現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 将棋
  4. 朝日杯将棋オープン戦観戦記
  5. 記事

<  第3回朝日杯オープン戦第25局  >
本戦1回戦 ▲丸山忠久九段―△深浦康市王位

深浦王位が本戦2回戦へ

対局日:2009年12月25日

第1図拡大  

第2図拡大  

第3図拡大  

第4図拡大  

第5図拡大  

変化図拡大  

終了図拡大  

■重厚感のあるカード

 深浦康市王位と丸山忠久九段。両者に共通するのは、受けの強い棋風で、なかなか土俵を割らないしぶとさ。本局も激しいねじり合いが堪能できそうだ。

 深浦が後手となり一手損角換わりとなった。第1図までは前例が数局あり、ここで△5四銀と腰掛け銀にする手が多く見られる。△8四歩は深浦の趣向だ。一手損角換わりは飛先を保留して桂馬を8五に跳ねだす余地を残すのが特長だが、深浦は▲3五歩△同歩▲同銀に△8五歩とさらに突いて、その特長を放棄した。

 このあと後手の作戦の意図が、徐々に明らかになっていく。

■深浦、果敢に仕掛ける

 第2図は丸山が▲1五歩と手を戻した局面。ここで△1七歩▲同飛△2八角成と角を成り込むと思われたが、△2八角成には▲3八角と打つ手があり、自重したようだ。「飛車は取れますが打ち場所が……」と感想戦での深浦。

 深浦は別の攻め筋を準備していた。▲1五歩に対して、△8六歩▲同歩に△8五歩の継ぎ歩攻めがそれだ。序盤に8筋を二つ突いていった意図はここにあったのだ。△6六歩と6筋も突き捨て、▲6六同銀に△8五飛(第3図)と走って十字飛車。銀を取らせるわけにはいかない丸山は▲2六銀と引いたが、深浦は△8八歩と攻める。ここで△8六歩と垂らすのは▲7七桂と跳ねられ、後手の飛車が追い返されて攻めが頓挫してしまう。

 △8八歩▲同金に△1九角成と切り捨て、返す刀で△8六香と打った。後手は角・香交換の駒損だが、鋭く踏み込んでいった。

 ここで本譜は▲9八金△8九香成▲6八玉に△9五歩と進行したが、▲7八金ならば、△8九香成▲6八玉に△8八成香が利く。

 本譜の△9五歩で△8八成香とするのは、▲8六歩△同飛▲7七銀で成香を取られ、何をやっているか分からなくなってしまう。

■両者自信なし

 第4図は丸山が▲9九同金と成香を取った局面。ここでは△5五角の飛車金両取りが目につくが、それは▲6六香の切り返しがある。以下△6五歩なら▲4六銀と引く手があり、先手の飛車も金も助かっている。この進行は両者ともに自信がないと語っていた。

 深浦は△6六歩と先手の玉頭めがけて襲い掛かった。▲同歩と取らせて△6七歩が厳しいたたきだ。

■丸山、勝機を逃す

 第5図は深浦が△1九香成と飛車を取った局面。ここは手番を握った丸山のチャンスだった。本譜は▲6七角と気持ちの悪い垂れ歩を取り払ったが、局後、丸山は「▲6七角は受けになってなかったですね」。

 第5図では▲7四角と飛び出せば丸山が勝勢だった。以下△6八飛▲5九玉△7八飛成と先手玉に詰めろを掛けるのは、▲8四角△7三銀▲同角成△同桂▲4一飛△6二玉▲6一飛成△同玉▲7二銀△同玉▲6四桂△8二玉▲8三金△7一玉▲7二桂成で後手玉は詰んでしまう。

 よって▲7四角に後手はいったん受けなければならないのだが、△6三銀打は▲8四角△4一玉▲8三角成△6八飛▲5九玉△7八飛成に▲5八金(変化図)と上がる手がある。この変化を感想戦で示した深浦は「この展開は自信がありません」と語った。

 ▲6七角に深浦は△2九成香と成香を活用し、▲4四銀に△7七銀と打って挟撃態勢を築いた。この後も成香を2八〜3八と使って先手玉を追い詰めた。

 △6八金(終了図)を見て、丸山は投了を告げた。終了図では△6七竜がわかっていても受けにくい。

 丸山は「序盤で▲3四歩と打って△4二銀と引かせたからには、違う戦い方をするのでした。最後は手が見えなくて▲6七角(第5図で)と指してしまいましたが、敗着ですね」と語った。

 深浦は「居玉なので、少し無理だったかもしれませんが攻めてみました。最後の最後で△5七竜を発見し、先手は合駒を使わざるを得ないので勝ちになったと思いました」と語った。最終盤まで難しい戦いだった。

(滝澤修司)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内