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2012年4月8日16時32分
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〈名人400年、頂上決戦〉森内名人と羽生二冠、7回目の対決

写真:羽生善治二冠(左)と森内俊之名人拡大羽生善治二冠(左)と森内俊之名人

 この10年間で名人の座に就いたのは羽生と森内の2人だけ。だが、両者の棋士としての歩みは全く異なる。

 羽生は19歳で初タイトルを獲得し、1996年には7タイトルを独占。若くして将棋界の「顔」となった。一方、20代の頃の森内は棋士のトップ集団にはいたものの、タイトルには手が届かなかった。

 だが、30代に入り、森内の実力が開花する。03年から04年にかけて、羽生から3タイトルを立て続けに奪取。07年には、羽生より先に永世名人の資格も得た。

 名人戦での対戦成績は3勝3敗と全くの五分。7回目の対戦は、大山康晴十五世名人と升田幸三実力制四代名人の9回に次ぐ多さだ。まさに永遠のライバルと呼ぶのにふさわしい関係と言える。

 ここ数カ月の両者の成績は対照的だ。3月上旬まで14連勝した羽生に対し、森内は昨年10月から12連敗している。現役名人のここまでの不振は異常事態と言える。

 だが、持ち時間が9時間ある名人戦七番勝負は、森内が最も得意とする舞台だ。直近の勢いの違いを感じさせない好勝負となる可能性は十分にある。(村瀬信也)

■森内名人「節目の年、対局は光栄」

 「名人400年」の節目の年に、名人として対局できることを光栄に思います。羽生さんは自分の実力を引き出してくれる相手。歴史を代表する棋士と戦えるのは最高の喜びです。

 今期A級順位戦での羽生さんの戦いぶりは、危なげがありませんでした。気持ちがのっているな、という印象を受けます。自分はしばらく勝っていませんが、最後の対局は1月ですし、負けていたのはもう随分前のこと。いい状態で七番勝負に臨みたい。

 20代、30代の時は、頭の中で計算し尽くして、局面の答えが見えてから指そうとしていましたが、最近はそうはいきません。でも、経験を積んだことで、読みの途中の段階で、ある程度判断できるようになりました。それが今の自分の大きな武器だと思っています。

 昨年の名人戦では、苦しい局面でも気持ちを持続できたことが勝ちにつながりました。自分はひらめくタイプではなく、地道に読みを積み重ねていくタイプ。納得がいく将棋を指すために、9時間という持ち時間は大きいですね。

 羽生さんと名人戦で戦うのはこれで7回目。これまで戦前の予想は、「森内が苦しいだろう」ということが多かった。今回もそうでしょうが、始まってみれば面白いシリーズになると思います。期待して欲しいですね。

     ◇

 もりうち・としゆき 横浜市生まれ。1987年、16歳でプロに。02年、初タイトルとなる名人を奪取。07年、永世名人(十八世名人)の資格を得る。タイトル獲得は計9期。

■羽生二冠「晴れ舞台、動じず指す」

 今期のA級順位戦は接戦が続きました。小さなミスはあったものの、致命傷にならなかったのが良かった。終わってみると、3回戦の渡辺明竜王との一局が大きかったですね。

 内容面で印象深いのは、4回戦の高橋道雄九段戦。作戦通りに進んだのですが、誤算があって苦しい時間が続きました。実戦と研究は違うということを深く感じました。

 A級順位戦では、まず残留することを考えます。今回も挑戦を意識したのは、残り3局になってから。9戦全勝という結果でしたが、こういうこともあるのだなと思います。

 最近、研究は時間の長さより密度が大事だと考えています。盤に向かわなくても、空いた時間に気になる局面について考えを巡らせることもできる。10代、20代の頃は、だいぶ突き詰めて研究しましたが、今は結論が出なくてもそれほど気にしなくなりました。

 森内さんとは100局以上対戦していて、棋風はよくわかっています。安定感が強みなので、私も動じずに指す必要があります。

 今回の名人戦にタイトル獲得81期の記録がかかることは、あまり考えていません。今年は「名人400年」であり、70期目の名人戦ですが、ここまで続くのは大変なこと。晴れ舞台にふさわしい将棋をお見せしたいと思っています。

     ◇

 はぶ・よしはる 埼玉県所沢市生まれ。1985年、15歳でプロに。96年に史上初めて七冠を独占。08年、永世名人(十九世名人)の資格を得る。タイトル獲得は計80期。

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