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< 第30回朝日アマ名人戦 三番勝負第1局 >
先手 ▲ 加藤幸男  (第29期名人)   対   後手 △ 山田洋次  (挑戦者)

加藤名人が先勝

2007年06月22日

 第30回記念朝日アマチュア将棋名人戦三番勝負の第1局(6月2日)、加藤幸男(第29期名人)―山田洋次(挑戦者)戦を紹介する。

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 ■立命館旋風

 現在、アマ棋界には立命館旋風が巻き起こっている。昨年大学日本一に返り咲いた立命館大はこれまで、数多くの強豪OBを輩出していることでも有名だ。今回三番勝負でアマ日本一の座を争う加藤幸男さんと山田洋次さんもまた、同大学の出身。大学卒業後、加藤さんはNEC、山田さんはリコーと社会人の名門チームに所属し、団体戦では中心選手として活躍しているなど、共通点は多い。

 後輩の加藤さんは、自他ともに認めるトップアマの一人。20代前半にして数々のアマタイトルを獲得した。一方先輩の山田さんは30代となってから結果を残し始め、昨年度は全国アマチュア名人戦で優勝。現在最も勢いに乗るアマチュアと言ってもいいだろう。甲乙つけがたい実力者同士だけに、棋界通の下馬評も様々だった。

 三番勝負の舞台となったのは、甲府市の甲府富士屋ホテル。12階の対局室からは甲府盆地と、それを取り囲む甲斐の山々が一望できた。振り駒の結果、第1局の先手を得たのは加藤さん。6月2日(土)13時30分、加藤一二三九段の合図で戦いの火蓋が切って落とされた。

 ■端角でリード

 加藤さんが定跡に精通している研究派ならば、山田さんは力で勝負の実戦派。山田さんは得意の右玉(第1図)で加藤さんの動きを待った。第1図以下は▲5八金右△7三桂▲3六歩△5四歩▲6六歩△8一飛▲1六角(第2図)と進む。鋭い攻めを得意とする加藤さん、面目躍如の一手。機敏に端角を放って局面をリードした。先手の狙いは▲3五歩△同歩▲3四歩の桂取り。後手はわかっていても、受けが難しい。局後山田さんは、第2図で形勢不利を認めた。しかし山田さんの強さは、容易に崩れぬ受けのしぶとさにある。金銀を押し上げ先手の飛角を圧迫し、局面のバランスを保った。

 ■山田さんにもチャンス

 進んで第3図、駒割りは角と金銀桂の交換。△3四飛と桂を取り返せば、▲6四金と急所に打たれてしまう。先手が大きく駒得をし一方的なようだが、形勢は意外と難しい。むしろここでは、後手にチャンスが訪れている。第3図では△5五角と打てば、攻防の一手だった。▲6四金を防ぎつつ、次に△7七角成から一気の寄せを狙う。よって△5五角には▲7八金と受けるが、そこで△3四飛と桂を取って十分だった。

 しかし本譜、山田さんは△6四角と打った。惜しくも最善ではないが、まだ勝負のアヤは残っている。第3図から△6四角▲2二桂成△5五角打▲7八金(第4図)と進んだ局面が「最大の勝負どころ」(加藤さん)。両者ともに1時間30分の持ち時間を使いきり、一分将棋となっている。

 ■山田挑戦者、痛恨の歩突き

 第4図、山田さんは「悪いと思いながら」(1)△7六歩と突き出した。以下▲同飛△7五銀で飛車を取ることはできる。しかし▲同飛△同角に▲7六銀打(第5図)と埋められると、厚みが違いすぎた。駒音高く銀を埋めたところで、加藤さんは優勢を確信した。

 別室に控える検討陣は、第4図で(2)△8五桂が勝ると読んでいた。以下▲8八銀△7六歩と進めば、本譜に比べて大きな得をしている。▲5六銀と最善手で応じられればやはり先手がわずかにいいが、△7七桂成と急所の銀をはがすのも大きい。秒読みの戦いの中では、まだ何が起こるかわからなかった。

 第5図以下は、加藤さんの安定した力を見るばかり。投了図は王手竜取りで大差となっているが、中盤から終盤にかけて見どころの多い熱戦だった。

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