現在位置:asahi.com>将棋>名人戦・順位戦>第66期> 記事


名人への道(5)

新人に厳しいプロの洗礼 順位戦C級2組

 五つに分かれた順位戦で、C級2組は最下位ランクだ。昨年8月29日に一斉に指された3回戦23局の中に、タイトル戦やA級順位戦に交じって、棋士の推薦で選ぶ06年のベスト対局の10位に入った一戦があった。

写真

 現在、71歳で現役最年長の有吉道夫九段とプロ3年目になった21歳の中村亮介四段の対局。戦況はいったん有吉に傾いたものの中村が粘って混戦になり、最後は有吉のミスに助けられた中村が勝利を収めた。

 深夜に及ぶ272手の激闘ではあった。だが、控室に詰めた棋士たち、インターネット中継で見守ったファンをくぎ付けにしたのは、踏みとどまろうとする者と上に昇ろうとする者との気迫のぶつかり合いだった。

 C級2組はベテランから若手まで様々な棋士が所属する。今年度は45人。成績上位の3人がC級1組へ昇級し、下位の5分の1(今年度は9人)には降級点がつく。降級点を3回取ると、引退が見えるフリークラスに降級する。奨励会を抜けて四段になった新人は、そんな崖(がけ)っぷちでまず、昇級を目指す。

 リーグは1年間で10戦する。同じレベルのプロの戦いで、勝率7割を超すのは容易ではないと言われるが、昇級ラインは8勝か9勝。9勝でも上がれなかった先崎学八段や深浦康市八段の例もあり、1敗が命取りになることが多い。ここ6年は毎年のように新四段が降級点を取っている。若手の数が増えているのと、ベテラン勢のがんばりが、争いを激しくしている。

 C級2組で5年苦しんだという森下卓九段は「長くいるほど負けられないというプレッシャーが強くなり、泥沼に足を取られるように勝てなくなる」と話す。新人はここで初めてプロの厳しさを味わうのである。

2007年5月1日 朝日新聞夕刊




このページのトップに戻る