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2012年4月8日16時11分
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〈世界へ広がる将棋〉上海っ子が夢中、大会に1千人

写真:日本で棋士を目指すという張毅さん(左)。この日の大会で優勝した=上海市の恒豊中学拡大日本で棋士を目指すという張毅さん(左)。この日の大会で優勝した=上海市の恒豊中学

 3月中旬、中国・上海市立恒豊中学の「(日本)将棋室」で、中国人の少年少女がにぎやかに駒を並べ始めた。小学生から大学生まで約120人が出る日本将棋の大会だ。予選を含めれば約1千人が参加した。

 大会は、渡辺明竜王らの師匠でもある棋士、所司和晴七段の名を冠している。所司さんは、1993年から中国で日本将棋の普及に携わっている。

 大会で優勝したのは張毅さん(13)。日本でプロを目指そうとこの夏、棋士養成機関の奨励会を受験する予定だ。将棋は小学1年生の時に学校で習った。囲碁やシャンチー(中国将棋)も覚えたが、「取った駒を使えるなど、将棋の複雑な仕組みがおもしろい」とのめり込んだ。

 日本語塾に通いながら毎日2時間ほど、詰将棋や棋譜並べ、ネット対局で腕を磨く。羽生善治二冠と久保利明九段のファン。「厳しくても、努力して突破したい。僕にはこの道しかない。日本で成功したい」。兄のキンさん(キンは品の口がそれぞれ金=15)も一昨年に来日。今春、日本の高校への進学を決め、プロへの夢を追っている。

 大会の翌日、所司さんらは、将棋クラブが活発な、小・中一貫の曹楊二中付属学校で指導した。中学1年の陳旭洋さんは「将棋を始めて、考えることが好きになった。成績も上がった」と満足そうだ。同学年の康世軒さんは父親も将棋が好きになり、自宅用に盤と駒を買ってくれたという。

 冷暖房を完備した近代的な校舎で、理科や音楽教育にも力を入れる同校の張彦昌校長は「将棋を通じて、似ているようで違う中日の文化の相互理解が深まる。集中力や礼儀を身につけ、思考が深くなるため勉強にもいい影響が出る」と効用を説く。

 上海では公立の学校間でも競争が激しい。優秀な生徒を集めるため各校は差別化を図っており、「外国ブランド」の将棋が注目される面もあるようだ。

 上海では、約80の公立の小中学校が、授業やクラブ活動に日本将棋を採り入れている。普及の立役者が許建東さん(48)だ。約20年前から将棋の教室や大会を開き、学校に講師を派遣するなどしてきた。

 20代の8年間を日本で学び、働いて過ごした。将棋は、勤務先の貿易会社の上司から習った。アマチュア五段にまで上達し「たとえ日本語ができなくても、深いコミュニケーションができる」と帰国後に普及組織をつくり、盤駒を学校に寄付して指導を進めてきたという。(小川雪)

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