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若手台頭 混戦の様相
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深浦康市選手権者への挑戦権を争う、第22回朝日オープン将棋選手権(朝日新聞社主催)の本戦組み合わせが別表のように決まった。前回のベスト4やタイトル保持者らシード棋士16人に、予選を勝ち抜いた16人を加え、計32人による戦いが27日から始まる。関西勢の活躍や若手の躍進、普及を巡る最新事情などを交え、本戦の見どころなどを内藤國雄九段、深浦選手権者、矢内理絵子女流三段に語り合ってもらった。(司会・東公平 観戦記者) ――阪神タイガースの快挙で関西は大変な盛り上がりですね。 内藤 そう。野球は関心なかったんだけど、今年は自然にテレビを見るようになったね。 ――関西といえば、将棋界でも、谷川王位や山崎五段、女流棋士の山田朱未初段など、関西勢の活躍が目立ちます。 内藤 山崎君の連勝は22で止まったんだね。竜王戦の谷川君との将棋は惜しかった。 矢内 山田さんは岡山県在住。私と同じ年なんですが、今年に入って急に伸びてきました。 内藤 有吉さんの門下だって。どんな人? 矢内 将棋一筋の根性娘(笑)。つい最近、女流王位戦の挑戦者決定戦にも進出しました。 ――女流棋界は依然として、中井、清水の2強時代ですが、世代交代はありそうですか。 矢内 あと2、3年のうちに交代しなくてはいけないと思っています。私たちの次の世代も出てきているし、うかうかしていられません。 ――今年のアマプロ戦1回戦は、アマの4勝6敗でした。 内藤 プロ側にプレッシャーがあるとしたら情けない話でね、負けたらかっこ悪いなんて、もっと年代の上の人が言うべき。若手がアマと当たったら喜ばなきゃ。 ○ 普及の妙手は ――話題を変えて、将棋を女性や子供に普及する妙手はありませんか。 内藤 昔、升田幸三先生が「将棋とは何か」と問われて、「我慢比べです」と答えた。将棋は、良い手で勝つというよりも悪い手をやって負ける。私は女性の方が我慢強いような気がする。女性はもっと強くなるはずでしょう。 矢内 将棋のルールが分からないと、テレビ対局を見てもつまらない。分からない人にも楽しんでもらうために、棋士の魅力や人物像をアピールしていこうと、女流棋士もいろんなイベントを考えています。 内藤 大阪の阪田三吉杯には千人近い子供が参加します。子供はいいけど、待っているお母さんたちにも何かサービスを考えないと。実際、多面指しでご婦人とはさみ将棋をして、一番人だかりができた(笑)。 ――可能性はいろいろありますね。 内藤 そう。普及もそうだし、戦術面も。昔、序盤の解明が進んだら、将棋はあと100年で行き詰まるんじゃないかという人がいた。ところが今の将棋を見たら、横歩取りでも振り飛車でもどんどん新しい形が出てくる。さすがだと思うね。 ○ 本戦の注目株 ――では、予選を勝ち抜いた棋士を紹介しましょう。飯島四段は昨年に続く本戦入りです。 深浦 居飛車党の研究家です。序盤を非常に重視している。佐々木四段はアマ戦の時間切れで有名になった。ひょうひょうとしています。橋本君は髪形がすごい(笑)。爆発しています。将棋も勢いがありますね。 ――櫛田六段は全日本プロで準優勝の実績があります。 深浦 最近復調気配です。今、一番勢いのある渡辺明五段を破って本戦入りしたのには驚きました。 ――中川七段は順当な気がします。中田七段も全日本プロ準優勝の実績を持つ実力者ですね。 深浦 窪田君は独特の感覚を持つ振り飛車党です。出だしは藤井システムだけど、途中から風変わりな粘りに出る。 矢内 北浜さんもひょうひょうとしているけど強いですね。 深浦 岡崎さんは独特の攻め将棋です。はまると強い。松尾五段はまじめな研究家。仲間内の評価も高い。 矢内 ユニークなのは田村五段。早見え早指しの天才派。絶好調です。 深浦 小倉君は頑固な三間飛車党。相手が穴熊でも何でも、石田流で攻めてくる。 ――内藤先生を忘れてはいけません。 内藤 本戦最高齢? あと30歳若かったら大きなことをいうんやけどねえ。普通は10歳若かったらというんだけど、10じゃ足らんのや(笑)。 ――期待しています。関西からは矢倉五段も本戦入りです。 内藤 矢倉君は山崎五段の連勝を止めた男。地味だが、強い。大山名人の若い頃のような雰囲気がある。それから畠山成幸君。畠山兄弟は力をつけましたね。 ――井上八段は。 内藤 好人物。私くらいだと将棋は見ずに人物を見るんです(笑)。 ○ ベスト4予想 ――次は本戦の見どころをお願いします。全体を四つのブロックに分けて、まず右上から。 深浦 阿部、中田、中川、丸山。ここはきついブロック。もちろん、堀口さんも返り咲きを狙っているでしょう。 内藤 2、3年前ならはっきり丸山だけど、株式評論と同じで、今値が上がっている人が注目されますからね。 深浦 三浦さんも強いけど、ムラがあるので馬券は買いにくい。 ――右下は。 内藤 ここは差し障りがある(笑)。まあ、本命は谷川。あと、絶好調の山崎がどうか。 矢内 内藤先生も頑張ってください。あと、鈴木さんも元気いっぱいです。 ――続いて左上。 深浦 羽生、藤井、森内に久保、田村。ここもきつい。その中でも羽生さんに目が行くのは当然でしょう。 ――藤井さんは少し調子を落とし気味ですか。 深浦 藤井さんくらいのクラスになると相手がきつい。でも、急所は押さえています。森内さんもそうですね。 内藤 久保―田村戦は面白そうだね。 ――久保さんといえば内藤先生のおい弟子に当たるんですね。 内藤 そう。淡路仁茂君が王様1枚から教えた男でね、師匠の可愛がりようは大変なもんです。 ――左下には中原永世十段がいます。竜王戦で挑戦者決定戦に進出しました。 矢内 心情的には応援したいですね。 深浦 本来の力なら佐藤さんや郷田さんが抜けている。ただ、3時間が合うかどうか。2人とも真理追究型というか、あまりにも剛直ですから。 内藤 佐藤君の場合は全部読みきろうとするのが長所でもあり、短所でもあるんだろうね。 深浦 相手もいろいろ対策を考えますから。鈴木大介君、久保君、田村君らは、それとは対照的な勝負師型です。 内藤 勝負師型は対局中目が充血しています。その点、羽生や谷川は勝負が終わっても目がきれい。あれには感心する。 ――ベスト4予想を挙げてみてください。 内藤 (うーむと長考ののち)谷川、三浦、久保、北浜でどや。 深浦 来年の五番勝負は羽生世代とやりたい。だからまず羽生さん。それに北浜さん、丸山さん、山崎さん。あと、森内さんと中田さんも挙げておきたい。 矢内 私は阿部さん、鈴木さん、森内さん、佐藤さん。 内藤 これだけ言うとけばええやろ(笑)。
(2003年9月21日朝日新聞朝刊紙面) |
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