メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

09月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

<  第6回朝日杯オープン戦第15局  > 2次予選決勝 ▲三浦弘行八段―△中村亮介五段

三浦、会心の勝利

対局日:2012年11月9日

第1図:  拡大  

第2図:  拡大  

第3図:  拡大  

第4図:  拡大  

第5図:  拡大  

第6図:  拡大  

終了図:  拡大  

■力強い振り飛車党

 午前10時から行われていた2次予選1回戦の勝者同士が対戦する一局。1回戦で三浦が窪田義行六段を破った対局は午前11時51分に終局したが、中村が169手の激闘の末に鈴木大介八段を下したのは午後0時35分だった。

 その対鈴木戦の途中図(第1図)をご覧いただきたい。後手は飛車角が使いにくく、金銀がばらばら。つらい形だが、中村はこれを一分将棋のなかでうまく乗り切った。「まさかあの形をまとめられるとは思わなかった」と鈴木八段に言わせたように、中村の持ち味である力強い指し回しが光った一局。本局でもそのような指し回しが見られた。

■藤井システム

 近年、中村は流行中の角交換振り飛車を多用しているが、本局は四間飛車藤井システムに構えた。2012年の王位戦七番勝負で藤井猛九段が羽生善治王位に敗れたように「後手番藤井システムは急戦に苦しい」とされているが、局後に「藤井システムでやってみたい形があったので」と話してくれた。研究熱心なことで知られる三浦を相手に定説へ挑戦してみたい気持ちがあったのだろう。

 だが、その思惑は大きくはずれることになる。第2図の▲3八飛が機敏な一手だった。

■三浦、銀得に

 ▲3八飛は次に▲3五歩△同歩▲4六銀の仕掛けを狙ったもの。後手は2二角が浮いているので、振り飛車の常套(じょうとう)手段である△4五歩のさばきを狙うことができないのだ。中村は遅まきながら△3三角とひもをつけたが、それでも三浦は▲3五歩の仕掛け。後手玉が戦場に近いこと、8二に駒を打たれるスキがあるので依然として後手は強く戦えない。△3三角に代えて△4三銀も、▲3五歩△同歩▲4六銀△3六歩▲同飛△3二飛▲3五銀△3四歩▲3三歩△同飛▲4四銀△同銀▲同角△3五銀▲同飛△同歩▲8二銀と8二のスキをとがめて先手十分だ。

 後手はこれまでの駒組みに問題があり、中村は「こんな仕掛けがあるんですね。藤井先生が(飛車先を突かれなくても)△3三角と上がる理由がよくわかりました」と反省していた。実際に、後日の対局では▲2五歩と突かれなくても△3三角と上がる修正手順を披露している。

 盤側にいても、中村が仕掛けられて困っている様子が伝わってきた。「そっかー」と何度もつぶやき、首をひねりながら時間を使い始めたが、38手目を考慮中に時間が切れて1分将棋に。対する三浦は仕掛ける前に少考した後は文字通りのノータイムで、残り時間が20分近くも残っている。本譜は銀を犠牲に飛車をさばかれたが(第3図)、三浦は丁寧な指しまわしで駒得の拡大を目指した。そして▲8二銀(第4図)が挟撃の手筋。次に▲4三と寄が▲5二と上からの詰めろになる。形勢も時間の使い方も、三浦好調の流れだ。

■中村の金さばき

 絶体絶命に見える後手玉だが、ここから中村が力を見せる。△7四金から△6三玉としかたなく逃げたように見えるが、△6五金〜△5六金(第5図)が力強い金さばき。△5四玉と中段にはい出したこともあり、5筋を制圧する5六金が攻防に働く駒になったのだ。▲5二角成で三浦も時間を使い切り、一分将棋に。苦しい局面を持ちこたえて時間が追いついたこともあり、記者の目からは中村ペースにも見えた。少し進んで第6図は三浦が慌て気味に香を補充した局面。中村自身も「逆転したか」と思ったようだが……。

■中村、勝負手を逃す

 第6図で中村は力強い手つきで△4六歩。だが三浦の▲5七飛をみて、ふたたび「そっか」とつぶやいた。この手が中村の見落とした好手で、急所の5六金を消す狙い。この一手で三浦が勝勢になった。

 感想戦では△4六歩に代えて△3五馬が正着だったとされた。以下▲5七香に△5五桂▲4三馬△6三玉が一例。「先手が勝てそうですが、この方が大変でしたか」という三浦の問いに中村も「そうでしたね」と悔しそうな表情を浮かべた。終了図の局面は△6六玉は▲5六金までの詰み。△4五玉は▲5六金△3五玉▲2五馬以下の詰みだ。

■三浦、3回目の本戦へ

 三浦が「不思議」、中村が「逆転したかも」と感じていたように実戦的には難しい展開が続いたが、感想戦で調べたところ最後まで先手が押し気味だったとされた。後日の取材に三浦は「早指しなので最善手を指すのは難しいですが、変な手は指していなかったと思います」と内容には満足していたようだった。

 抱負を尋ねると、「今の時点では対戦相手はわかりませんが、大変な相手が来るのは間違いありません。今までは本戦1回戦、午前中で負けているんですよね。なので、とりあえずはベスト4を目標にしたいです。公開対局が行われる有楽町に行ければと思います」と静かに語った。ファンからは「みうみう」と呼ばれ、ニコニコ動画の解説などが人気の三浦。今度は対局者としてファンに生の姿を見せたいことだろう。

(小島渉)

検索フォーム

朝日新聞 将棋取材班 公式ツイッター

※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。

将棋グッズ

注目コンテンツ

  • 写真

    【&BAZAAR】誰でも手軽に特撮ごっこ

    遊べる特撮加工アプリ

  • 写真

    【&TRAVEL】一つの宿に15もの温泉が

    楽しいひとり温泉

  • 写真

    【&M】横須賀でのイベントに20万人

    ポケモンGOの進化が変える未来

  • 写真

    【&w】コーヒー農園を訪ねて

    ネスプレッソ〈PR〉

  • 写真

    好書好日LGBTヘイトは自殺を誘発

    トランスジェンダー男性が自伝

  • 写真

    WEBRONZAさくらももことガロとたま

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジン宿泊先のアメニティを使う?

    ライフスタイル世論調査!

  • 写真

    T JAPANせきねきょうこが選ぶホテル

    新・東京ホテル物語 第27回

  • 写真

    GLOBE+無償ボラ成功の秘密

    サッカーロシアW杯に学ぶ

  • 写真

    sippo多くの猫を預かり夫婦で世話

    「どの子も幸せに」

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ