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<  第31期朝日アマ将棋名人戦三番勝負第1局  >
▲金内辰明(挑戦者)対△加藤幸男(第30期名人)

金内挑戦者が先勝

対局日:2008年5月31日

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 3月の全国大会で優勝した金内さんが3連覇を目指す朝日アマ名人の加藤さんに挑戦する三番勝負は、5月31日から6月1日にかけて甲府市の甲府富士屋ホテルで指された。金内さんを含む関係者は31日の昼、甲府市内に到着。1日早く入っていた加藤さんと合流して昼食を取った。

■プロ並みの緊張感

 対局場は天気がよければ窓外に富士山が見える12階の鳳凰(ほうおう)の間。あいにくの小雨でいい眺めは臨めなかったが、立派なカヤ盤と盛り上げ駒が用意され、その横には記録机。雰囲気はプロのタイトル戦と同様、空気が張りつめていた。記録係が加藤さんの歩を3枚取って振り駒。と金が3枚出て金内さんが先手と決まった。立会人の加藤一二三九段の「開始してください」の合図で午後1時半に対局開始。持ち時間はそれぞれ90分、切れると1手1分の秒読みだ。

■相居飛車の力戦形に

 床の間を背にした加藤さんに対し、下座の金内さんは金内さんは1分ほど考えて初手▲7六歩と突いた。

 角交換から相居飛車の力戦形へと進み、30手目△4四銀(第1図)あたりから、持ち時間が90分の将棋とは思えないほど、両者の指し手が進まなくなった。

 初めに仕掛けたのは金内さんだ。55手目▲5五歩(第2図)と歩交換に出て、リードを奪いにいった。ここから△4三金右▲5四歩△同銀▲4六歩△5三金▲5五歩△4三銀に▲4五歩△同歩▲7一角(第3図)。途中の▲4五歩は加藤さんが予想していなかった仕掛けで、金内さんが積極的に攻める展開となった。

 加藤さんは△5二飛としたが、金内さんは構わず▲5三角成と角を切る。以下△同歩に▲4四歩△同銀▲5四金△5一飛▲4四金で2枚替えに成功した。

■好手▲5四歩

 ここで加藤さんは△4一飛としたが、金内さんが金取りに構わず▲5四歩(第4図)と突きだしたのが絶妙だった。以下△4四飛▲5五銀△4一飛▲5二銀△3一飛▲5三歩成と、6六にいた銀が活用でき、5三にと金ができては金内さんの攻めが切れなくなった。加藤さんは「▲5四歩の突き出しを軽視していた。▲5四金と逃げてくれれば千日手に逃げられるかと思っていた」と言う。△4一飛のところでは△3五角と金取りに打てばまだ難しかった。

■挑戦者攻めきる

 金内さんは落ち着いた様子ながら手つきは力強い。加藤さんは首を振ったり、扇子を開いたり、動きが激しくなった。88手目の△2五桂(第5図)の局面で、加藤さんは残り7分、金内さんは9分。次の▲3三銀成を見て、控室では検討が打ち切られた。すでに後手玉に受けはない。加藤さんはあきらめず、持ち時間を使い切って△2一金打と頑張ったが、午後4時36分、101手目▲3三金(終了図)を見て「負けました」と頭を下げた。終了図以下△同角は▲同成銀△同玉▲5二飛成で後手玉に受けはない。金内さんは対局時計で5分残しての快勝。積極的な姿勢を貫き、名人位奪取に大きな1勝を挙げた。

 金内さんは「思ったより攻めが決まった。とりあえず勝ててよかった」とホッとした表情を見せた。対する加藤さんは前期三番勝負は2―0のストレート勝ちだったので、前々期の全国大会から数えて初めての敗戦。「ちょっと思ったような感じではなかった。もう1局あるので普段通り指します」。対局者、加藤九段を含めた夕食会では、2日目に向けて気を取り直そうと、快活にしゃべっていた。

(村上耕司)

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