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<  第3回朝日杯オープン戦第9局  >
1次予選2回戦 ▲飯塚祐紀六段−△長岡俊勝アマ

長岡アマが2回戦突破

対局日:2009年8月3日

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■練られた作戦

 7月4日のプロアマ一斉対局で及川四段を69手で破った長岡アマの登場である。「手数だけ見ると快勝に見えるかも知れませんが難しかったですよ」と初戦を振り返り、「1回戦が終わってからは、今日の飯塚六段との対局のことばかりを考えていました」と語った長岡アマ。本局に懸ける意気込みが感じられた。

 本局は8月3日、東京・将棋会館の特別対局室で行われた。飯塚六段はペットボトルのお茶と缶コーヒーを手に午後1時35分に入室。お盆の上に2本並べ、いったん退出した。対局開始25分前の入室は飯塚六段の気合を垣間見た気がする。

 振り駒の結果、飯塚六段の先手となった。長岡アマは「なんとなく後手になる予感がしてました。意外と、そういった勘は昔から当たるんですよ。先手だったら矢倉を教わるつもりでした」と話した。戦型は横歩取り後手8五飛。飯塚六段は8五飛対策に有効と言われている新山崎流の陣形で迎え撃つ。

 38手目△5四角までの局面は前例が4局あり、第1図の▲7七桂は、平成20年12月2日の王将リーグ・佐藤九段(当時棋王)―高橋九段戦で、佐藤九段が指した新手であり、他の3局は△5四角に対しては▲2六飛と飛車を逃げる順を選んでいる。

■想定した局面

 △8九飛で佐藤九段―高橋九段戦と別れを告げた。長岡アマはあるトッププロから「△8九飛と飛車を打ち込んだ局面は後手がやれるのではないか」との情報を得ていた。第2図の局面は長岡アマの研究がピタリとはまった形だ。

 しかし飯塚六段も▲2三歩と急所にたたき込む。△2三同金は悪形となるので取れないが、△2三同銀か△3一銀かは悩ましいところだ。長岡アマは2本目の缶コーヒーを開け、グビグビと飲みながら読みふけり、15分ほどで△3一銀と引いた。当初は△2三同銀と取り、▲2一飛△3一歩▲2四歩△1四銀と進める予定だった。この予定変更が吉と出るのか凶と出るのか。

■長岡アマは手ごたえ

 △9九飛成(第3図)と香を取り、局面は落ちついた。駒割りは銀香と桂の交換で後手の駒得。「駒得しながら攻めているので良いと思っていました」と長岡アマ。対する飯塚六段も「ここでは自信がないです」と局後に語り、後手よしと言う共通認識だったようだ。

 しかし△9九飛成に▲5八玉が怪しげな一手。7九の地点まで馬を利かせ、戦場から玉を遠ざける。長岡アマは「▲5八玉で急に(手が)見えなくなりました」と話した。

■フラフラと

 「仕方がないのでフラフラと指してしまった」と長岡アマが言う△3七歩(第4図)。この垂れ歩が飯塚六段の判断を誤らせることとなる。

 飯塚六段は▲3四香と打ち攻めに出た。一見厳しく後手玉に迫る手に見えるが、これが敗着とは恐ろしい。△3七歩には▲3七同馬と取るのが正着だった。以下△4七香成▲同馬△4六桂▲5七玉△6八銀不成▲同金引△5八金▲同金上△同桂成▲同玉(参考1図)が感想戦で盤上に示された。これならば先手が受け切っていただろう。

 「と金を作らせてはダメでしたね」と飯塚六段。長岡アマも「△3七歩は▲同馬と取られて自信がありませんでした」と話した。

■即詰みに討ち取る

 第5図は△6一玉に飯塚六段が▲4二竜と金を取り、▲5二竜〜▲8二金の詰めろをかけた局面。長岡アマにゲタを預けた。

 「頭の中で(先手玉は)詰みではないかと思っていた」と語った長岡アマだが、対局中は「う〜ん」と時折うなりながら時間ギリギリまで読み続けた。念には念を入れた確認作業だったのだろう。

 第5図から△4八と▲同金△6八銀成▲同金△4七香成▲同金△4八金▲6七玉△7五桂▲同歩に△8七竜で、飯塚六段は「負けました」とはっきりとした声で告げた。終了図以下、先手は7七に合駒をするよりないが、何を合駒しても△7六銀▲5七玉△4七馬までの詰みである。

 長岡アマは「押したり引いたりの大変な将棋でしたが、自分としてはよく指せたと思います」と振り返った。次戦について尋ねると「宮田五段は終盤に追い込んでくるイメージが強いです。ただ相手のことは考えず、最後まであきらめずに最善を尽くしたい」と抱負を語った。

 8月15日には、同じく朝日杯で勝ちあがっている清水上アマの対局を感想戦まで見守った。この熱意が長岡アマの快進撃の原動力ではないだろうか。

(滝澤修司)

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