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<  第6回朝日杯オープン戦第12局  > 1次予選3回戦 ▲今泉健司アマ―△大石直嗣四段

大石、アマを止める

対局日:2012年8月31日

第1図:  拡大  

第2図:  拡大  

第3図:  拡大  

第4図:  拡大  

第5図:  拡大  

第6図:  拡大  

終了図:  拡大  

■早い対局室入り

 今泉アマが対局室に入ったのは午前9時30分が過ぎたころ。早い入りは、今期の朝日杯でおなじみとなった光景だ。大石は対局開始10分前に入室。淡々とした表情で上座に着いた。

 振り駒の結果、今泉アマの先手番となり、定刻の午前10時に対局開始。出だしこそ相振り飛車となったが、今泉アマは玉を左辺に移動させて穴熊を目指した。

■三段リーグ以来の再戦

 今泉アマは1987年から関西奨励会に所属していたが、99年に年齢制限により退会した。しかし、2007年に創設された奨励会三段リーグ編入試験に6勝1敗で合格。三段リーグには編入規定の最長となる4期在籍したが、四段昇段を果たすことはできなかった。両者はこのとき2度対戦しており、いずれも大石が勝っている。今泉アマにとっては、絶好のリベンジの機会でもある。

 第1図は後手が△2五歩と伸ばした局面。先手の中飛車と左穴熊の組み合わせは珍しいが、「やってみたかった作戦」と今泉アマは振り返った。

 図では▲2六歩と突く手が見える。△同歩は▲同飛で先手優勢。だが、△4四角と出るのが軽い一手で、以下▲2五歩△2二飛で後手十分となる。

■今泉アマに誤算

 第2図は大石が3筋を突き捨ててから△2五飛と浮いたところ。「ここは▲3七銀と上がるべきだった」と今泉アマ。以下△3五飛▲3六銀△3四飛▲3五歩で、(1)△同角▲同銀△同飛▲3七桂△3六歩▲6八角は先手良し。(2)△2四飛▲3七桂はこれからの勝負で、先手は3八の金を玉に寄せていくのが楽しみである。「これなら(右辺の)駒の顔が立っている」と今泉アマは語った。

 本譜、今泉アマは力強い手つきで▲6八角と引いた。しかし、数手後に誤算があった。

以下△3五角▲4六歩に△4四角を「軽視した」と今泉アマ。▲7七角と上がって△5五飛を防いでも、△5四歩と突かれて収まらない。先手は金銀が分散しているので角の打ち込みが多いのだ。

 △4四角をみた今泉アマは手のひらで頬をたたいた。「この辺はあまり読まずに感覚で指してしまったのがひどかった」と戒める。本譜は以下▲3七桂△5五飛▲同飛△同角▲3四歩△5八飛と、激しい戦いに進んだ。

■桂得か歩得か

 第3図は後手が△7四竜と引いたところ。局面は先手の桂得だが、後手も歩を5枚手にしている。

 今泉アマは、後手の飛車が5八にいた段階で△3六歩〜△3七歩成〜△5六桂と激しく攻めかかられる手順を警戒していた。後手の竜が自陣に引き上げた第3図を前に、「ちょっと元気が出た。ここは大変(な形勢)なんかな?」。

 大石は「うーん、ちょっと……」。今泉アマが「ちょっと自信あり?」と続けると、「歩(得)が大きいかなと思いました」と答えた。控えめな大石がそう言うのだから、優勢を意識していたのだろう。

 本譜は第3図から、▲5七銀△3四竜▲6六銀右△3六歩▲4五桂△6六角▲同歩△3七歩成と進行。その後、大石は穴熊に襲いかかり、今泉アマが必死の粘りを見せる展開になった。

■今泉アマ、猛追

 第4図は先手が▲5三同歩成と、と金を作った局面。駒の損得こそないが先手は大駒2枚が働いていないのが痛く、後手優勢である。

 とはいえ、既に双方1分将棋で何が起きても不思議ではない。大石は「ここからの指し手は何をやっているのか……。もっと慎重に指すべきでした」と反省する。

 第4図から△5七歩▲5九角△6六歩に、▲2二馬と歩を取ったのが勝負手だった。以下△同竜▲6二歩△5一銀▲6一歩成△同銀▲1五角と銀取りに出て、今泉アマの手つきに力が戻ってきた。図では単に△6六歩と取り込む手が勝った。

■記録係の指摘

 「あのー、詰んでいたと思うんですが……」

 遠慮がちに口を開いたのは、本局の記録係の都成竜馬三段だった。

 第5図の▲7五金は、上部を厚くしながら▲9四歩以下の詰みを狙っている。大石は先手玉に詰みなしとみて△8四歩、以下▲9四歩△8三玉から右辺に脱走した。今泉アマは「(第5図から)詰ましに来てくれれば、こっちにもチャンスがあると思ったんやけど」と言い、大石も同意した。そこで都成三段が詰み筋を指摘したのだ。

 第5図から△8八飛成▲同銀△8九金▲同玉△7七桂打▲同銀に△7八銀が好手。以下(1)▲同玉は△5六角▲8八玉△8九金まで、(2)▲7八同歩は△7七桂不成▲8八玉△7九角▲7七玉△6六銀以下の詰みとなる。

 両対局者は「なるほど」と感心。すると今泉アマが「詰んでるんなら、ちゃんと詰ましてよ」と苦笑い。「必死に読んだんですが」と大石は奨励会の先輩に恐縮しきりだった。

 しかし、本譜も後手がわずかに残していた。

■「昔を思い出した」

 ▲5六香(第6図)に△5四桂と合駒し、▲同香に△4四玉が冷静な対応だった。香を5四に呼んだことで、△5五玉からの逃げ道ができている。

 今泉アマは▲5二香成と銀を補充したが△9七歩が大石待望の反撃。以下▲6四飛成△5四桂▲5三成香に△9八歩成から勝負を決めに行った。

 午後0時24分、△9八金(終了図)をみて今泉アマは投了した。以下(1)▲9八同玉は△8九角▲9七玉△9五香▲9六桂△9八金、(2)▲7八玉は△8九角▲6八玉△5八金までの詰みとなる。

 猛追もあと一歩及ばなかった今泉アマ。局後のインタビューで今期の戦いを振り返り、「きょうの大石君にしろ、牧野君(光則四段・1回戦)にしろ、三段リーグでも指したことがあるので、昔を思い出しました。負けたのは悔しいですが、楽しかったです」と振り返った。

(池田将之)

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