現在位置:asahi.com>将棋>名人戦・順位戦>第66期> 記事


名人への道(3)

「三段リーグ」越えて初めて 奨励会:下

 タイトル経験者から低段者まで棋士のだれもが、人生で最もうれしかった出来事に「プロになったとき」を挙げる。その気持ちは「ほっとした」(中川大輔七段)、「これで一生将棋が続けられると思った」(杉本昌隆七段)など様々。共通しているのは、高いハードルを乗りこえた者だけが享受できる喜びにあふれていることだ。

写真 第40回三段リーグ表。星一つの色で人生が決まることもある (※クリックすると拡大します)

 奨励会員は、厳しい競争を勝ち抜いて三段まで上がると、「三段リーグ」に入る。在籍者は現在約30人。リーグは半年に1期行われ、それぞれが18戦し、成績順に上位2人がプロとなる四段に昇段する。同星ならシード順上位者が優先される。

 三段リーグの対局は、二段以下とは別室で行われる。取材で写真撮影が許されるのは開始のときだけ。その後は棋士でも入室を遠慮する。幹事を務めたことがある豊川孝弘六段は「空気が変わることがあり、対局者に影響を与えたくないから」と理由を語る。

 4月に昇段したばかりの伊藤真吾四段(25)は04年度後期リーグで14勝しながら順位差に泣いた。過去11勝7敗で昇段した者もいたが、相対評価だから仕方ない。リーグ中盤を過ぎるころになると、プレッシャーからか将棋を指している夢を何度も見た。決まって負けたとたんに目が覚めたという。

 奨励会には「満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段に達しない場合は次回のリーグに参加できない」という年齢制限がある。勝ち越せば次のリーグに出場できるという延長規定はあるが、それも29歳まで。20歳を過ぎた会員にとっては、1期終わるごとに寿命が縮む思いがするのだろう。

 リーグ最終日は、昇段を決めた会員を囲んだ打ち上げがある。棋士も駆けつけ祝福する。同じ苦労を乗り越えた仲間として認めるのだ。

2007年4月17日 朝日新聞夕刊




このページのトップに戻る