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2012年7月17日15時44分
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防衛の森内名人 七番勝負を振り返る

写真:森内俊之名人拡大森内俊之名人

図:図・▲4一飛まで拡大図・▲4一飛まで

表:第70期七番勝負の勝敗と戦型第70期七番勝負の勝敗と戦型

 森内俊之名人(41)が羽生善治二冠(41)の挑戦を退けて防衛を果たした第70期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催)。直前までの不振を跳ね返し、通算7期目の名人位を獲得した森内名人に、シリーズ中の心境や現在の将棋観などを聞いた。

■第5局拾って「風吹いた」

 ――今回の七番勝負を振り返ってください。第1局は相矢倉で、81手目まで昨年の第4局と同じ展開でした。

 「その場その場で読み進めていましたが、結局なぜか同じになり、意外でした。第2局は事前に考えていた手に自信が持てず、別の手を指しましたが、全然ダメでした」

 ――第3局は矢倉で、後手が急戦策をとりました。

 「羽生さんはこういう攻めをつなぐのがうまいので、楽しみ半分怖さ半分という感じでした。明らかに優勢でしたが、どんどん差が詰まって。危ない将棋でした。第4局は中盤で手拍子があり、大差になってしまいました」

 ――第5局は後手の羽生さんの横歩取りでした。

 「羽生さんは大一番で横歩取りが多いので、そろそろ来るかなと。終盤、▲4一飛に対して△4三桂ならはっきり負けだと思います」

 ――しかし、羽生さんは△3五玉。

 「錯覚でしょうね。まだ時間は28分あったのに、わずか4分で。驚きましたね」

 ――防衛まであと1勝。第6局を迎えた時の心境は。

 「第5局で負けの将棋を勝ったので、自分に風が吹いているのかなと思いました」

 ――第6局では、新構想(68手目△3六金)を見せました。

 「第2局の時に試そうと思っていた手です。途中からは攻め合うしかなくなり、偶然進めてみた局面がぎりぎり勝っていたという感じでした」

 ――全体を通して、どのような将棋が指せましたか。

 「ミスもありましたが、自分が今、持っているものを出せたと思います」

■持ち時間9時間 極める道

 ――防衛を果たして、今の心境は。

 「今年も7局指すのを覚悟してました。一つの大きな仕事ができたかなと思います」

 ――昨年の秋以降、白星に恵まれませんでしたが、開幕前のインタビューでは「面白い勝負になると思いますよ」と話していました。

 「願望もありましたが、たくさんの方が期待しているので、何とか盛り上げたいと思っていました」

 ――今シリーズの勝因は何だと思いますか。

 「戦前は苦戦という評判だったでしょうし、自分自身そう思っていました。自分の勝つべき将棋を全て勝った上で幸運を待つ、という心境でしたね」

 ――このシリーズを通して何を学びましたか。

 「勝負はやってみないとわからない、と改めて感じました。厳しそうなことに挑戦するのが面白さでもあります」

 ――持ち時間9時間の名人戦は、他の持ち時間の対局とは違いますか。

 「かなり違うんじゃないですか。スペシャリストとしてやっていければ、一つの道なのかなと思います」

 ――持ち時間9時間の将棋で勝つコツはありますか。

 「全然わかりません。時間に追われると弱いですから、たくさん時間があるとありがたいですね」

 ――今シリーズで、将棋観は変わりましたか。

 「将棋はやればやるほどわからなくなります。今はスピード化の時代で、若手がどんどん新たな問題提起をしてくる。最先端の将棋に、いけるところまでついていきたいですね」(聞き手=村瀬信也、小川雪)

     ◇

 第5局の終盤。図から△3五玉▲4五飛成△2四玉▲3四金△1三玉▲2四歩△同歩▲4三竜△3三歩▲3二竜と進み、羽生挑戦者が投了した。△2二香なら▲2三金以下詰む。羽生は後日の取材で「投了した局面で△2二香と受け、▲2三銀と打たれた後の局面を掘り下げていた」と話し、▲2三金を見落としていたことを認めた。

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