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名人への道(8)

超一流のみ駆け抜ける「鬼のすみか」 順位戦B級1組

 04年6月25日、順位戦B級1組の2回戦が一斉に指された。午前10時開始で持ち時間は各6時間。双方時間を使い切ると終局は深夜0時を回ることが多い。この日も全6局のうち5局は午後11時から翌1時台に終わった。だが残る行方尚史七段(当時)―中川大輔七段戦は異例の展開を見せた。

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 中川が攻め、行方が受けに回った終盤は、互いの王将が敵陣に入る相入玉(あいにゅうぎょく)模様になり、午前1時35分に241手で持将棋(じしょうぎ)(引き分け)が成立した。30分後に指し直しとなったが、これも夜が明けた同4時58分、122手で互いに同じ手順を繰り返す千日手(せんにちて)に。再び30分後に指し直し、結局勝負がついたのは朝の9時15分(111手で行方勝ち)。丸一日かけた激闘だった。

 B級1組リーグは同2組以下と違い総当たり制で、成績下位の2人は即降級となる。中川は2期目、行方は1期目。A級を狙う以上に降級を避けるためには、リーグ序盤の星一つであっても落とすことは出来ない。

 このクラスは、ひと昔前は「鬼のすみか」と呼ばれた。鬼才が多く巣くっているという意味だ。

 順位戦を長く観戦してきた河口俊彦七段は「昔は福崎文吾九段や森けい二九段ら、ひと癖もふた癖もある強者(つわもの)がそろっていた。個性派はつぼにはまれば誰でも負かすが、ムラもある。だからA級には残留しにくい。そんな棋士がごろごろしていた」と話す。最近はメンバーが若返って、昔のイメージはなくなったというが、A級経験者は今期13人中7人もいる。やはりこの中では生き残っていくのは難しい。

 一方で青野照市九段は「超一流は1期で抜ける」と話す。羽生善治三冠や森内俊之名人、佐藤康光二冠ら、現A級11人(名人含む)のうち8人が1期でA級に上がっている。

2007年5月22日 朝日新聞夕刊




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