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2012年3月13日15時13分
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逆転また逆転 未明の決着 将棋順位戦C級2組

 2月15日午前1時40分過ぎ、終局直後の対局室で目に飛び込んできたのは、2人の真っ赤な指先だった。順位戦C級2組9回戦。32歳の遠山雄亮五段と24歳の船江恒平四段(現・五段)が顔を火照らせ、身の内に余した熱を放っていた。

 遠山は「形勢は揺れていたが、勝ちの局面が一瞬、あった。大きなミスはしていなかった」。一方の船江も、「粘れるだけ粘ろう」と、心を決めて、食い下がった。互いに勝ちを逃したり間違えたりもして、最終盤は泥仕合に。両者1分将棋の末、遠山が自玉の詰みを見逃して頓死。192手で船江が勝ち、順位戦9連勝とした。

 「形勢がジェットコースターみたいで全然わからなかった」「10回くらい逆転したかなあ」「『詰めろ』くらいかけろよ、オレ」「いや、ひどかったねえ」。高揚感の残る対局室に、2人の声が響いた。

 お互い、空を切ろうとも、総身の力を振り絞ってパンチを繰り出すボクサーのよう。将棋に詳しい記者からも「ふらふらになって、間違えても間違えても戦う姿がよかった」という声があがった。昇級戦線を左右する一番にふさわしい熱戦だった。

 東京の遠山と大阪の船江は初手合い。「こんなに熱い将棋はめったに指せるものじゃない。気力体力ともに、次に備えようと刺激を受けた」と遠山。船江は「最後は疲れと負けたくない気持ちが入り交じってぐちゃぐちゃ。でも力は出し切れた」。

 2人とも、その日は朝まで寝付けなかったという。後日、遠山が笑顔ながら、「調子が戻るまで1週間ほどかかった」と言ったほどだ。船江は3月の最終戦も勝ち、10戦全勝で来期はC級1組へ。遠山戦の勝利で、「いけるかも」と昇級を大きく意識したという。(小川雪)

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