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プロ棋士の直観は努力のたまもの 理研、米誌に発表

2011年1月21日

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 将棋の羽生善治名人らプロ棋士が直観的に次の一手を選ぶ際、アマチュアにはない脳の神経回路の活動があることを、理化学研究所や富士通などのチームが突きとめた。この直観を導く回路は普通の人にもあるが、長年の訓練で上手に使えるようになると考えられる。21日の米科学誌サイエンスで発表する。

 理研脳科学総合研究センターの万小紅(ワン・シアオホン)研究員らは、日本将棋連盟の協力で羽生名人らプロ棋士28人とアマチュアの有段者34人に、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)装置の中に入ってもらい、瞬時に状況を判断する際の脳の活動を調べた。

 この結果、プロだけが活発に働く大脳の領域が二つあることが分かった。一つは、実戦的な序盤や終盤の盤面をみたときに活発になる頭頂葉の後部内側にある「楔前部(けつぜんぶ)」。駒を無意味に並べた盤面やチェスでは活動は低かった。

 もう一つは、次の一手を直観的に選ぶ際に働く大脳基底核にある「尾状核(びじょうかく)」。詰将棋を1秒だけ示し、一手を2秒内に四つの選択肢から選ぶ問題で突きとめた。考える必要がない問題や、じっくり選ぶ場合は活動しなかった。

 楔前部は空間イメージを形成するとき、尾状核は体で覚えた行動をするときに活性化すると知られている。

 二つの領域は連動していることも分かった。プロは盤面情報を楔前部で処理して、瞬時に尾状核へ送り次の一手を導き出すらしい。長年の訓練によって二つを結ぶ神経回路が発達して、プロの直観を生み出している可能性がある。

 田中啓治チームリーダーによると、羽生名人の結果はプロの中で特に秀でていたわけではなかった。「熟練者の直観は天性ではなく、努力によるものと考える。プロでもトップ級になるには、他にもっと複雑な思考を生む脳の仕組みがあるのだろう」と話した。(佐藤久恵)

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