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第22回朝日オープン将棋選手権五番勝負第4局

先▲深浦康市 選手権者  △羽生善治 名人



深浦選手権者、激戦制し最終局へ

 第22回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第4局が7日午前10時から静岡県伊東市の「わかつき別邸」で指され、同日午後6時9分、深浦康市選手権者(32)が挑戦者の羽生善治名人(33)を123手で破って対戦成績を2勝2敗とした。持ち時間各3時間のうち、残りは両者とも1分。第5局は25日、静岡県伊豆市の「鬼の栖(すみか)」で。

 「一度試してみたかった」という羽生名人の誘導で、序盤は第3局までと異なる「角換わり腰掛け銀」の戦型に進んだ。駒組みが頂点に達したところで深浦選手権者が仕掛け、羽生名人が反撃。53手目先手7四歩から激しい攻め合いに突入した。中盤から終盤にかけては予断を許さぬ戦いが続いた。最後は、深浦選手権者が羽生名人の玉を受けのない形に追い込み、羽生名人は王手の連続で迫ったが、あと一歩及ばなかった。

 解説の佐藤康光棋聖は「互いに力を出し切った一局で、どちらにも勝つチャンスがあった熱戦でした。第5局がますます楽しみです」と話した。

 深浦選手権者の話 分岐点が多い将棋で、迷う所もあったが、攻めを重視した。当初から最終局までやりたいと思っていたので、納得できる将棋を指したい。

 羽生名人の話 中盤以降はねじり合いでずっと難しいと思っていた。最後は勝ちがあったかもしれないが、よく分からなかった。



羽生、厳しい反撃

 羽生は72手目△37歩の成り捨てから、△3九角の厳しい反撃。▲5八飛に△4九角とたたみかけた。



激しい攻め合いに

 深浦の51手目▲4六角に対して、羽生は△8五歩の強手を放った。それに対し、 深浦も最強の▲7四歩で応じ、にわかに激しい攻め合いに突入。検討室では「いよい よ正念場にさしかかった」と固唾を飲んで展開を見守った。



戦端開かれる

 午後に入って、本格的な攻防が始まった。昼食休憩から約1時間半すぎに放たれた深浦の▲7五歩が「なかなかの手」と検討室では評判になった。

堀口前選手権者ら棋士続々

 午後になると前選手権者の堀口一史座七段や、伊東市に住む青野照市九段ら棋士が続々姿を現し、検討陣に加わった。「週刊将棋」「NHK将棋講座」など将棋雑誌の記者やカメラマンたちも多数押しかけた。堀口七段は「伊東は1年ぶりです。こちらはやはり暖かいですね」と笑顔で語った。



37手目、▲4七金までで昼食休憩に

 深浦が37手目で▲4七金と指した後、羽生の考慮中に昼食休憩に入り、午後1時に再開した。昼食までの消費時間は先手の深浦が61分。後手の羽生が41分。

がっぷり四つ

 午前中の戦いについて、朝日新聞解説の佐藤康光棋聖は「両者がっぷり四つに組んでいる。玉が普通の戦型に比べて薄いので、どちらも仕掛けるのに神経を使う局面。仕掛けるのはもうちょっと先になるだろう」と話した。



床の間に「本立而道生」の軸

 対局室は木造2階建ての2階にある。窓からはクスノキやシイの若葉がのぞめる。床の間には「本立而道生」の軸がかけられている。「もとたちて、みちしょうず」。出典は論語で「人は根本を把握するようにつとめるべきである」の意味。対局室は10畳に控えの間と広縁がついている。室内には新しい畳の香りがほのかににおっている。

深浦選手権者に縁起の「わかつき別邸」

 わかつき別邸は1年前、当時の堀口一史座選手権者に挑戦者の深浦七段が3勝1敗で勝ち、第二代朝日オープン選手権者になった舞台。深浦には縁起のいい宿だ。一方、数々の大舞台に登場してきた羽生挑戦者だが、ここは初めての戦いの場だという。

ともに羽織袴姿

 定刻12分前、深浦選手権者が「おはようございます」とあいさつしながら対局室に入り、5分後に羽生名人も同じように「おはようございます」と言いながら続いた。深浦は薄いグレー、羽生は紺の羽織袴姿。深浦は鎖付きの懐中時計を取り出して、静かに畳の上に置いた。羽生は腕を組んで瞑想。定刻10時、立会人の大内延介九段が「時間になりましたので始めてください」とうながし、始まった。



角換わり後手1手損作戦の戦型に

 深浦康市選手権者(32)に羽生善治名人(33)が挑戦している第22回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第4局が7日午前10時、静岡県伊東市の「わかつき別邸」で始まった。

 2勝を挙げている羽生名人が選手権を奪取するか、深浦選手権者がタイに戻すか、正念場だ。

 立会人の大内延介九段の合図で、深浦選手権者が飛車先の歩を突いて対局が始まった。第3局まではいずれも横歩取り8五飛の戦型で先手が勝っている。本局は後手の羽生名人が8手目後手8八角成と角交換し、「角換わり後手1手損作戦」と言われる戦型になった。

 解説の佐藤康光棋聖は「実戦例が少ない形。深浦さんが先攻して羽生さんが反撃する展開が予想される」と話した。

午後3時から大盤解説 大阪

 日本将棋連盟関西本部は第4局の大盤解説会を7日午後3時から、大阪市福島区福島6丁目の関西将棋会館で開く。解説は小林裕士五段。入場料1200円。



日向榧の柾目盤と御蔵島産の本柘植駒

 対局前日の6日、両者は東京駅からJR東海道線「スーパービュー踊り子号」で伊豆半島の伊東入り。対局場の「わかつき別邸」で午後5時すぎ、対局室の検分をした。

 対局に使う将棋盤と駒は、旅館が対局のために新調したものを使うことで両者了解。

 盤は日向榧(ひゅうがかや)の柾目(まさめ)、六寸六分、作者は丸八碁盤店の鬼頭淳夫氏。

 駒は伊豆諸島・御蔵島産の本柘植(ほんつげ)。「根柾盛り上げ駒」、作者は静岡・富士宮の駒師・富月、書体は幕末の書家・菱湖。

英断vs克己復礼

 検分のあと両者は将棋盤の裏に揮毫。引き続いて色紙にも揮毫した。色紙の文字は深浦・朝日選手権者が「英断」。羽生挑戦者は「克己復礼(こっきふくれい)」。克己復礼の出典は論語。辞書によると「己(おのれ)に克(か)ちて礼に復(かえ)る」と読み、欲望を抑えて礼儀にかなったことをするようになることという。

(2004/05/07)

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カド番をしのぎ切った直後、高揚した表情の深浦選手権者=7日午後6時11分
カド番をしのぎ切った直後、高揚した表情の深浦選手権者=7日午後6時11分

じっと盤面を見据える羽生名人=7日午後6時11分
じっと盤面を見据える羽生名人=7日午後6時11分

終了図・▲6八玉まで
123手完

検討室で両対局者の差し手を分析する佐藤康光棋聖
検討室で両対局者の差し手を分析する佐藤康光棋聖

途中図・▲4七金まで
昼食休憩 37手まで

昼食休憩中の対局室。手前は深浦選手権者が置いているイタリア産の微炭酸水のボトル。サッカーイタリア代表チームの公式ウォーターだという。深浦選手権者は大のサッカーファン
昼食休憩中の対局室。手前は深浦選手権者が置いているイタリア産の微炭酸水のボトル。サッカーイタリア代表チームの公式ウォーターだという。深浦選手権者は大のサッカーファン

深浦康市選手権者(右)の一手で始まった羽生善治挑戦者との第4局=7日午前10時、静岡県伊東市で
深浦康市選手権者(右)の一手で始まった羽生善治挑戦者との第4局=7日午前10時、静岡県伊東市で

両対局者の揮毫した色紙
両対局者の揮毫した色紙

対局室を検分する深浦康市選手権者(右)と羽生善治名人=6日午後5時すぎ、静岡県伊東市の「わかつき別邸で」
対局室を検分する深浦康市選手権者(右)と羽生善治名人=6日午後5時すぎ、静岡県伊東市の「わかつき別邸で」





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