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2012年6月19日15時54分
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名人防衛の森内、スタミナまざまざ

写真:第6局を振り返る森内名人(左)と羽生挑戦者。敗戦のショックからか、羽生は時折、頭を抱えてうつむいた=13日夜、北九州市小倉北区、小川雪撮影拡大第6局を振り返る森内名人(左)と羽生挑戦者。敗戦のショックからか、羽生は時折、頭を抱えてうつむいた=13日夜、北九州市小倉北区、小川雪撮影

写真:A図・▲4一飛まで拡大A図・▲4一飛まで

写真:B図・△3二金右まで拡大B図・△3二金右まで

表:今期七番勝負の勝敗と戦型今期七番勝負の勝敗と戦型

■羽生に並ぶ通算7期目

 第70期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催)は森内俊之名人が4勝2敗で羽生善治二冠を破り、防衛を果たした。名人戦で7回目となるライバル対決は、先手番の利と共に、名人戦での森内の強さを改めて感じさせるシリーズになった。

■目立った先手の利

 「名人400年」の年のシリーズは、優位に立った先手がそのまま押し切る場面が目立った。

 第1局は森内の先手で相矢倉。同じ顔合わせだった昨年の第4局と同一局面が続き、昨年は先手で勝った羽生が82手目で別の手を指したが、うまくいかなかった。第2局以降も後手が工夫するものの先手が勝ち続け、第5局を迎えた時点で2勝2敗となった。

 第5局は初めて▲7六歩△3四歩の出だしが現れ、横歩取りに。2日目の夜になっても形勢不明のまま最終盤を迎えた。

 A図は先手の森内が▲4一飛と打った局面。ここで後手は△3五玉と逃げたが、以下▲4五飛成△2四玉▲3四金△1三玉▲2四歩△同歩▲4三竜△3三歩▲3二竜で必至がかかり、羽生が投了。△3五玉では代わりに△4三桂の方が良く、約2時間にわたる感想戦でも結論が出なかった。

 △3五玉と指した時点で、羽生は24分残していた。勝負を諦めていた様子ではなく、前述の手順のどこかで錯覚があったのかもしれない。

 森内が防衛まであと1勝として迎えた第6局は羽生の先手で角換わり。森内は玉頭を厚くして相手の攻めを焦らせる作戦をとり、羽生の攻めがつながるかどうかの勝負になった。

 B図は森内が△3二金右とした局面。ここで羽生は▲6九銀とかわしたが、△7五歩と反撃されて形勢は後手に傾いた。B図では▲1七角から攻めの継続を図りたかった。

 これで先手の連勝は5でストップ。結果的に後手で勝利した側がシリーズも制することになった。

■腰据え、逆転許さず

 森内の勝因の一つとして挙げられるのが、9時間という持ち時間だ。

 手を広く丁寧に読むタイプの森内は、長い持ち時間の将棋を好む。今回の七番勝負でも終盤で十分に時間を残していることが多く、優位を築いた後も腰を落として考える場面が目立った。こうした姿勢が羽生に逆転を許さなかった。

 森内が力を発揮しやすい戦型も多かった。6局のうち矢倉が3局、角換わりが2局で軽快な将棋はなかった。全体的にじっくりとした戦いに持ち込んだ戦術のうまさが光った。

 森内の名人獲得はこれで7期。再び羽生に追いついた。8期目を獲得すれば、木村義雄十四世名人と並ぶことになる。「平成の大名人」の座を巡る争いはこれからも続きそうだ。(村瀬信也)

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