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<  第3回朝日杯オープン戦第10局  >
1次予選2回戦 ▲千葉幸生五段―△清水上徹アマ

清水上アマ、千葉五段も破る

対局日:2009年8月15日

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■エース登場

 アマ棋界のエースと言うべき清水上アマ。6月に甲府市で行われた第32期朝日アマチュア将棋名人戦三番勝負で、金内辰明朝日アマ名人を2勝1敗で破り、初の朝日アマ名人の座に就いたのは記憶に新しいところだ。8月1、2日に行われた第30回記念グランドチャンピオン戦においても連覇を果たし、4度目の優勝を決めた。本局までの対プロ成績は6勝7敗。朝日オープン将棋選手権では、平成14年に大平武洋五段(当時四段)、平成18年には村中秀史四段、平成20年には戸辺誠五段を破っている。今期朝日杯の初戦の一斉対局では吉田正和四段を倒して2回戦に勝ち上がった。

■リベンジマッチ

 千葉五段と清水上アマは公式戦では初対局となるが、17年前の中学生名人戦の決勝で激突している。当時は清水上アマが勝利を収め、第17回中学生名人に輝いた。千葉五段としてはリベンジをひそかに誓っているに違いない。

 本局は8月15日、東京将棋会館で行われた。後手になった清水上アマがゴキゲン中飛車を採用し、対する千葉五段が▲9八香〜▲9九玉(第1図)と居飛車穴熊に囲う。

 先手が▲9九玉と入った瞬間に清水上アマは動いた。このまま漫然と居飛車穴熊に組まれる順を見ているわけにはいかない。△2五桂のタダ捨て。千葉五段は7分ほど考え▲同飛と取った。先手としては▲同飛と取らないと、△2四歩と支えられて、2五の歩をタダで取られたことになる。

■大さばき

 第2図は後手が桂損の代償に2筋を突破すべく△2六歩と突いた局面。先手としては△2七歩成を食ってはたまらないので思案しなければならない。▲1五角と4二の金に狙いをつけ△5二金寄に▲2六飛とぶつけ、勝負に出た。先手としては手放した角が働くかどうかがポイントとなりそうだ。

■千葉ペース

 第3図は△4四歩に▲5六桂の局面。この桂を打って千葉五段は手応えを感じているようだった。ただ本譜は△5五歩▲4四桂△6二金▲4一竜と進行したが、千葉五段によると「△5五歩に▲6四桂△同歩▲5三歩△6二金寄▲5七香もありました。本譜も良いと思いますが変な順でした」と語った。対する清水上アマは▲5六桂というピッタリの手を打たれて全然ダメだと感じましたと話した。

■攻防の角で迫る

 第4図の「△3五角で勝負できる順が出来たと思いました」と語る清水上アマ。7九の地点をにらみ、受けにも利かす攻防手だ。まだまだ形勢は先手がよいが、徐々に差は縮まってきている。

 △6三角に対して、▲5二銀(第5図)と打った手を千葉五段は悔やんだ。銀を使ってしまったために、▲7一銀と放り込んで後手玉を詰ます筋がなくなってしまった。▲5二銀では▲5二金と打つか、▲7一銀△同角▲同竜△同玉に▲9五銀と手を戻しておくのが穴熊的な戦い方だったであろう。

 「▲5二銀と打ってしまい、形勢が逆転してしまったと感じました」と千葉五段。清水上アマは「▲5二銀以外ならば何を指されてもまずいと思っていましたが、▲5二銀でチャンスボールが来たと感じました」と局後に話した。

■大変だったが

 △6四桂と7六の地点に攻め駒を集中させ突破をもくろむ清水上アマ。ここで千葉五段の▲8六香(第6図)が敗着となった。実際は▲7七香と打てば、まだまだ大変だった。ただ千葉五段は第5図の▲5二銀で落胆していたようだ。

 一方の清水上アマは「▲7七香と打たれたら、とりあえずは△8六香〜△8八香成と銀は取ると思うのですが、そこで困っていたと思います」と語った。まだまだ難しい局面だった。

■清水上アマ熱局制す

 終了図以下は▲5五玉△6五馬▲4五玉△5四銀で▲3四玉は△2四竜まで、▲3六玉は△2六竜までの詰みとなる。

 この日の午後2時からの対局で上野裕和五段戦にも快勝した清水上アマ。1次予選の決勝進出を決めた。1次予選突破へ、松本佳介六段と激突することとなった。

 決勝への意気込みを尋ねると「気がつけば、ここまで(1次予選決勝)来た感じです。このようなチャンスは今後ない可能性が高いので、考えすぎない程度にあらためて大事に全力を尽くしたいですね。以前ほど絶対に勝ちたいという気持ちがなくなり気楽に指せています」と語った。この良い意味で肩の力が抜けたことが清水上アマの充実ぶりを物語っていると感じた。

(滝澤修司)

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