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<  第3回朝日杯オープン戦第12局  >
1次予選3回戦 ▲宮田敦史五段―△長岡俊勝アマ

長岡アマ、3回戦で敗退

対局日:2009年9月18日

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■あと二つ

 一次予選もいよいよ佳境に入った。あと2勝すれば一次予選通過。長岡俊勝アマは1回戦のプロアマ一斉対局で及川拓馬四段に、2回戦で飯塚祐紀六段と実力者を破り勝ち上がってきた。一方の宮田敦史五段は小林宏六段を破っての勝ち上がり。鋭い終盤力と詰将棋の実力は棋界でもトップクラスであり、「スーパーアツシ君」の愛称で呼ばれている。

 本局は9月18日に銀沙の間で行われた。隣の飛燕(ひえん)の間では森けい二九段と片上大輔六段の対局があり、勝者同士が午後2時から1次予選決勝を戦うことになっていた。

 宮田が▲2六歩と突き、相懸かりに。宮田は引き飛車、長岡アマは浮き飛車を選択した。持ち時間が少ないこともあり、よどみなく局面は進んだ。

 △3三桂にピタリと宮田の手が止まり、考えること4分ほど。▲1六歩(第1図)と端を突く。▲1六歩に△1四歩と受けるのは、▲1五歩△同歩▲2一角で▲1二歩の端攻めがあり、後手の具合が悪い。

■長考の中身

 △2四歩に対する▲6六歩(第2図)に宮田は11分考えた。終盤に自信があるからなのか、とことん考えて局面をリードしたいとの思いが強いからなのか、宮田は序中盤で時間を惜しみなく投入するケースが見られる。考慮中は正座のまま一心不乱に盤上を見つめており、ほとんど動きがない。まれに記録机の方へ目をやり、チェスクロックを確認しているようにも見える。局後に何を考えていたのか聞いてみると、「▲2四同飛に△7五歩▲同歩△6五角▲6九角△2五歩▲3四飛を読んでいましたが、△5四角(変化図)でよくわからなく、指しきれませんでした」と語った。

 ▲6六歩からは△6二金▲5六銀△7三桂▲5八金△2三銀▲6八玉△7五歩と進んだが、宮田は「△7五歩では、△3五歩▲7九玉△2五歩▲8八玉に△8一飛として、△3四銀〜△2一飛と地下鉄飛車にされる順が気になった」と言う。

■悲観した長岡アマ

 ▲8六銀(第3図)で宮田は持ち時間を使いきり、1分将棋となった。「▲7九玉もありましたが▲8六銀と出たくなって……」と宮田。一方の長岡アマは「やってこい」と銀を出られ、攻め続けなければならない展開となった。戦いが長期化すれば1筋の位がいきて、先手が面白そうだ。「▲8六銀と出られて悲観してしまいました」と長岡アマ。△3六歩▲同歩△3八歩と3筋に活路を見いだすべく動いていったが、宮田は「△3六歩〜△3八歩は無理っぽいと感じました」と語った。感想戦では、▲8六銀には△2五歩▲7五銀△同銀▲同歩△9五歩▲同歩△9七歩が検討され、まだまだ難しかったようだ。

 ▲3五歩(第4図)は、後手の桂頭を攻めつつ玉のこびんを攻める手で自然な一着に見えたが、宮田は「▲3五歩は△2五桂〜△3七歩〜△3五飛の可能性が生じたため、よくなかったですね。▲7七歩と合わせて△同歩成▲同金とするか▲8八銀とした方が良かった」と話した。だが長岡アマは△2五桂でなく、△2五角。▲同馬なら△同桂で調子がいいが、宮田は▲8三馬とかわす。△3七歩▲同飛に△5八角成と角を切るしかないようでは、後手は苦しい。

■プロの貫禄勝ち

 何とか攻めをつなげようとする長岡アマに対し、宮田が馬で飛車を取って▲3四歩と突きだしたのが第5図の局面。この時の宮田の表情は自信に満ちあふれており、「これで勝ちだと思います」と語っているようだった。

 ▲2五竜(終了図)で長岡アマが投了。竜が7五の銀にも当たり、攻め駒も不足しており、投了もやむを得ない。本局は作戦勝ちから優位を拡大した宮田がプロの貫禄(かんろく)を見せつけた格好となった。

 宮田はこの後、森九段に勝った片上六段と対戦し、勝利を収めて1次予選突破を決めた。2次予選での宮田にも注目だ。

 長岡アマは「夢のような時を過ごせ、3局とも勉強になりました。今日の将棋は残念でしたが結果は満足しています」と今期の朝日杯を振り返った。また「朝日杯はアマチュアが10人も出場できる夢舞台。ぜひ継続して頂きたいですし、次の世代の人たちにもぜひ味わって欲しいですね」と言い残して対局室をあとにした。

(滝澤修司)

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