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第24回朝日オープン将棋選手権 五番勝負第1局

 【4月4日 京王プラザホテル八王子】 
▲羽生善治選手権者  対  △藤井猛九段

別ウインドウで開きます指し手再現 | 使い方

日程 |  見どころ |  両対局者の声

五番勝負第1局フォトギャラリー

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大盤解説場に現れた両対局者

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終局後、盤面を見つめる羽生善治選手権者

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好局を落とし、残念な表情の藤井猛九段

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上下さかさにされた控え室のモニターテレビ

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大検討陣が、第1局の推移を見守っている

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指導対局を行う阿久津主税五段

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両対局者の昼食メニュー。蛍烏賊時雨煮、茄子揚げ浸し、グリーンサラダ、茶碗蒸し、黒豚しゃぶそばとミニ海鮮丼

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振り飛車党のカリスマ、藤井九段

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初手を指す羽生選手権者

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記録係の中村太地四段が振り駒を行った。白布の上には4枚の「歩」と1枚の「と」が

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駒を並べる両対局者。立会人は加藤一二三九段

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対局開始の様子を見学する子どもたち

藤井の巻き返しに期待

 感想戦は2時間近くおこなわれたが、明快に振り飛車よしとなる順はついに現れなかった。羽生が相手の感想戦では、よく起こる現象である。

 40手目、藤井の△5四歩は過去の実戦例から離れた手。羽生はどう指していいのかわからなかったという。まさに今後の検討課題であろう。

 61手目▲1六角に対して、藤井はよほど△1四飛と打とうかと思ったそうだ。しかし▲2四歩が焦点の打ち捨てで、振り飛車よしとは言いがたい。また△3三金と上がる手も控え室では検討されていたが、そもそも▲4四歩に△3三金と寄る選択肢もあったため、実戦的には上がりにくい。

 66手目△2五銀に代えて△2七銀不成と入る手はどうか。進行の一例は▲4三歩成△同金▲2三飛。これもはっきりしない。

 80手目△6四角では、△6四桂が優った。ただしそれで振り飛車がいいとも言い切れない。

 82手目△2三桂は「涙が出そうな手」(藤井)。ここでははっきり藤井が苦しい。

 92手目△5八との局面では、羽生は大変な形勢だと思っていた。検討陣指摘の▲3六飛成が見えていなかったからだ。▲4三歩成から決めにいったものの、調子がおかしい。

 98手目△3三角は藤井痛恨の手順前後。敗着であろう。△6八と▲同金を入れてから△3三角ならば、本譜の▲5五銀はなかった。△6八と▲同金△3三角以下の進行例は▲5五歩△4二金▲7二成香△同金▲6一龍△7一金▲5一龍△6一香。これはむしろ振り飛車よしか。

 振り飛車党にとっては本局、少し釈然としない結果に終わってしまった。第2局以降の藤井の巻き返しに期待したい。

(20:35)

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羽生、鮮やかな収束

 最後はいつもながらに、羽生の収束は鮮やかであった。羽生は長手順の詰みが見えて、勝ちを意識したという。

 投了図以下(1)△8四同歩は▲6一角△8二玉▲8三金△7一玉▲7二角成まで。また(2)△8二玉は▲7一角までで、後手玉は詰む。

 羽生は54手目△4三金の局面はよくないと判断していた。また藤井も同様に、56手目△2二角に▲同龍と応じてくるのであれば優勢と思っていた。

 65手目▲2二桂成以下の手順に、藤井は納得をしていない様子。「あとは指せば指すほど悪くなっちゃいました」。

 98手目、藤井は単に△3三角と出た手を悔やんだ。追い上げたかと思われた終盤戦だっただけに、藤井は無念さを隠さない。代わりに△6八と▲同金の交換を入れておけば、先手は馬を使いにくい。直後の△5五銀の筋を藤井はずっと警戒していたのだが、この局面では軽視していた。

 インタビュー終了後、両対局者は大盤解説場に現れ、大きな拍手を浴びていた。

(18:38)

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羽生選手権者が先勝

 4日午前10時から東京都八王子市の京王プラザホテル八王子で指されていた第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第1局は午後6時10分、先手の羽生善治選手権者(35)が挑戦者の藤井猛九段(35)を135手で破り、先勝した。第2局は19日、仙台市太白区の茶寮宗園で行われる。

 藤井九段の四間飛車に先手の羽生選手権者が急戦を仕掛け、序盤早々に戦いに突入した。選手権者は中盤、飛車を成り込むことに成功したが、藤井九段は、その竜に飛車をぶつけた後手4二飛(52手目)の強手で、優位に立った。

 しかし、選手権者も一歩も引かず、56手目後手2二角に先手同竜としたのが「羽生流」の勝負術。以降は藤井九段が決め手を逃し、最後は選手権者が後手玉を長手数の詰みに討ち取った。持ち時間各3時間のうち、残りは、選手権者2分、挑戦者1分だった。

(18:14)

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最終盤

 114手目、藤井が△5七銀と打って本局もいよいよ大詰めを迎えた。以下▲同銀△7九飛成▲同玉△8七香成と必至をかければ、▲7二銀成△同銀▲7一銀△同玉▲6三桂以下、後手玉は詰む。すなわち羽生の勝ちだ。

(18:05)

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追い上げる藤井

 控え室の検討が当たりはじめると終局近しと言われるが、最終盤を迎えた本局はなかなか指し手があたらない。

 101手目▲3四歩はまったく予想になかった手。△4四角と上がられてみると、この交換は得だったのか。控え室では羽生変調ではないかとの声も出始めた。

 107手目▲4三龍では、▲4五歩が優ったのではないか? 藤井の△8四香は待望の反撃。控え室の検討は、再び盛り上がりを見せ始めた。

(17:50)

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羽生らしい捨て駒

 98手目△3三角は藤井期待の切り返し。対して羽生の▲5五銀もまた、いかにも羽生らしい捨て駒。相手の3三角の筋を止めながら自分の1三馬の筋を通し、△5五同歩と取られれば一手をかせいだことになる。

 藤井はわずかな残り時間を割いて考え、結局銀を取った。羽生の決め方は▲7二成香△同金▲6一銀か。あるいはすぐに▲7一銀か。

(17:35)

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東京本社で大盤解説会

 朝日新聞東京本社の読者ホールでは午後3時半から、木村一基七段、竹部さゆり女流三段を迎えて大盤解説会が開かれた。開場前から多くの将棋ファンが詰めかけ、130席ほどの会場は満席に。八王子で指されている対局の棋譜が再現される大盤に、熱い視線を送っていた。

 木村七段は解説に入る前に、「羽生選手権者は対局が多く、疲れが見える。それに対して、藤井九段は深浦康市八段との対戦で勝ち、自信をつけており、好調なようだ。だが、羽生選手権者はその対戦を研究しつくしているはずだ」と話した。時おりユーモアを交えながらの木村七段の解説に、来場者はうなずきながらも笑いが漏れる場面も見られた。

 最前列で耳を傾けていた小学3年の男児は、「いつもは羽生さんのファンだが、本対局では藤井さんに対羽生戦の連敗をストップして欲しい」とエールを送っていた。

(17:30)

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ドラマは起こるか?

 93手目▲4三歩成に羽生は10分を使っている。残り時間は羽生25分。藤井15分。

 ▲4三歩成のところ、控え室では代わりに▲3六龍と引き、次に▲3九金を狙って完封ペースではないかと検討していた。本譜の順は、すっきりと決まっているわけではない。羽生よしに変わりはないが、まだまだドラマの起こる余地は残されていそうだ。

(17:23)

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羽生勝勢

 92手目△5八との局面で、羽生はしばらく考えていた。

 控え室では継ぎ盤が3面ほど用意されて、それぞれ多くの検討陣が囲んでいる。しかしどの盤面とも、現局面は検討されていない。振り返って、藤井のどこが悪かったのかという検証である。現局面は羽生勝勢と言っても過言ではないそうだ。

 17時過ぎ、羽生は▲4三歩成と仕上げに入った。

(17:10)

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逆転、羽生よし

 86手目、藤井は△2三桂とそっぽに打った。苦心の一手だ。▲1三角成と角筋をそらしてから、△4九飛と下ろす。勝てば妙手順と評価されようが、検討陣の反応はいまひとつである。

 この次、羽生は▲3四歩と打った。4六銀取りは受けるまでもないと見たか。「これは自分が勝ちと見た手ですね」とある若手棋士。いつしか形勢は逆転し、流れは羽生に傾きつつあるようだ。

 藤井も銀は取らず、△4七歩と垂らして勝負に出た。

(16:50)

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角の打ち合い

 72手目、藤井は△4一歩と打った。「金底の歩、岩より堅し」の格言通りの一手である。「藤井乗りの人の方が多いとは思いますが、まだいい勝負です」(渡辺竜王)。羽生は▲4三歩成と成り捨て、防壁を崩しにかかる。

 細かい応酬を経た後、80手目、藤井は△6四角と銀取りに打った。「▲6六香が見えているだけに、少し味が悪いですね」(渡辺竜王)。

 羽生は間をおかず▲3五角と切り返す。4六銀にひもをつけつつ、美濃囲陣の急所である7一の地点をにらんだ攻防の角打ち。この打ち合いは、羽生が得をしたのか? 藤井の手は、ここでしばらく止まっていた。

(16:35)

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そろそろ終盤戦

 検討陣の予想通り、藤井は△2五銀と引く。この時点で残り時間は羽生1時間2分。藤井39分。局面は中盤から、いよいよ終盤にさしかかるところだ。

 羽生は3分考えて、▲1二成桂。じっとそっぽの香を取った。玉形は後手よしだが、駒割は羽生の香得。渡辺竜王は「先手もやれると思います」と語っていた。「依然藤井よしですか?」の問いには「いや、よしとまではいかないと思います」。

(16:10)

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やはり藤井リード

 控え室には中原誠永世十段、小林宏六段も駆けつけている。61手目▲1六角に対して、藤井は△2五銀と出た。以下は▲3四桂△1六銀▲2二桂成と進む。羽生の成桂はそっぽにいってしまうので、感触はよくない。この次、鈴木八段は△2五銀と引けばやはり藤井よしと語っていた。

(15:53)

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羽生好みの角

 両者のこれまでの対戦成績は、羽生22勝。藤井13勝。現在は藤井が8連敗中である。藤井は羽生に勝つことの大変さを知り抜いている棋士のひとりであろう。

 55手目、羽生は長い間考えた後、▲3一龍と入る。藤井はすぐに△2二角。ここまでは検討通りだ。

 控え室ではこのあと(1)▲4二龍△同金▲5五歩という順を検討していた。調べてみると、やはり振り飛車よしの変化が多い。

 本譜、羽生は(2)▲2二同龍と取った。飛車交換で悪いのなら、飛角交換ではなお悪いのではないか。検討陣は驚きの表情を見せた後、「あっ」と声をあげる。羽生の狙いがわかったのだ。以下△同飛▲4四歩△4二金と進んで手がないと思われる局面で、▲1六角があった。いかにも羽生好みの角打ち。△2五歩でなんでもないようだが、継続手の▲2六桂が用意されている。「急に自信がなくなってきました」と、振り飛車党の千葉五段。今度は藤井の考える番だ。

(15:40)

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藤井リード

 検討通りの手順が進んだ後、△4三金の局面で羽生は手を止めている。(1)▲4二龍△同金、あるいは(2)▲3一龍△2二角▲4二龍△同金と進むのは必至だが、飛車交換は明らかに振り飛車側の得である。

 「現在は振り飛車がやや指せると思います」と深浦八段は語る。ただし続けて、「最終的には競った終盤戦になるのではないでしょうか」。勝負はまだ、これぐらいのところでは決まらない。

(15:05)

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大検討陣

 現在控え室で検討をしているのは渡辺明竜王、加藤一二三九段、鈴木大介八段、千葉幸生五段、上野裕和四段、片上大輔四段、横山泰明四段、遠山雄亮四段、石橋幸緒女流四段、中倉彰子女流初段、島井咲緒里女流初段、甲斐智美女流初段、中村真梨花女流初段など。さらには加藤幸男現朝日アマ名人のほかに、山田敦幹元朝日アマ名人、武田俊平支部名人など、多くのアマ強豪の皆さんも駆けつけている。

 51手目▲2二飛成の時点で、消費時間は羽生1時間19分。藤井1時間45分。現在検討されているのは△4二飛▲3三龍△4三金という進行。振り飛車党の遠山四段が指摘した冴えた順で、検討陣一同感心していた。

 大盤解説場では深浦八段、鈴木女流初段の解説のほかに、地元八王子にゆかりのある阿久津主税五段、村山慈明四段、長岡裕也四段らが指導対局にあたっている。記録係の中村太地四段や奨励会員の皆さんも含めて、現地は棋士・関係者であふれている。

 14時45分頃、藤井は自信あふれた手つきで△4二飛と引いた。

(14:48)

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大決戦

 大盤解説場では、△2五歩の局面で次の一手問題が出題されようとしていた。解説は元選手権者の深浦八段。聞き手の鈴木環那女流初段の次手の予想は、▲4五桂だった。

 注目の羽生の次の一手は▲5五歩や▲4五桂ではなく、ストレートな▲2五同桂だった。検討陣の目には意外な一手と映る。桂がそっぽに行ってしまうから、これは振り飛車もやれるのではないか。以下は△4四角▲同角△同飛▲3三桂成△同桂▲2二飛成と進んで、あっという間に大決戦となった。

(14:38)

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難解な中盤戦

 検討陣によると、現在は難解な中盤戦。両者の力が十二分に発揮される展開になったのは間違いないようだ。進行の一例は△2五歩▲5五歩△4四角▲4五歩。そこで振り飛車はどこに角を引くか。

 午後2時を過ぎた。200席が用意された現地大盤解説会場は、すでにほぼ満席となった。

(14:20)

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早熟と晩学

 羽生がプロの資格を得る四段に昇段したのは1985年12月。まだ15歳のときである。

 一方藤井はそのときまだ、プロの卵である奨励会員にもなっていない。羽生、藤井らとともに「黄金世代」と称され、現在棋界のトップ集団を形成しているのは佐藤康光棋聖、森内俊之名人、丸山忠久九段、郷田真隆九段ら1969〜70年生まれの世代である。その中でも藤井は、最後発組に属している。

 羽生が天真爛漫に、棋理を追求するかのごとく様々な戦法を指しこなしてきたのに対して、藤井は少年時から振り飛車一本槍であった。40手目△5四歩は、熟練の感覚。次に△5三金〜△4四金を見せて、先手の動きを誘っている。ぐずぐずとしていられない羽生は▲2四歩△同歩の突き捨てを入れてから、▲3七桂と跳ねだした。

(14:00)

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八王子と羽生少年

 対局の前日に行われた前夜祭には、羽生選手権者のお母様、ハツさんが訪れた。手にしていたのは、昭和57年(1982年)1月1日発行の「広報はちおうじ」。八王子将棋クラブに通う、アマチュアの少年だった11歳の羽生選手権者の記事が掲載されている。八王子市内の最年少アマチュア棋士五段格として頭角をあらわしはじめていた。前年には「小学校名人戦」でのベスト8入りを果たし、プロの棋士をめざす意志を決めた頃だ。

 当時、指導に当たっていた故・中嶋克安六段の羽生少年評は「頭の中ですばやく局面を判断する”早見え”のできる子で、将棋の天分はかなりあります。打ち方も素直で伸びがあり、流れるような自然さがあります」。当時のハツさんは「まだ子どもですし、もっといろいろなことに興味を持ってほしいと思ってます。でも何かを勧めてもすぐ将棋にもどってしまいます。よほど好きなんですね」と話している。

 羽生少年の将棋への情熱を培った八王子の地。いわば羽生の「地元」だ。藤井九段は前夜祭挨拶で「羽生さんの地元ということで、やりにくくもあり気楽でもある」と語っていた。

(13:55)

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再開

 羽生の▲7九金は将来の端攻めに備えた手。8、9筋への金の応援を見せるとともに、玉を広くしている。

 午後1時、再開。対局室には数人のカメラマンが入り、藤井の次の手を息を詰めて待っているが、藤井はなかなか指さない。

 ▲伊奈−△藤倉戦では、藤倉四段は(1)△4四角と歩を取り、▲同角△同飛▲2二角△7四飛▲7七角成と進んでいる。検討陣も△4四角を本線に考えていた。

 本譜、藤井はじっと(2)△5四歩と突いた。

(13:33)

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昼食休憩

 都内でおこなわれている対局なので、現地には次々と棋士が訪れている。39手目▲7九金の局面で渡辺明竜王にコメントを求めると「実戦例は少なくても、研究会では何局も指されている形ですね。長岡君ならば1万局は指しているでしょう(笑)」。長岡裕也四段は序盤研究に定評のある振り飛車党。やはり地元の八王子出身だ。

 藤井は▲7九金に対して19分を使い、12時、昼食休憩に入った。

 ここまでの消費時間は羽生38分。藤井1時間2分。

 両対局者の昼食のメニューは以下の通り。

【小鉢】蛍烏賊時雨煮、茄子揚げ浸し
【生野菜】グリーンサラダ、醤油ドレッシング
【蒸物】茶碗蒸し
【食事】黒豚しゃぶそばとミニ海鮮丼

(12:15)

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羽生、用意の一手

 32手目△4七歩は定跡化されているたたき。

 (1)▲4七同飛ならば、後に△3八角と打つ手が生じる。一昨年9月に指された本棋戦予選決勝▲村山四段−△室岡七段戦では、▲4七同飛△4四角▲同角△同飛▲5五角△4二飛▲1一角成△3八角と進んでいる。

 本局では、羽生は(2)▲4七同金を選んだ。比較的実戦例の少ない取り方である。羽生用意の一手と言って、間違いないだろう。

 控え室では立会人の加藤一二三九段と解説の鈴木大介八段らが継ぎ盤を囲んでいる。早くも検討に熱の入る局面だ。

 39手目▲7九金までは2005年2月▲伊奈−△藤倉戦と同じ進行。そろそろ昼食休憩だ。

(11:50)

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憧れの先輩

 朝日オープン将棋の雰囲気にふれてもらおうと、「八王子将棋クラブ」に通う10人の子どもたちが対局室に招かれ、対局開始の瞬間を見学した。羽生選手権者も「八王子将棋クラブ」の出身だ。

 対局開始の20分前に入室し、緊張した面持ちで、対局者入室から振り駒、羽生選手権者が初手を指すまでの一部始終を見つめていた。

 見学をした小学4年生の郷崇治くん(10)は「羽生先生が駒を指す姿がとてもかっこよかった。緊張したけれどプロの棋士の対局を見られてよかった」と話した。八王子将棋クラブに通う子どもたちにとって、羽生選手権者は憧れの先輩だ。

(11:45)

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早くも開戦

 序盤は藤井システム模様。対局場に駆けつけた加藤幸男朝日アマ名人にコメントを求めると「開幕局にふさわしいですね」。両者の研究、そして信念のぶつかり合いとなりそうだ。

 19手目、羽生が▲3六歩と急戦をにおわせたのに対して、△6二玉と入るのが藤井システムの呼吸。羽生はあらかじめこの進行を予想していたのか、すぐに▲3五歩と仕掛けた。本棋戦準々決勝▲深浦−△藤井戦でも現れた、現棋界の課題局面のひとつである。

(10:57)

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藤井、四間飛車に振る

 対局場設営者のまず最初の賭けは、どちらが先手になるかということ。控え室のモニターテレビは混乱をふせぐため、先手を下にしなければならないからだ。今回は藤井先手と賭けて、見事にはずれた。ではこの後どうするか。通常は昼休みにカメラを設定し直すのだが、本局では事情により難しい。控え室のテレビは現在、上下さかさまにして置かれている。

 3手目、羽生の▲2六歩は居飛車で戦う意思表示。大盤解説担当の深浦康市八段は、まずは安堵の表情。居飛車正統派の深浦八段にとっては、相振り飛車はやや専門外の分野に属する。

 6手目、藤井は△4二飛。十八番の四間飛車に振った。

(10:45)

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先手は羽生選手権者

 将棋指しとしての羽生善治の伝説は、八王子から始まった。朝日オープン第1局の対局場に選ばれたのは少年期、羽生が腕を磨いたこの東京都郊外の地である。今朝の八王子はよく晴れていて、富士山が遠くに、きれいに見えている。

 対局開始定刻の午前10時前、対局室では地元の少年・少女たちが正座を崩さずに両対局者の登場を待っていた。先に入室し、下座に着いたのは藤井九段。ついで羽生選手権者が現れ、床の間を背にして上座に座った。

 本局の記録係は中村太地新四段。羽生と同じく、八王子将棋クラブ出身の新鋭だ。振り駒の結果、「歩」が4枚、「と」が1枚出て、先手は羽生と決まった。

 羽生の初手は▲7六歩。藤井の2手目は△3四歩だった。

(10:30)

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対局始まる

 羽生善治選手権者(35)に藤井猛九段(35)が挑戦する第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第1局が4日午前10時から、東京都八王子市の京王プラザホテル八王子で始まった。持ち時間は各3時間。先手は羽生選手権者。初手は7六歩。

(10:10)

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羽生「プロ20年、新たな気持ちで」 藤井「思い切って戦う」

 4日から始まる第24回朝日オープン将棋選手権五番勝負(朝日新聞社主催)の第1局を前に、3日、会場となる八王子市の京王プラザホテル八王子で前夜祭があった。2度目の防衛を目指す羽生善治選手権者(35)と、挑戦者の藤井猛九段(35)が決意を語った。

 同市は羽生選手権者が4歳から19歳まで住み、将棋の素地を培ったところ。選手権者は「自分の育った場所で対局できるのは、うれしく名誉なこと。プロになって20年。原点に立ち返り、もう一度新たな気持ちで臨みたい」と話した。一方の藤井九段は「羽生さんが相手ということでやりにくさはあるが、逆に気楽さもある。思い切って戦うだけです」と語った。

 ホテルでは4日午後1時半から大盤解説会が開かれる。中央区の朝日新聞東京本社では午後3時半から。入場自由(満員の場合、入場制限あり)。

(04/03)

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