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< 第23期朝日オープン将棋選手権 五番勝負第2局 >

  ▲山崎隆之 六段   対   △羽生善治 選手権者
  4月19日 掬水(きくすい)亭(埼玉県所沢市)

別ウインドウで開きます指し手再現  | 使い方

対局日程 | 展望 | 歴代の決勝結果

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2勝目をあげ、終局後に盤を見つめる羽生選手権者。何度も大きく息をついた

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2敗目を喫した山崎六段。何度も顔を手でぬぐい、深くうなだれた

終了図 146手完
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東京の大盤解説会には100人近いファンが訪れた

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小学生と高校生を相手に指導対局する山田女流三段

指了図 46手まで
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昼食休憩で主のいない駒。盤を打つ音もなく、この時間だけは静寂が訪れる

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羽生選手権者のメニュー(上)は、海鮮湯麺セット(豚の角煮、ちまき、サラダ、ザーサイ、杏仁豆腐)。山崎六段のメニュー(下)は、天ぷらそばセット(えび天2本、刺身、まぜご飯、サラダ、香の物、フルーツ)。昼食はアラカルト方式で、3つのメニューから選ぶ。2人とも海鮮ヤキソバセットは避けた

指了図 23手まで
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初手を指す山崎六段

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王将を据える羽生選手権者

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ファンの子どもたちにサインする羽生選手権者

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山崎六段は笑顔でサインに応じていた

激闘の第2局を振り返る

 感想戦は約1時間おこなわれ、19時過ぎに終わった。以下は森下九段の解説に従って、本局後半を簡単に振り返ってみたい。

 69手目、山崎が▲4四歩と突いた局面からは、山崎がリードを奪っていた。一目無理気味と思われた動きであったが、実は山崎一流の鋭さが発揮された場面であった。

 74手目、羽生の△5三角では△5三銀と引いて軽く指す方が、より被害が少なかった。

 79手目、山崎が▲1五歩△同歩と突き捨てた損得は微妙。88手目、羽生が△3六歩ではなく△1四銀を選んだのは、1筋の突き捨てをとがめようという意図である。

 95手目▲7一角成では、▲5三角成ではっきりしていた。森下九段はこの一手に逆転の遠因を感じていた。

 119手目▲2二歩では、▲2二角で後手玉は受けなしであった。山崎は△5一銀で受け切られると読んだが、重大な錯覚。▲4二歩以下、後手玉はどう応じても3手詰である。

 121手目▲4二同銀成では▲6三歩成を利かせるべき。将来▲6九歩と底歩を打つ筋が生じるからだ。

 125手目▲3四歩では、代わりに▲4三金△2三玉(△同龍は▲2一角から龍を取ってよし) ▲3三金△同玉▲5五角ならば簡明。これははっきり先手勝ちである。ただしこの▲3四歩は、よほどの力がなければ指せない。山崎の強さの一端を示した一手とも言える。

 129手目▲6九金合は、最善の合駒。▲6九銀合は△6八銀▲8八玉(▲6八同玉は△5七龍以下詰み)△5四飛成と進められて、すっきり後手の勝ち。以下▲同金に△7九角▲8九玉(▲9八玉は△8六桂)△8八金▲同金△同角成▲同玉△8六龍以下、先手玉は詰む。

 139手目▲4五桂では、(1)▲2五桂打で後手玉は詰み。以下△同銀▲同桂△2三玉▲2四銀(好手)△同玉▲4六馬△3五銀▲3三銀△2五玉▲2三飛△2四歩▲同銀成△2六玉▲2五成銀△2七玉▲3五成銀△2六歩▲3六銀。山崎も▲2五桂打以下後手玉が詰み筋に入っているのは、気づいていたようだ。

 本譜、山崎は(2)▲4五桂と打った。

 山崎に不運だったのは(A)△2四玉▲4六馬△3五歩▲3三銀△1三玉▲6八馬△同龍▲9七玉という順が瞬時に見えたこと。自玉周辺の攻め駒を取りながら安全に勝とうとする、いわゆる「保険をかけた手」である。

 しかし山崎は(B)△2三玉と逃げられる手をうっかりしていた。後手玉は合駒に打った4四金がよく利いていて、詰まない。勝負はここで逆転した。

 森下九段は「見ごたえのある一局でした」と、本局を総括していた。

2005年04月19日 23時03分

◇   ◇   ◇

「負ける将棋がなくなった」

 羽生選手権者の大逆転が濃厚になった終局間際の記者室では、立会人の加藤一二三九段と森下卓九段が検討を重ねていた。羽生選手権者の勝ち筋を確信した加藤九段は、突如「いやあ、これは、これはとんでもないことだ」と声を上げた。

 「すごい、ではたりない。こんなとき、何と言っていいか分からない」「つまり羽生さんには、負ける将棋がなくなったということです」。森下九段も「この状況で勝つとは、さすが羽生さんです」と、ため息をついていた。

2005年04月19日 19時32分

◇   ◇   ◇

山崎、痛恨の逆転負け

 投了図では、先手玉は受けなしである。対して後手玉は詰みがない。

 終局後、両対局者にはインタビューがおこなわれた。羽生は「最後の最後まで勝ちだとは思いませんでした」。山崎は「情けないです。負けてはいけない将棋でした」と語っていた。それほどの大逆転である。

 山崎には、いくつもの勝ち筋があった。たとえば139手目▲4五桂では、▲2五桂打△同銀▲同桂以下長手数ながら、後手玉は即詰みである。山崎にとっては、悔やんでも悔やみきれない一局となった。

2005年04月19日 19時15分

◇   ◇   ◇

羽生、逆転で2連勝

 何という強さであろうか。「羽生マジックが出ましたね」(渡辺竜王)。「信じられないです」(片上四段)。最後に勝ったのは、またもや羽生であった。

 146手目△8四金を見て、山崎は投了した。

 終了時刻は18時23分。

 残り時間は両者ともに1分。山崎は121手目▲4二同銀成から、羽生は130手目△6八銀から一分将棋となった。

 羽生は2連勝で、防衛まであと1勝とした。

2005年04月19日 18時38分

◇   ◇   ◇

146手で羽生が連勝

 第23回朝日オープン将棋選手権五番勝負の第2局は19日、埼玉県所沢市の「掬水(きくすい)亭」で指され、羽生善治選手権者が146手で挑戦者の山崎隆之六段を破り、初防衛まであと1勝と迫った。第3局は5月4日、大阪市北区の芝苑(しえん)で。

2005年04月19日 18時31分

◇   ◇   ◇

山崎、残り1分

 △4二金以下は▲同銀成△同玉▲5三金△3二玉と進む。

 この時点で残り時間は山崎1分。羽生3分。

 山崎は秒読みの中、▲3四歩と打つ。この手の意味は?! 控え室では絶叫に近い声が聞こえた。

2005年04月19日 18時11分

◇   ◇   ◇

最終盤

 山崎の▲5三銀は、最善と思われる寄せ。後手玉は▲4二金△同金▲同銀成△同玉▲3四桂以下の詰めろとなっている。対して後手が先手玉に迫るスピードは、わずかに足りないか。

 羽生は△8七歩成▲同金を利かせた後、△4六龍と手を戻す。

 対して山崎は▲2二歩。控え室で検討されていなかった寄せ手順。ここは▲2二角の方が明快ではないのか。記者が「山崎勝勢と書いていいですか」と問うと、「いえ、ちょっと待ってください」(渡辺竜王)

 羽生が△4二金と寄った後、山崎はついに一分将棋に追い込まれた。

2005年04月19日 18時04分

◇   ◇   ◇

白熱の終盤戦

 115手目、山崎は▲5三銀と打った。残りは3分。スピーカーを通して、記録係の秒読みの声と、山崎の大きな息遣いが聞こえてくる。

 しばらくして、羽生に対しては「残り20分です」の声。

 渡辺竜王に見解を問うと、「まだ山崎君が残していると思いますが……。でも難しい。面白い終盤戦です」とのことだった。

2005年04月19日 17時46分

◇   ◇   ◇

逆転模様?

 112手目、△3七飛成に対する応手を考慮中に、山崎の残り時間は8分にまで減った。

 控え室では(1)▲5四桂以下の変化が検討されていた。△8七歩成▲同金△8六歩▲同金△5七龍▲2二銀で後手玉は受けなし。よって先手勝ちかと思いきや、△6八龍▲7八歩△7九銀▲9七玉△7七龍(!)という頓死筋がある。以下は▲同歩△8五桂▲同金△8七金▲同玉△8九飛。詰将棋のような鮮やかな手順だ。

 本譜、山崎は(2)▲5四馬と取った。羽生はすぐに△5七龍。控え室では、「逆転模様」という声が聞かれ始めた。

2005年04月19日 17時35分

◇   ◇   ◇

羽生、反撃を開始

 山崎は▲7一角成と成り込む手に5分を使っていた。残り時間は山崎24分。羽生33分。

 局面は明らかに山崎優勢。しかし手番は羽生に回った。△5七歩成▲同金△7六歩▲同銀△7七歩▲同桂△7五歩。いやな所を的確に衝いてくる。「またこうして、最後は羽生先生が勝つんですかね」、とは控え室で聞かれた声。それは関係者が何度も見てきた光景なのだ。羽生の信用は、かくも絶大。ある若手棋士が「羽生先生はそんなに強いんですか」とあきれたようにつぶやく。対して渡辺竜王は苦笑交じりに、「実際にやってみないとわからないんだよ」。渡辺竜王は1年半前の王座戦五番勝負で羽生王座を2勝1敗と追い詰めながら、あと一歩届かなかった。

 山崎は▲6七銀と引く。羽生はここまで利かしておいてから、△6二歩と手を戻した。まさに緩急自在。羽生の手つきは心なしか、しなってきているように見えた。

2005年04月19日 17時28分

◇   ◇   ◇

山崎、シンプルに決めにいく

 山崎の▲2六銀に対して、羽生はすぐに△3七歩と打つ。局面を複雑化させようとする、いかにも羽生らしい一手。明らかに不利な局面からの羽生の勝負術は、古今無双の感すらある。1週間前、名人戦第1局で森内名人を相手に逆転勝ちを収めた例も記憶に新しい。

 山崎は少し考えて、▲3五銀。震えずに、シンプルな手順であっさりと決めにいった。以下は△同角▲同角△3八歩成▲7一角成と進む。控え室の見解は、やはり山崎よしであった。

2005年04月19日 17時02分

◇   ◇   ◇

山崎優勢

 81手目、山崎が▲2六歩と打った局面で、残り時間は山崎36分。羽生47分。

 以下▲2六歩△5六歩▲2五歩△同銀▲3五歩△同銀▲1七桂と進んで、控え室の検討陣の声は「山崎優勢」で一致した。先手は2七銀をさばきつつ、攻めるめどがついた。玉形は大差。ならば先手に悪い理屈はない。

 羽生の△1四銀に対して、山崎は▲2六銀。ぴしりと鋭い駒音だった。

2005年04月19日 16時49分

◇   ◇   ◇

山崎乗りの意見

 77手目、山崎は角取りに▲5四歩と打つ。羽生は△6二角。大きな利かしが入った。ここで村山四段に見解を問うと「僕は先手を持ちたいです。玉形は、先手が堅い。歩損は大きいですが、攻めが切れるという感じではありませんし。(1)▲2六歩と打ち、2七銀に活を入れたいですね。△同歩▲3五歩△同銀左▲2六銀と進めば銀がさばけそうです」。

 本譜、山崎は(2)▲1五歩△同歩と突き捨ててから、▲2六歩と打った。

2005年04月19日 16時35分

◇   ◇   ◇

東京でも大盤解説会

 東京・築地の朝日新聞東京本社2階の読者ホールでは、午後3時30分から北浜健介七段と島井咲緒里女流初段による大盤解説会が開かれた。

 北浜七段は「最近の山崎さんは先手ではほとんど相懸かり。羽生さんは相手の得意戦法を打ち破って、精神的に優位に立ちたいでしょうね」と両者の狙いを解説。昼食休憩明けの山崎六段の「2七銀」には、「ネットで見ていましたが、私の想像にもなかった手。明日の朝刊に詳しい解説が載るでしょう」と笑わせた。「この銀が活躍するかどうかが、山崎さんの命運を決めるのではないでしょうか」。

2005年04月19日 16時32分

◇   ◇   ◇

形勢不明

 控え室の検討陣に、行方尚史七段と藤倉勇樹四段が加わった。継ぎ盤は2面用意され、活発に駒が動かされている。3筋で飛車が向かい合い、一触即発の状態となっている。後手はまず、狙われている3四飛をどうするか。片上四段が示した変化の例は以下の通り。

 (1)△4五銀と立つのは、▲3五歩△5四飛▲2四歩。「△同銀、△同飛、いずれでも▲3四歩と突いて勝負です」

 (2)△5三銀は▲3五歩△4四飛▲2四歩△同銀▲3四歩△4九飛成▲8八玉△3五歩▲3三歩成△同金。「これは後手が指せるでしょうか」

 本譜、羽生は(3)△5三角と引いて、3五の地点に数を足した。「▲5四歩ならば△7一角と引いておくのでしょうか。後手は2七銀をさばかせないようにしたい。現局面はいい勝負ですね」(渡辺竜王)

2005年04月19日 16時11分

◇   ◇   ◇

所沢のとうきち

 「所沢のとうきちも王手にゃ逃げる」という言葉が残っているように、所沢は「とうきち」と名のつく二人の名棋士を輩出している。一人は江戸後期の福泉藤吉六段(1766〜1837)。もう一人は幕末から明治にかけて活躍した大矢東吉八段(1826〜1892)。特に大矢は、名人になってもおかしくはない技量を持っていた。そして1970年、ここ所沢で生を受けたのが、他でもない羽生である。

 73手目▲3八飛の局面を前にして、羽生は考え込んでいた。スピーカーからは、「残り1時間です」の声がした。

2005年04月19日 15時59分

◇   ◇   ◇

中盤戦

 66手目△3四飛の時点で、消費時間は山崎1時間34分、羽生1時間22分(持ち時間各3時間)。午後に入ってからは羽生が小考を繰り返し、時間は接近している。

 ▲5五歩に対しては、△同角が自然と見られていた。△同歩の意図は、すぐにはわからない。▲4四歩に△同歩は▲3六歩と突かれて、「これは飛車がせまいです」(渡辺竜王)。そこで羽生は△5三銀と上がったわけだ。

 15時を過ぎた。森下九段の見解は、「山崎さんがちょっと無理をしている感は否めませんが……」。その声に反発するかのように、山崎はさらに気合鋭く▲3六歩と突き出した。

2005年04月19日 15時25分

◇   ◇   ◇

本番さながらの緊張感 「10面指し」指導対局

 第2局と並行して、所沢市並木1丁目の市民文化センターミューズで、屋敷伸之九段と山田久美女流三段による「10面指し」指導対局があった。事前に応募のあった中高年のファンら20人が、真剣な表情でプロとの「対局」に挑んだ。

 プロ棋士2人は、四方をテーブルで囲んだ10人ずつとそれぞれ対戦。「今回はレベルの高い人が集まった」(屋敷九段)といい、緊張した雰囲気の中、黙々と駒を打つ音が会場に響いた。小学生と高校生と指した山田女流三段は「ともにスジのいい人たち。定跡もしっかり覚えている」と感心していた。

 原田浩光さん(42)は、横浜市から夫婦で参加した。妻の由美子さん(39)は、浩光さんの側で棋譜を熱心に書き留めていた。2枚落ちで屋敷九段に勝ち、ともに喜んでいた。浩光さんは「帰宅してから妻が書き留めてくれた棋譜をパソコンに入力し、分析します。2度楽しめます」と満足そうだった。

2005年04月19日 15時13分

◇   ◇   ◇

前に出る山崎

 65手目、山崎は▲4五歩と突いた。飛車交換は、玉形の差で先手有利。羽生は△3四飛と逃げた。片上四段に見解を問うと、「善戦してるじゃないですか」。もちろん兄弟子の山崎側から見たコメントだ。

 この次、控え室では手堅い▲8八玉を予想していた。しかし山崎の指し手は▲5五歩。「これは攻め合いですね」(片上四段)。取るとどうなるんですか、の問いには「それはわかりません」。

 羽生は少し考えて、△同歩と取る。対して山崎は間髪を入れず、▲4四歩と突き出した。

2005年04月19日 15時01分

◇   ◇   ◇

24歳

 対局場の所沢市「掬水亭」は、西武遊園地の隣りにある。対局室の窓の外は、のどかな午後の風景。遊園地は今日はお休みのようで、乗り物は動いていない。

 10年前の1995年、この対局場では名人戦七番勝負第5局がおこなわれた。防衛を目指すのは、若き羽生名人。現在の山崎と同じ、24歳のときだった。羽生は挑戦者の森下現九段を破り、4勝1敗で名人位を防衛。同じ年度、前人未到の七冠を達成している。

 現地には石橋幸緒女流四段、深浦康市八段が相次いで訪れ、控え室はさらににぎやかとなった。深浦八段は挑戦者決定戦で山崎六段に破れ、惜しくも五番勝負再登場はならなかった。本局の棋譜を見た深浦八段は「山崎君のうっかりは、致命傷にならないんですよね」と笑う。59手目、山崎が▲6五歩と突いた局面は後手も十分戦える形勢だ。この後は△2五歩〜△2四飛の筋などがある。

2005年04月19日 14時39分

◇   ◇   ◇

意外と大変

 控え室には片上大輔四段が姿を見せた。片上四段は森信雄六段門下で、山崎の弟弟子にあたる。広島在住の幼少時代から、数千番という実戦を重ねた間柄だ。

 片上四段は55手目▲6八角までの指し手を見て「先手が不利じゃないですか。だって一歩損ですよ」。控え室の検討陣も最初はそう思ったが、調べてみると、意外と大変。先手は▲7九玉〜▲8八玉と十分固めた後、飛車を目標に▲3六歩と動いていく狙いがある。ここまで山崎は予定の行動とは思われないが、局面のバランスは保たれているようだ。

 14時少し前、羽生は△2四歩と突いた。

2005年04月19日 14時08分

◇   ◇   ◇

山崎のぼやき

 山崎は▲2七銀と引いた後に対局室隣りの記者室を訪れ、「学習能力ないなあ」とぼやいていた。指した後、△8五飛があることに気づいたか。山崎は現在、5連敗中。晴れの五番勝負のさなか、不調の影響が出てしまったようだ。

 一方の羽生は絶好調で、現在は7連勝中。今年度に入ってからは本棋戦第1局、名人戦七番勝負第1局、棋聖戦決勝トーナメント準決勝と、いずれも重要な対局で負けなしである。羽生が前回負けたのは、昨年度NHK杯決勝の山崎戦であった。

 ただし渡辺竜王によれば、仮に△8五飛は見落としであっても、致命的なミスとは言えないそうだ。

 現在は山崎が▲7九角と引いた局面で、羽生が考えている。△4五飛には▲4六歩と打っておく。(A)△4四飛ならば▲6五歩と突き、▲6六銀からの圧迫を見せる。(B)△8五飛は(B)▲3六歩と突き上げるのが味がよい。

 13時半を過ぎた。

2005年04月19日 13時40分

◇   ◇   ◇

「そっち?」

 13時、再開。山崎はすぐに▲5六歩と突いた。羽生は少し遅れて対局室に戻ってくる。控え室のスピーカーからは、「指されました」という記録係の菊地裕太三段の声が聞こえた。

 羽生は一息おいて、△3五歩と銀を追った。対して山崎は▲2七銀(!)。「ええ? そっち?!」。控え室には渡辺竜王と村山慈明四段の声が響いた。普通は▲4七銀と引くところだ。「(▲2七銀は)次に▲3六歩は△6四角ののぞきがあります。▲2六銀〜▲7九角〜▲3五銀となればいいですが、間に合うとは思えません」(渡辺竜王)

 羽生は小考で、△8五飛と浮く。次に△4五飛が受けづらい。「▲4八飛は△4五飛と勇んでぶつけてきます。これはうっかりしたかも知れませんね」(渡辺竜王)。

2005年04月19日 13時27分

◇   ◇   ◇

昼食休憩

 12時に昼食休憩に入った後も、山崎は盤の前を離れない。休憩をいかに過ごすかは自由で、1時間ずっと考え続けてもよい。

 消費時間の通計は、山崎1時間12分。羽生21分。(持ち時間各3時間)

 加藤九段によると、次の一手の本命は(1)▲5六歩。以下▲7九角〜▲4六角まで進めば、理想的な駒組みだ。

 対抗は(2)▲4七銀で、後手陣の弱点である桂頭を▲3六歩〜▲3五歩と攻める狙いがある。

 (3)▲6五歩と伸ばす手も考えられそうだが、少し危険を伴うか。

 渡辺竜王に何か奇抜な候補手を、とお願いしたところ、「では(4)▲9七角でお願いします(笑)」。

 対局再開は13時からとなる。

2005年04月19日 12時35分

◇   ◇   ◇

羽生、軽快に動く

 42手目、羽生は△7五歩▲同歩△同角と動いた。先手は▲4七銀〜▲3六歩〜▲3五歩という桂頭攻めが狙いのひとつ。羽生は一歩を交換しつつ、飛の横利きを通した。軽快な動きだ。

 46手目、△羽生が5三角と引いたところで昼食休憩に入った。

2005年04月19日 12時12分

◇   ◇   ◇

午前中の控え室

 36手目、羽生は△4二角と引いた。対して山崎は(A)▲4六歩と突く。この手を見て森下九段は「少し違和感がありますね」。先手は角の活用をどう図るのかが、序盤のポイントのひとつ。森下九段は(B)▲5六歩から矢倉に組み、▲7九角と引いて使う順を示していた。▲4六歩の後に、▲5六歩と突くのでは関連性が薄い。

 控え室の現在の話題は、丸山忠久九段の結婚について。お相手は、ミス日本フォトジェニックに輝いたグラビアアイドルの方である。「いや、正直うらやましいです。そう書いておいてください」(森下九段)

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2005年04月19日 11時54分

◇   ◇   ◇

序盤戦

 35手目▲5八金と上がる際、山崎は少し時間を使って考えていた。

 「山崎君は▲5八金と上がらないこともありますね。ここまではよく指されている形だと思います。後手は(1)△4四歩を突くかどうか。もし突けば先手は▲4六歩〜▲4五歩と伸ばします。突かないとすると(2)△4二角と引くのでしょうか」(渡辺竜王)

 控え室では、先日おこなわれた棋聖戦準決勝の森内俊之名人―三浦弘行八段戦が並べられている。結果は三浦八段の勝ち。佐藤康光棋聖への挑戦権は、羽生選手権者と三浦八段の間で争われることとなった。

2005年04月19日 11時27分

◇   ◇   ◇

山崎、得意戦法をぶつける

 山崎は初手を指した後、顔を上げ、じっと羽生を見据えた。この大一番に選んだのは、十八番とも言える相懸かり。23手目▲3六銀と繰り出した形で、山崎は抜群の勝率を誇っている。

 対局室は「掬水亭」5階の「杏花」の間。検討がおこなわれているのは4階の「桃花」の間である。午前10時半、渡辺明竜王が検討室を訪れた。20歳の渡辺竜王と24歳の山崎六段は、「東の渡辺、西の山崎」と並び称される、同年代のライバルである。

 類例が多い序盤戦のため、控え室はまだのんびりとしたムード。渡辺竜王がまず指摘したのは、検討室の名前が羽生選手権者の娘さんの名前と同じということだった。

2005年04月19日 11時10分

◇   ◇   ◇

相懸かり

 対局開始の定刻は10時。第1局に続き、挑戦者の山崎六段はいち早く対局室に入った。続いて羽生選手権者が現れ、上座に着く。駒が並べ終えられ、対局室にしばしの静寂が訪れる。やがて立会人の加藤一二三・九段が時間になったことを告げ、両者は一礼。注目の第2局が始まった。

 山崎の初手は▲2六歩。対して羽生は△8四歩と応じ、以下は相懸かりの序盤戦となった。

2005年04月19日 10時50分

◇   ◇   ◇

先手・山崎六段は2六歩

 羽生善治選手権者(34)に山崎隆之六段(24)が挑戦する第23回朝日オープン将棋選手権五番勝負の第2局が19日午前10時、埼玉県所沢市の「掬水(きくすい)亭」で始まった。山崎六段が先手で、初手は2六歩。第1局は羽生選手権者が先勝している。

 山崎六段は対局開始の15分前に入室した。正面の床の間にはハナミズキが生けられ、片岡球子の「富士の四季」が掛けてある。山崎六段は目を閉じて心を落ち着かせた後、富士山の1点をじっと見つめて対局を待った。続いて羽生選手権者が現れた。対局前に二人が黙想に入ると、山崎六段はそっと目を開け、羽生選手権者を見つめていた。

2005年04月19日 8時55分

◇   ◇   ◇

前夜祭に110人

 対局に先立ち18日夜、所沢市の「セレス所沢」で前夜祭があり、地元の将棋ファンら約110人が集まった。

 歓談の時間になると、サインを求める子どもたちが両対局者を一斉に囲んだ。二人とも気さくに応じ、羽生選手権者は流ちょうに「一歩千金」、山崎六段は慎重に「独往」と色紙にしたためていた。

 あいさつで羽生選手権者は、「(名人戦で)10年前に所沢で戦ったときは追う立場だったが、10年たって勢いのある若者に追われる立場になった。ただ、対局が始まれば年齢の差は関係ないので、私も若い将棋を指したい」と抱負を語った。山崎六段は「最近は自信を失いかけていたところなのに(朝日オープンの)盛り上がりがすごく、がんばらないとまずいな、と思った」と一見頼りない言葉で会場を沸かせ、「精一杯楽しんで指したい」と結んだ。

 続く対局の所見では、屋敷伸之九段が「山崎さんの弱気にだまされてはいけません」。森下卓九段も「山崎六段は一局ごとに強くなっている。第2局で勝てば、流れは大きく変わる可能性がある」と話した。立会人の加藤一二三九段は「昨年12月以来、羽生さんの勢いはとまらない。本人も『なぜこんなに調子がいいのか分からない』と言っている」と、羽生選手権者の充実ぶりを披露した。

 この日の午後5時からは、第2局がある「掬水亭」で対局室の検分もあった。山崎六段は10分前に着席。羽生選手権者は、ほぼ定刻通りに入室した。山崎六段は念入りに目の前の駒の感触を確かめ、羽生選手権者は三十畳の部屋全体を何度か見渡していた。照明や空調のチェックも問題なく終わった。

2005年04月19日 2時50分

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