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<  第6回朝日杯第35局  > 本戦準決勝 ▲菅井竜也五段―△谷川浩司九段

菅井、谷川破り決勝へ

対局日:2013年2月9日

第1図:  拡大  

第2図:  拡大  

第3図:  拡大  

第4図:  拡大  

第5図:  拡大  

参考図:  拡大  

終了図:  拡大  

■若武者、さらなる高みへ

 ベスト4に進出し、「有楽町朝日ホール」に姿を見せたのは谷川浩司九段と菅井竜也五段。特に菅井は2年連続でのセミファイナル進出。1992年4月生まれで、対局時は20歳。頼もしい俊英が出てきたものだ。

 一方の谷川は言わずとしれた関西の雄。菅井が生まれた92年にはすでに名人4期をはじめ、数々のタイトルを獲得していた。菅井から見れば偉大な一門の先輩だ。

 対局は公開で行われ、開始からわずか数分。谷川は△2二飛(第1図)と飛車を振る。相振り飛車を選択したのだ。谷川は昨年12月に日本将棋連盟の会長に就任した。将棋の研究に費やす時間は大幅に削られたはずだ。そのため振り飛車党の菅井の研究がいきとどいている対抗形よりは、力戦になりやすい相振り飛車を選んだのだろう。

 谷川も「将棋はもっぱら実戦だけです」と語っていた。また「後手になったら相振り飛車は予定でした」とも話している。一方の菅井は「居飛車だと思っていました」と短く語った。

■手に乗って反発

 7筋で歩を交換し、ここで谷川は素早く反発。△2六歩▲同歩△2五歩(第2図)と動いたのだ。これは先手が7筋で動いて1歩を手持ちにさせてしまったために生じた歩だ。▲2五同歩△同飛▲2六歩に△8五飛と転回するのが谷川の狙い。▲7七飛△7六歩▲6七飛と先手の飛車を窮屈にした。この辺りを振り返った谷川は「1歩損ですが、飛車を転回した局面はまずまずかなと。ただ、そのあと玉を固めたのがちょっと……」と話す。

 両者の対局姿は好対照。谷川はいつも通り、優雅な手つきで静かに駒を進める。菅井は開始から上着を脱ぎ闘志を表に出す。大先輩に対してもけっして臆することなく立ち向かう。棋力だけではなく、勝負度胸も並ではない。

 本局の大盤解説は藤井猛九段。藤井九段は解説会で菅井について「老獪(ろうかい)」とのフレーズを何度か用いた。パワフルな攻めだけでなく巧みなテクニックも褒めたたえた表現だろう。

 しばしの駒組みがあり、▲5四歩の垂らしに△5五歩(第3図)とど真ん中を谷川が押さえて局面は動き出す。ただし「△5五歩から決戦に出たのですが、自信があったわけではありません」と局後に谷川は話している。△5五歩に菅井は▲6五歩と切り返す。▲6五歩に考慮中、谷川は持ち時間の40分を使いきる。

■強引だった放りこみ

 駒が派手に交換され、△6四同金(第4図)と谷川が応じた局面。ここで本譜は▲7三銀だったが、▲5三歩成と成り捨てる手が勝った。以下△同銀▲8二歩△同玉▲7三銀△同桂▲同歩成△同金▲7一角と打てば後手陣は崩壊していた。これには谷川も「そうですね。基本手筋ですね」と苦笑いしつつ話した。

 ▲7三銀に△2七歩▲同玉△5四馬と引き上げて後手は息を吹き返した。馬が攻防の要所で頑張っているため後手陣はなかなか寄らない形になった。「▲7三銀は強引すぎました」と菅井は反省気味に振り返った。

■寄っていた先手玉

 谷川が先手玉を上から押し潰し、△2六銀に▲1八玉(第5図)と落ちた局面。ここで△2七銀打なら決まっていた。

 ▲同銀と玉の横腹を開けて△6八飛成ならば、先手は▲5八銀と打つしかない。▲2八歩と受けるのは△2七銀成▲同玉△2六銀と上を押さえつけて詰みである。

 ▲5八銀以下、△2七銀成▲同玉△2六銀▲同銀△同歩▲同玉△2五歩▲3七玉△2六銀▲4八玉△5七金▲3九玉に△5八金(参考図)と取れば明快だった。

 本譜は▲1八玉に単に△6八飛成としたため、▲2八歩と歩で受けるのが妙に寄せにくいのだ。△9八竜と香を取るも▲4八角としっかり受ける。「▲2八歩〜▲4八角と打たれた局面は難しくなっています。角を打たれて困っていますかね」と谷川。「やっている時は『角では……』と思っていたのですが」と菅井が語ったように、どちらも形勢に自信があったわけではないようだ。

 ▲4八角△3七銀不成▲同銀△8九竜に▲7五角と飛び出す。自陣へ打った角は受けだけではなかった。解説の藤井九段も「あれ、これは(▲5三角成以下の)詰めろですよ。いつの間にか先手がやれていますね」と話すように、菅井が体をスルリと入れ替えていたのだ。

 以下△4一桂に▲6七飛△6二歩▲5三銀(終了図)で谷川は駒を投じた。

 終局後すぐに「ひどいことをしてしまいましたね」と谷川。「最後はポッキリ折れてしまって残念」と続けた。

 菅井は「想定していた将棋ではなかったが、自分らしい勢いのある将棋が指せた」とちょっとハニカミながら応じた。

 昨年は準決勝で敗れたが、今年はさらに上のステージへ。感想戦を終えた菅井からは、決勝へ向けて「やってやるぞ」と静かに燃えている気配が、ちょっぴり感じられた。

(滝澤修司)

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