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2012年9月6日19時33分
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<  第6回朝日杯オープン戦第4局  > 1次予選1回戦 ▲八代弥四段―△清水上徹アマ

新鋭、朝日アマ名人破る

対局日:2012年7月7日

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■朝日アマ名人登場

 第6回を数える朝日杯将棋オープン戦。恒例となったプロアマ一斉対局から、八代弥四段と清水上徹朝日アマ名人の一戦をお届けする。

 清水上アマは朝日アマ名人を4連覇中。野山知敬アマが持つ5連覇の記録まであとひとつに迫っている。充実著しく、アマ側の代表格といっても差し支えないだろう。対プロの公式戦では10勝11敗。指し分けに近い結果を残している。

 八代は青野照市九段門下の18歳。2012年4月に四段昇段を果たした。プロ入りから本局まで4勝1敗とまずまずのスタートを切っている。

 本局は後手番の清水上アマが得意のゴキゲン中飛車に構え、八代は超速3七銀戦法で対抗。早々から5筋で戦いが起こる、激しい流れの将棋となった。

■好みの問題

 第1図は八代が▲3八金と上がったところ。後手の飛車が素通しの状態でこちらに金が行くのは怖いが、もちろん大丈夫だと見切っている。たとえば△5八角の打ち込みなら▲5九金〜▲5七歩で角を召し捕ることができるし、△5六歩の垂らしは後で負担になりやすい。

 第1図から△5四飛と浮いた実戦例もあったが、清水上アマは△6二銀〜△8二玉と深く玉を囲う順を選んだ。積極的にポイントを稼ぐに行くか、ゆったりと進めて相手の動きを見るか。このあたりは好みの問題だろう。八代は自然に銀桂を活用し、第2図となった。

■雄大な構想

 第2図の△9四歩は清水上アマらしい深みのある一手。▲9六歩と受ければすかさず△9五歩▲同歩△9八歩▲同香△9七歩▲同香△5三角の銀香両取りがある。相手が受けられないタイミングで端を突き、拙速な動きを誘う。持久戦になれば玉形の差で後手が指しやすくなる。

 局後に八代は「忙しくなりました」と話し、清水上アマの雄大な構想をたたえた。しかし感心してばかりもいられない。勝負手気味に▲5三歩と垂らしたのが第3図。

■対応を誤る

 ▲5三歩は歩損の攻めゆえ、的確に応じられれば形勢を損ねる可能性が高い。放置すれば▲5六飛で手になるため、この歩は△同銀か△同飛で取る一手。ここで清水上アマが判断を誤った。

 第3図からは△同飛が正着だった。以下▲3三歩成△同銀▲4五桂と両取りを掛けさせ、△5四飛▲3三桂成△同桂と進めておけば後手十分の形勢だった。銀桂交換の駒損だが、持ち歩が多く手を作りやすい。玉形の差も大きく、先に突いた△9四歩が生きる展開だったのだ。

■中央からの攻め

 清水上アマは第3図で△5三同銀を選び、▲5六飛(第4図)と回られたところで失敗に気付いたという。

 「△5三同銀に▲3三歩成△同桂▲3四歩△6二銀で、桂損に甘んじる順が読み筋でした。相手が歩切れになり、2二の銀を手順に使えるのでそれなりに戦えるかと。しかし△5三同銀に▲5六飛と回られた局面は自信がないので、△5三同飛から銀桂交換の変化を選ぶべきでした」(清水上アマ)

 第4図の▲5六飛は、次に▲4五桂△5四銀▲5二歩△同飛▲4一角の攻めを狙っている。これを受けての△5四歩は、▲4五桂△6四銀▲5三歩で先手良し。4五の桂が安定する形になっては後手いけない。

 局後の検討では△5五歩▲同飛△5四歩と連打して先手を取る順が調べられた。八代は「その順ならさすがに優勢かと思っていましたが、よく見れば連打されても歩の損得はないのですね。ならば本譜より勝るのかもしれません」と語り、清水上アマも「自信はありませんが、△6四銀〜△7四歩で桂頭を攻める楽しみもあり、思いのほか大変ですか」と話した。

 実戦は▲5六飛に△6二銀と飛車交換を挑んだが、▲5二歩△7一飛▲4五桂と自然に駒を使って先手が良くなった。中央で威張っていた飛車が7一に隠居させられるのはつらい。

■名は体を……

 以降は八代の独壇場。中央からの攻めだけで後手陣を粉砕してしまった。第5図は△4四銀と打って飛車に当てたところだが、構わずに打った▲4一角(第6図)が決め手。

 対して△5五銀と飛車を取るのは、▲6三角成△4二金▲5三桂成で一手一手の寄り。清水上アマは仕方なく△6二金と逃げて▲3二角成△5五銀としたが、さすがに2枚の金銀を取られたのは痛く大勢が決した。

 投了図は▲7四桂からの詰めろになっており、受けても一手一手。先手玉はまだ安泰である。

 八代の名前は、弥と書いて「わたる」と読む。弥の字には広く遠く、隅々までいきわたるという意味があり、そのまま将棋を指すうえでの理想にもなりそうだ。

 清水上の名前は徹と書いて「とおる」と読む。徹の字には貫き通す、とことんまで行き届くという意味があり、こちらは局面を深く読むことを連想させる。

 清水上アマは第2図の△9四歩で大局観の勝負に持ち込もうとした。八代は第3図の▲5三歩から中央攻めを貫いて勝ち切った。「名は体を表す」という言葉があるが、こと本局に関しては名前とは逆の展開になったところが面白い。

 勝った八代はその後、神谷広志七段、宮田敦史六段を破って一次予選決勝に進出している。勢いは十分、もしかしたら今期の台風の目になるかもしれない。

(後藤元気)

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