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< 第1回朝日杯将棋オープン戦 観戦記第6局 >
先手 ▲ 金井恒太 四段   対   後手 △ 桐山隆 アマ

桐山アマ、新鋭下す

対局日:2007年07月07日

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■大学生棋士

 金井恒太四段は86年5月生まれの21歳。第40回三段リーグで14勝4敗の成績を挙げ、今年4月に四段昇段したばかりの新鋭だ。法政大学のキャリアデザイン学部に在学する大学生棋士でもある。

 キャリアデザイン学部は、03年に設立された新しい学部で、自分の生き方や目標を設計し、それを実現させる能力をつけるための学部だそうだ。社会人も多いという。

■相矢倉に

 桐山さんは「どうしても先手番が欲しかった」と局後に苦笑していたが、荒木三段の振り駒は歩が3枚出て、金井四段が先手となった。14時ちょうど、対局開始。10分ほどで36手まで指され、相矢倉に進行した。桐山さんは角換わり腰掛け銀になると思っていたので意外だったという。金井四段が四段昇段時に角換わり腰掛け銀が得意と答えていたからだ。金井四段は「そんな風に答えていましたね」と笑って語った。

■長い序盤戦

 第1図は△6四角(54手目)の局面。ここで▲8八銀と引くのは、△8六歩から歩交換を許す。▲5七銀と引き、▲6五歩からの盛り上がりを見せたのがうまい。△7三角と引かせ、▲8八銀と首尾よく穴熊を完成させた。とはいえ、穴熊にしただけでは有利にならない。先手から仕掛ける場所があまりないからだ。ガンガンに攻める展開にならないと穴熊が生きてこない。

 50手目を過ぎてから両者時間を使いだし、▲6八飛(65手目)で金井四段が、続く△6二飛(66手目)で桐山さんも1分将棋になった。70手まで進んでも、駒の交換がまったくない長い序盤戦だ。隣で行われていた▲稲葉聡学生名人―△戸辺誠四段戦は進行が早く、本局の70手目△5三銀の局面で終局していた。

■穴熊らしい強襲

 金井四段は3筋で歩を交換しつつ、1筋にも手を付ける。そして、第2図(86手目・△1四歩)から▲3三角成が穴熊らしい強襲だった。「角を切っていけると思った」と金井四段。飛車を2筋に戻し、玉頭を攻め立てていく。面倒は見切れないと見た桐山さんは△6五歩から反撃するが、こういう攻め合いは穴熊の望むところ。先手がペースを握った。

 第3図の▲3三香(99手目)から▲2四飛の攻めが好手順。▲2四飛に△2三歩は▲1四飛と回られて受けにならない。「桂馬を放っておかれるのをうっかりした」と桐山さん。しかし桐山さんも容易には崩れない。先手の飛成を許したが、△6五桂から金を取り、△3一金打と受けた。この腰の重さがアマ大会で勝ち抜く原動力だ。

■逆転

 桐山さんの粘りに手を焼いたか、金井四段に疑問手が出る。第4図の▲3四銀打(125手目)がそれだ。桐山さんはすかさず△5六角と打ち返し、以下▲4三銀成△同玉▲1三龍(△2三歩なら▲5七金で角の逃げ場がない)の王手に△5二玉(第5図・130手目)と妙手を放つ。▲6三龍△同玉と進めば、後手玉が安全地帯に逃げ込んで、先手の攻めが空を切る。

 ▲3四銀打では▲3三金と直接攻めるべきだった。以下、△5一玉▲4三金△同飛▲5四金△9三飛▲6四金△5六角に▲6三銀が好手で先手有利だった。▲6三銀で▲5三銀と真上から押さえるのは△6一玉で難しい。

 金井四段は「△5二玉とされるのが誤算だった。ここから流れが変わった」と語り、桐山さんも「ひょっとしたら逆転したのではないかと思った」と自信を見せた。▲3三桂成から▲5四金の食いつき(次に▲4二成桂が狙い)には△2三香と竜の利きを遮断して、桐山さんの優勢がはっきりした。

■チャンスを逃す

 金井四段は先手玉が絶対に詰まない形を生かして、必死の猛攻をかける。それにしても第6図の▲4四銀(145手目)のタダ捨てはすごい手だ。しかし後手玉は広く、捕まりそうにない。

 ところが、秒に追われて逃げた△6三玉は危険な一着だった。▲8一角と後ろから攻める手があったのだ。以下△7三玉(△7二桂は▲6四歩△5四玉▲4五金△同角▲7二角成)▲2三龍△同歩▲6三金△8二玉▲7二角成△9二玉▲9四香△9三桂▲7三金と一本道に進み、後手が受け切れるかどうか難しいところだった。感想戦の最後で先崎学八段が指摘した。

 本譜の▲6四歩から▲4五角はチャンスを逃した。以下は手数がかかったものの、桐山さんが慎重に寄せた。午後5時4分、172手目△8九竜を見て金井四段の投了となった。終了図からは簡単な詰みとなる。

 両者1分将棋になってから時間にして1時間40分超、手数にして100手超という激戦を桐山さんが制した。

(君島俊介)
(2007年12月26日 更新)

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