海軍の軍艦を擬人化した美少女キャラクターが、謎の侵略者と戦うゲームで、2013年4月に配信が始まった。戦艦や潜水艦がセーラー服やスクール水着を着た女の子として登場するといった虚構世界を楽しむゲームが予想外のヒットとなった。

 史実そのものがゲームのテーマではないものの、艦名に実在の軍艦名を使ったり、使用サーバー名を「横須賀鎮守府」と名付けたりするなど史実を背景にした設定がちりばめられていることから、現実の歴史やその舞台にも興味をもつようになったというファンが少なくない。

 旧海軍横須賀鎮守府司令長官官舎や、日本海海戦の旗艦「三笠」が保存されている横須賀は、歴史ファン、特に海洋史ファンにとってあこがれの場所。しかし、そういった懐古趣味とは別の視点からこの地に魅力を感じる若い世代が増加しているのだ。

 キャラクター・グッズはもちろん、モデルとなった旧日本海軍艦船のプラモデルまで例年の5倍の売れ行きを示したと報じられている。

金曜日はカレーの日

 横須賀がカレーの街となったのは、旧日本軍が食生活の近代化を図るためカレーを積極的に兵食に取り入れたから。国民食化したのも、兵役を終えて故郷に戻った兵士たちによって広まっていったからと言われている。特に曜日の感覚を保ちにくい洋上勤務のある海軍では毎週同じ曜日にカレーを食べる習慣があり、海上自衛隊では金曜日の昼食はカレーと決まっている。これが基地ごと、艦ごとに自慢のレシピや伝統を生み、護衛艦対抗のカレーイベントの背景となった。

 そこで海軍の街である横須賀市は1999(平成11)年に「カレーの街宣言」を行い、1908(明治41)年の海軍割烹術参考書のレシピを元に復元したものを「よこすか海軍カレー」として街おこしを始めた。また毎週金曜日を「カレーの日」と定め、街なかのカレー店では大盛りや割引サービスなども行われている。

 横須賀市によって認定されたレストランの1軒「横須賀海軍カレー本舗」には、「艦これ」ファンに人気が高い「駆逐艦島風」にちなんだ「島風カレー」がある。ゲームのキャラクターが使用されているわけではないが、駆逐艦の魚雷に見立てたソーセージがトッピングされており、史実やゲームを知っている人にだけにわかる、いわば遊び心を楽しむメニューだ。

「よこすかYYのりものフェスタ2014」

 6月14~15日に開催される「よこすかYYのりものフェスタ2014」は鉄道関係の展示が中心だが、海上自衛隊横須賀地方総監部で海上自衛隊艦艇の一般公開が予定されている。また、会場では海軍カレーなど「よこすかグルメ」を楽しめる。

 海上自衛隊や米国海軍の艦船を間近に眺めることができる遊覧船「YOKOSUKA軍港めぐり」は、週末の予約がすぐに埋まってしまうほどの人気だ。久里浜からの東京湾フェリー、無人島猿島など横須賀の見どころは多く、既に訪問したことがある人も、新しい魅力を発見できるはずだ。

文 ジュラ・高橋洋